中国最南端の省、海南島。その北東部に位置する海辺の都市「文昌(Wenchang)」は、手つかずの自然美と千年にわたる豊かな文化が息づく特別な場所です。碧い海と空が広がる絶景はもちろん、中国の宇宙開発の最前線から、儒教文化が色濃く残る古刹、そして熱帯ならではの風情溢れるココヤシ林まで、多種多様な魅力が凝縮されています。近年、そのユニークな「自然と文化の融合」が注目され、国内外から多くの旅行者が訪れる文昌。今回は、その中でも特に魅力的な「宝蔵スポット」をご紹介し、日本の皆様にまだ見ぬ中国の魅力をお届けします。
宇宙と伝統が交差する地「文昌」の魅力
未来への窓「文昌宇宙科学普及センター」
文昌は、中国の宇宙事業にとって重要な拠点の一つです。その象徴ともいえるのが、「文昌宇宙科学普及センター」。ここでは、宇宙科学と教育が完璧に融合しており、館内には精巧な宇宙モデルやインタラクティブな体験設備が充実しています。訪れる人々は、まるで広大な宇宙空間にいるかのような感覚を味わえるでしょう。
特に夏休み期間中は、親子連れの旅行者で賑わいます。子供たちは、ロケット発射のシミュレーションや宇宙遊泳の体験を通じて、楽しく科学への情熱を燃やすことができます。北京からの旅行者は、「ここで子供たちは知識を学ぶだけでなく、未知の世界を探求する意欲を育むことができます」と語っています。未来を担う子供たちにとって、宇宙への夢を育む貴重な場所となるでしょう。
千年の歴史を刻む「文昌孔子廟」
時空を超えた歴史の回廊へと誘うのが、「文昌孔子廟」です。北宋時代の慶暦年間に建立されたこの古建築群は、海南省で最も完全に保存されている孔子廟の遺跡として知られています。赤壁と緑瓦が印象的な建物群は、欞星門(れいせいもん)、泮池(はんち)、大成殿などを中心に、中心軸に沿って整然と配置されています。
一つ一つの煉瓦や石には、千年の歴史の足跡が刻まれており、その重厚な佇まいからは儒家文化の深い精神性が伝わってきます。現在でも、毎月旧暦の1日と15日には多くの地元住民が参拝に訪れ、線香の香りが立ち込める中、儒教文化の精神が脈々と受け継がれていることを肌で感じることができます。
大自然の芸術が織りなす絶景
太古の火山が作り出した奇岩群「石頭公園」
海岸線を南東に進むと、息をのむような絶景が広がる「石頭公園(石の公園)」に到着します。数百万年前の火山噴火によって形成された玄武岩が、長年にわたる波の浸食によって、様々な形をした巨大な岩の群れへと姿を変えました。まるで猛虎がうずくまっているような岩や、仙女が化粧をしているかのような岩など、その造形は多岐にわたります。
中でも有名なのが「風動石」で、わずかな接点で絶妙なバランスを保っており、今にも倒れそうでいて決して倒れない、自然の神秘を感じさせます。干潮時には、露出した岩の遊歩道を通って海中深くへと進み、「荒波が岸を打ち、千の雪を巻き上げる」ような壮大な光景を間近で体験することができます。
白い砂浜とエメラルドの海「月亮湾」と「淇水湾」
もし石頭公園が力強さの象徴だとしたら、「月亮湾(月の湾)」は海の優しさを体現しています。長さ11キロメートルに及ぶ美しい弧を描く海岸線には、文昌で最もきめ細やかな白い砂浜が広がっています。早朝には漁師たちが小舟で漁に出かけ、夕暮れ時にはカップルが手を取り合って黄金色の砂浜を散歩する姿が見られます。
ここではウィンドサーフィンや水上バイクなどのマリンスポーツが楽しめるほか、ダイビング愛好家は海中に広がるサンゴ礁の幻想的な世界を探検することもできます。また、「淇水湾(きすいわん)ビーチ」は、充実したリゾート施設で有名です。星付きホテルやシーフードレストランはもちろん、子供向けの遊び場やビーチバレーコートなども完備されており、多くの旅行者がここでキャンプを楽しみ、波の音を聞きながら眠りにつき、日の出とともに目覚めるという贅沢な時間を過ごしています。上海からの旅行者は、「自然のワイルドさと現代的な利便性を兼ね備え、家族旅行に理想的な場所です」と記しています。
熱帯ムード満点!「東郊ココヤシ林」と「木蘭湾」の絶景
熱帯ムードを存分に味わえるのが、広大な「東郊ココヤシ林」です。26平方キロメートルにわたるこのココヤシ林には、赤ココヤシ、青ココヤシ、香水ココヤシなど10種類以上の品種が生い茂っています。観光用のミニ列車に乗って林の中を巡ったり、レンタサイクルで専用道をサイクリングしたりと、様々な方法でその魅力を堪能できます。
地元の漁師たちが経営する「ココヤシ宴」では、ココヤシチキンからココヤシミルクプリン、ココヤシワインまで、まさに「ココヤシ王国」の魅力を余すことなく味わえます。そして写真愛好家にとって見逃せないのが「木蘭湾(むーらんわん)」です。長年の風化により、独特の蜂の巣状の模様が刻まれた岩礁群が、エメラルドグリーンの海と強烈なコントラストをなし、印象的なビジュアルを作り出しています。高さ74メートルの木蘭灯台に登れば、360度のパノラマビューで七星嶺や抱虎嶺などの絶景を一望できます。
まとめ
中国・海南島の文昌は、単なる海辺のリゾート地ではありません。宇宙開発という最先端技術と、千年の歴史が息づく儒教文化、そして太古の地球の息吹を感じさせる雄大な自然が、見事に調和した他に類を見ない場所です。未来と過去、そして大地の生命力が交錯するこの地は、訪れる人々に深い感動と多様な体験を提供します。
現代中国の躍進と、古き良き伝統、そして手つかずの自然が共存する文昌は、日本の読者の皆様にとって、きっと新しい発見と冒険の扉を開いてくれることでしょう。技術と文化、自然が融合した中国の魅力に触れる旅へ、ぜひ文昌を訪れてみてください。
元記事: pcd












