中国政府がAI(人工知能)と元宇宙(メタバース)産業を次世代の重要分野と位置付け、国家を挙げた大規模な育成計画を進めているのをご存じでしょうか。この度、2025年までに優れたAI・メタバース関連製品や実証事例を1000件選定するプロジェクトが進行中です。この取り組みは、国家の政策に基づき、文化、工業、医療、教育といった多岐にわたる産業分野で革新的なAI・メタバース技術の応用を促進し、中国のデジタル経済の質的向上と持続可能な発展を強力に推進しようとしています。巨大な中国市場で何が起こっているのか、その詳細を探ってみましょう。
中国政府、AI・メタバース産業を国家戦略として推進
中国では、国家工業情報化部、文化観光部など5つの政府機関が共同で発表した「元宇宙産業創新発展三年行動計画(2023-2025年)」に基づき、AIとメタバース産業の発展が強力に推進されています。この計画の中核をなすのが、全国から革新性、模範性、リーダーシップを兼ね備えたAI・メタバースの優良製品や実証事例、そして「星級サプライヤー(スターサプライヤー)」を募集するプロジェクトです。
この選定された製品や事例は、政府部門が政策策定や調達を行う際の重要な参考資料となるだけでなく、国内の複数の国家級ハイエンドプラットフォームで展示され、全国的にプロモーションされる予定です。これは、中国が単なる技術開発に留まらず、具体的な産業応用とその市場展開までを見据えた、包括的なエコシステム構築を目指していることを示しています。
「AI元宇宙1000優良製品・事例」とは?その目的と範囲
今回の募集は、広範な分野を対象としています。具体的には、文化・観光、博物館、映像メディアなどの
文化メタバース
、自動車、エネルギー、繊維などの
工業メタバース
に加え、医療、教育、建築など多岐にわたる産業でのAIとメタバース関連製品やプロジェクト事例が募集されています。
製品の種類としては、人工知能全般、拡張現実(VR/AR/MR)を含む拡張現実技術、デジタルツイン、仮想シミュレーション、ブロックチェーン、デジタルヒューマンなどが挙げられています。選定基準は、すでに成功裏に実装され、社会価値、革新的なアイデア、経済的利益、そして中国ならではの特色や模範効果を高く評価するものです。この募集は2025年10月28日までとなっており、多くの企業がその成果をアピールする機会となっています。
選定された企業のメリットと今後の展望
このプロジェクトで選定された企業には、様々なメリットが提供されます。まず、専用の交流グループに参加し、最新の活動状況や業界情報をリアルタイムで得ることができます。さらに、2025年に開催される全国AI元宇宙産業需給マッチング大会に、応募順に優先的に参加することが可能です。特に、個別商談の席には限りがあるため、早期の応募が推奨されています。
選定結果は、2025年11月22日に国家会展中心(上海)で開催される「第2回AI元宇宙産業需給マッチング大会」で正式に発表される予定です。この大会は、「需給マッチング」を核として、メタバースとAI分野における産業連携と革新的な協力を促進し、効率的で実用的な業界交流プラットフォームの構築を目指します。参加企業は主催者から10大権益と特典が与えられ、AI・メタバース産業の発展における重要なプレーヤーとしての地位を確立するチャンスを得られます。
まとめ
中国がAIとメタバースを単なる技術トレンドとしてではなく、国家の未来を左右する基幹産業として捉え、政府主導で大規模な投資と育成を進めていることが明確になりました。優れた製品や事例を選定し、それを国家レベルで支援・プロモーションすることで、中国はデジタル経済の新たなフロンティアを切り拓こうとしています。
この動きは、日本の企業や投資家にとっても、中国市場の巨大な潜在力と、AI・メタバース分野における技術革新の方向性を理解する上で極めて重要です。今後の中国におけるAI・メタバース産業の動向は、世界のテクノロジー地図を大きく塗り替える可能性を秘めており、引き続き注目していく必要があるでしょう。
元記事: pcd
Photo by Acres of Film on Pexels












