中国で今、アパレルブランドが「ドール服」に熱い視線を送っています。中でも、日本のグローバルブランドであるユニクロが発売したミニチュアダウンジャケット「暖小棉(ヌアンシャオミエン)」は、社会現象と呼べるほどの大ヒットを記録。わずか数センチのドール服を手に入れるために、消費者は抱き合わせ購入や長時間の行列、さらには転売サイトのチェックまで、あらゆる手段を講じています。なぜ、これほどまでにドール服が若者たちを夢中にさせるのでしょうか?その背景には、中国特有の「潮玩経済(トレンドトイ経済)」や、現代の若者が求める感情的な価値が大きく影響しています。
中国でドール服市場が急成長!ユニクロのミニチュア服が大ヒット
最近、中国のアパレル市場で最も話題を呼んでいるのは、意外にも人間用ではない「ドール服」です。特に、ユニクロが発表したミニチュアサイズのダウンジャケット「暖小棉」は、発売と同時に爆発的な人気を博しました。この手のひらサイズのダウンジャケットは、ファッションドールやぬいぐるみ、さらにはペットに着せるためのものですが、そのデザインの精巧さから瞬く間にトレンドアイテムへと上り詰めました。
「暖小棉」を手に入れたい消費者たちは、そのために様々な「奇策」に出ています。ユニクロのオフライン店舗では、このドール服を手に入れるために、指定されたPUFFTECHシリーズの子供服(最低価格99元、約2000円)を一緒に購入する「抱き合わせ販売(配貨)」が義務付けられました。このため、ドール服のためだけに子供服を購入する客が続出し、中には自分では着られないサイズの服をレジに持っていく人も。また、オフライン店舗での品切れを恐れて開店と同時に駆け込む人、さらにはフリマアプリ「闲鱼(シエンユィ)」などの二次流通市場で転売品を高値で購入する人も後を絶ちません。新品のドール服が最高70元(約1400円)で取引され、99元の子供服を抱き合わせで購入した人が実質30元以下で子供服を手放すケースも見られます。
アパレル各社が参入する「潮玩経済」とドール服の魅力
ユニクロだけでなく、MLB、ノースフェイス(北面)、FILAといった他の有名アパレルブランドも、同様にミニチュアのドール服を投入し、成功を収めています。例えばFILA FUSIONは、人気キャラクター「LABUBU」とのコラボドール服を限定発売し、指定店舗で商品購入者に配布する形式で注目を集めました。これらのブランドは、なぜこぞってドール服市場に参入しているのでしょうか。
その背景には、中国で急速に拡大する「潮玩経済(トレンドトイ経済)」があります。「潮玩」とは、デザイナーズトイやアートトイ、フィギュアなど、コレクション性の高いクリエイティブな玩具を指し、特に若い世代から絶大な支持を得ています。これらの玩具は単なる遊び道具ではなく、自己表現の手段や感情的な価値を持つアイテムとして捉えられています。
ドール服は、この潮玩経済の延長線上にあると言えます。推し活の一環として自分の大切なドールやぬいぐるみにファッションを着せることで、オーナーは自己満足感や幸福感を得ています。また、これらのミニチュア服はSNSでの「映え」も意識されており、若者たちの間で情報が拡散しやすいという特徴もあります。
アパレルブランドの新たな戦略と市場の課題
アパレルブランドがドール服市場に参入する目的は、単に新しい収益源を確保するだけではありません。一つには、ブランドイメージの強化や若年層へのリーチ拡大が挙げられます。ミニチュア服を通じて、ブランドの遊び心やトレンドへの対応力をアピールし、潜在的な顧客層との接点を増やす狙いがあります。また、抱き合わせ販売のように、特定商品の販売促進に繋げる戦略も見て取れます。
しかし、加熱するドール服市場には課題も存在します。例えば、抱き合わせ販売は消費者にとって不必要な購入を強いる可能性があり、ブランドへの不信感につながることもあります。また、人気商品の品薄状態や高額な転売は、一部の消費者に不公平感をもたらす可能性もあります。市場が急速に拡大する一方で、ブランドは消費者体験を損なわないようなバランスの取れた戦略が求められるでしょう。
まとめ:日本市場への影響と今後の展望
中国で巻き起こるドール服ブームは、単なる一過性のトレンドではなく、若者の消費行動や感情的ニーズの変化を如実に示しています。ユニクロのようなグローバルブランドがこの市場に積極的に参入していることは、ドール服が単なるニッチな趣味の領域を超え、主流のファッションアイテムへと進化しつつあることを物語っています。
このトレンドは、今後日本市場にも影響を与える可能性があります。すでに日本でも、ぬいぐるみやフィギュア向けの衣装は一定の需要がありますが、中国のように大手アパレルブランドが本格的に参入し、プロモーションを仕掛けることで、新たな市場が形成されるかもしれません。アパレル業界は、今後もデジタル化と個人の趣味・嗜好に合わせた多様な商品展開が求められ、ミニチュアファッションはその先端を行く存在となるでしょう。私たち自身の「推し活」が、ファッション市場をさらに多様化させていく未来が待っているかもしれません。
元記事: pedaily












