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「大学に行けば安泰」は過去の夢?中国が分析する日本の学歴神話の崩壊

job hunting Japan graduating student worried - 「大学に行けば安泰」は過去の夢?中国が分析する日本の学歴神話の崩壊

「21世紀に最も価値があるのは人材だが、最も早く価値が下がるのは学歴だ」――そんな皮肉めいた言葉が中国で囁かれています。しかし、この言葉は、日本ではすでに30年にもわたる経験から来る厳しい現実を物語っています。かつて「大学を卒業すれば一生安泰」と信じられた日本社会。しかしバブル経済の崩壊以降、その学歴神話は大きく揺らぎ、多くの若者が厳しい現実に直面することになりました。中国メディア「華商韜略」が分析する、日本の教育と雇用が辿った劇的な変遷を深掘りし、現代日本が抱える課題とそこから得られる教訓を探ります。

「大学に行けば安泰」だったバブル期の夢

「金の卵」と呼ばれた学生たち

1980年代の日本は経済が活況を呈し、企業は優秀な人材を求めて激しい採用競争を繰り広げていました。当時の日本では「大学に合格すれば、その後の人生は安泰だ」という信仰が広く共有され、企業は新卒大学生を「金の卵」と称して手厚く迎え入れたのです。

就職活動では、企業が説明会で豪華な食事や手土産を提供するのは当たり前。中には、入社する社員に無料の社員寮や引っ越し費用、生活用品の支給を約束する企業もありました。さらに驚くべきは、三菱自動車が「入社したら車をプレゼントする」という特典を提示し、高学歴人材の獲得に奔走していたことです。

この時代、大学生は卒業を待たずに複数の内定を獲得するのが一般的でした。男子学生は平均3社、女子学生も平均2.5社から内定を受け取っていたとされます。東京大学や早稲田大学といった名門校の卒業生に至っては、社会人平均給与の3倍もの初任給を得ることも珍しくありませんでした。

加熱する「受験戦争」と「塾ブーム」

このような学歴が強く崇拝される雰囲気の中、日本社会では「中国でいう『ジーワー(鶏娃)熱』にも似た受験熱」が過熱しました。街の至る所に学習塾が立ち並び、学生たちは必死に英単語を暗記し、模擬試験を解き続けました。統計によると、1985年には日本の課外学習市場規模が1兆2000億円を突破し、学習塾の数は一時、コンビニエンスストアをも上回る2万軒以上に達したといいます。

親たちは、我が子が「鯉の滝登り」のように難関大学に合格できるよう、家を担保に入れてまで高額な塾費用を支払うことも辞さない状況でした。まさに、学歴こそが人生の成功を約束するチケットだと信じられていた時代です。

バブル崩壊、学歴が「負債」に変わった日

景気後退と「就職氷河期」の到来

しかし、1990年代に入ると状況は一変します。バブル経済の急激な崩壊は、日本社会に大きな影を落としました。1990年には日本の株式市場が急落し、年間で39%もの下落を記録。市場価値は270兆円も消失し、大量の富が無に帰したのです。

金融危機はすぐに実体経済へと波及し、1992年には全産業の企業利益が20%減少し、倒産件数は1万件を突破しました。さらに不幸なことに、この経済的苦境は、史上稀に見る「就職希望者の洪水」と重なることになります。

1967年から1976年にかけて生まれた、第二次ベビーブーマー世代がちょうど大学を卒業する時期と重なったのです。この10年間は、毎年180万人以上が生まれ、特に1971年から1974年の出生ピーク時には年間200万人以上が誕生していました。彼らが1990年代に社会に出るタイミングで、「学歴」が価値を失う時代が幕を開けたのです。

迷走する「失われた世代」

就職市場はまさに「終末的光景」を呈しました。企業は生き残りのためにリストラを敢行し、一方で膨大な数の求職者が職を求めて列をなしました。リストラの波は広がり、就職希望者の行列もまた長くなるばかりでした。

1992年は歴史的な転換点となります。それまで順調に伸びていた大学生の就職率は急落し、80%から79.9%、76.2%、そして70.5%へと、歯止めがかかることなく落ち込み続けました。この年から、企業への大量の履歴書は誰にも見向きもされなくなり、「学歴の価値が下がる時代」が本格的に始まったのです。

かつて「大学を卒業すれば人生の勝ち組」という金科玉条は、もはや誰も口にしない幻想となりました。1971年生まれの田中さん(仮名)は、長崎大学を卒業後、100社に応募するも全て不採用。最終的にはフリーターとして生計を立てるしかありませんでした。1973年生まれの青木さん(仮名)は、当時の状況を振り返り「以前は就職説明会に行けばお弁当やプレゼントがもらえたのに、今は…」と寂しげに語っています。

まとめ:失われた30年が問いかけるもの

中国メディアが分析する日本の「失われた30年」は、かつての学歴信仰がいかに脆いものであったかを浮き彫りにしています。経済状況の急変と人口構造の変化が重なり、「大学に行けば安泰」という神話は完全に崩壊しました。これにより、多くの若者が「就職氷河期」という厳しい時代を生き抜き、学歴だけでは通用しない現実と向き合うことになったのです。

この日本の経験は、学歴が急激に価値を失いかねない現代社会において、私たちに重要な教訓を与えています。単なる学歴の有無だけでなく、変化に対応できる能力、実践的なスキル、そして主体的にキャリアを築く力が、これからの時代を生き抜くために不可欠であることを示唆しているのではないでしょうか。国際的な視点から日本の経験を見つめ直すことで、現在の日本社会が抱える課題、そしてこれからの人材育成やキャリア形成のあり方について、改めて深く考えるきっかけとなるでしょう。

元記事: pedaily

Photo by energepic.com on Pexels

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