普段使いのダウンジャケットが、まさか香港証券取引所への上場を目指しているとは!中国のアパレルブランド「ガオボー(高博尔)」が、その波乱に満ちた創業物語を背景に、IPO申請を提出しました。かつては「モンクレール代替品」とまで称されたこのブランドは、四川省出身の夫婦がゼロから立ち上げ、中国国内第4位のアウトドアアパレルブランドに成長。年商10億元を超えるまでに至った彼らの成功の秘密と、一度は市場から撤退した過去を持つガオボーが、いかにして再起をかけたのか、その軌跡を深掘りします。日本の読者にとっても、中国市場のダイナミズムを感じられる興味深い事例となるでしょう。
中国ブランド「ガオボー」、再起をかけたIPOへ!
中国の衣料品業界に新たな波が押し寄せています。投資界の最新情報によると、ダウンジャケットで知られる「ガオボー(高博尔)グループ株式会社」が、先日香港証券取引所に上場申請書を提出しました。単独スポンサーは大手投資銀行のCICC(中国国際金融)が務めます。このニュースは、多くの人々が普段から愛用しているであろうダウンジャケットが、まもなく公開市場で取引される可能性を示唆しています。
知られざる創業物語:四川の夫婦が築いた「モンクレール代替品」
ガオボーの物語は、四川省出身の一組の夫婦、王勇(Wang Yong)氏と王丽莉(Wang Lili)氏によって紡がれました。彼らは、わずか一室の小さなダウンジャケット工場から事業をスタートさせました。当初、ガオボーは「モンクレール代替品」と称されるほど、コストパフォーマンスの高い製品で市場を席巻。特に華東地域からその人気に火がつき、瞬く間に全国へと販路を拡大していきました。現在では、中国国内で4番目に大きな国産アウトドアアパレルブランドへと成長し、年間売上高は10億元(約200億円)を超えるまでに至っています。
創業者の王勇氏は、15歳で社会に出て、まずは繊維材料の取引からキャリアをスタートさせました。その後、妻の王丽莉氏と出会い、1999年に共同で会社を設立。そして2004年、運命的な転機が訪れます。経営不振に陥っていた蘇北(江蘇省北部)の地元有名ダウンジャケット工場から、300人以上の熟練技術者を吸収し、ガオボーを設立。本格的にダウンジャケット市場への参入を果たしたのです。
過去の挫折とブランド変革の道のり
ガオボーは初期段階で、四季を通じて着用できるレジャーウェアを主力に据え、「手頃な価格で高品質」を強みとしていました。これは高価格帯のモンクレールやカナダグースといったブランドとは一線を画し、多くの消費者に支持され「モンクレール代替品」と呼ばれる由縁となりました。しかし、この成功も長くは続きませんでした。
2015年には中国の店頭市場である「新三板」に上場を果たしたものの、わずか2年後の2017年末には上場を廃止しています。この時期、企業の売上高は2012年の約6.6億元から2016年には3.7億元にまで落ち込みました。マーケティング戦略の不足、地域ブランドからの脱却の遅れ、そしてブランドイメージの陳腐化など、多岐にわたる課題が浮き彫りになっていたのです。競合他社と比較しても、ガオボーは明確なブランドアイデンティティを確立できていませんでした。
この苦境を乗り越えるため、ガオボーは2022年から大胆なブランド転換に着手します。「プロフェッショナルアウトドアブランド」への舵を切り、多機能ウェアの開発に注力。その努力が実を結び、2024年にはオーストリア北欧スキーチームの公式アウトフィットサプライヤーとなる快挙を達成しました。さらに、2013年には50代のベテラン俳優を起用していたブランドアンバサダーを、若手人気俳優の周也(ジョウ・イエ)氏、黄轩(ホアン・シュアン)氏、钟楚曦(チョン・チューシー)氏へと一新。ターゲット層を若返らせ、ブランドのイメージ刷新を図っています。
IPOが描く未来:専門アウトドアブランドとしての挑戦
今回の招股説明書(IPO目論見書)によると、ガオボーは自らをスキー、登山、ハイキングといった自然環境でのアクティビティから、郊外のレジャー、公園での休憩、通勤といった都市生活まで、多様なシーンに対応する専門アウトドアアパレルブランドと位置付けています。製品ラインナップは「トップアウトドア」「スポーツアウトドア」「都市ライトアウトドア」の3シリーズに分けられ、それぞれの推奨小売価格は999元~3299元、599元~2999元、699元~1799元と幅広く設定されています。2025年6月現在、ガオボーは687の店舗を展開しており、中国全土での存在感を高めています。
IPO前の株主構成を見ると、上海蓝银が67.14%の株式を保有し、創業者の王丽莉氏が直接25.33%の株式を保有しています。その他の株主には、従業員向けの株式インセンティブプラットフォームが含まれます。株式の透過情報に基づくと、王丽莉氏が合計で約67.4%の議決権を掌握していることが分かります。これは、夫婦による創業家が今後も経営の主導権を握り続けることを意味しており、ガオボーが新たな成長フェーズへと突入する上で、そのリーダーシップが引き続き重要な役割を果たすと期待されます。
まとめ
ガオボーのIPOは、中国のアパレルブランドが国内外の市場で競争力を高め、成長していくための新たな一歩を示しています。一度は挫折を味わいながらも、大胆なブランド転換と戦略的なマーケティングによって再起を図った彼らのストーリーは、日本の企業にとっても示唆に富むものがあるでしょう。特にアウトドア市場の拡大が期待される中で、ガオボーが専門ブランドとしてどのような独自の地位を確立し、グローバル市場で存在感を増していくのか、今後の動向が注目されます。中国発のブランドが、世界のアウトドアアパレル業界にどのような影響を与えるのか、引き続き注視していきたいと思います。
元記事: pedaily
Photo by Yaroslav Shuraev on Pexels












