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中国同人展CP32Preに日本IPの壁?「新国風」特化の波紋と国産コンテンツ台頭

Guofeng game art - 中国同人展CP32Preに日本IPの壁?「新国風」特化の波紋と国産コンテンツ台頭

中国最大級の同人誌即売会「Comicup」の杭州プレイベント「CP32Pre」が、開催直前に突如「新国風専場(ニューチャイニーズスタイル特化)」への変更を発表しました。この変更は事実上の日本IP(知的財産)作品の展示禁止を意味し、多くのクリエイターやファンに大きな波紋を巻き起こしました。混乱と皮肉が入り混じる中、会場では何が起こっていたのでしょうか?そして、この出来事が示す中国コンテンツ市場の新たな潮流とは何でしょうか?本記事では、その詳細と背景を探ります。

開催直前の「新国風専場」発表が巻き起こした波紋

突然のルール変更と現場の混乱

2023年12月27日、杭州で開催された「CP32Pre」は、まさに異例の幕開けとなりました。開催をわずか1週間前に控えた12月19日夜、Comicup運営事務局は「CP32Preを新国風専場に変更する重要公告」を突如発表したのです。この変更により、会場では「新国風」テーマに沿わない展示品やブースは撤去されることになり、多くの参加者は困惑しました。

突然の方針転換は、すでに航空券やホテルを予約していた遠方からの参加者や、日本IPの作品を展示予定だったサークルに大きな混乱をもたらしました。中には、Bilibiliで人気の「整活(パフォーマンス)」系配信者が、軍用コート姿で怪しげなボタンを並べ、「CP32Preがダメになった、助けて!」と叫びながら、日本IPのコスプレ禁止や国産ゲームのキャラクターへの転換を促すようなパロディを行う姿も見られました。これは、まさに現場の戸惑いを象徴する一幕でした。

ジョークと「建前」の狭間で

会場では、この変更を巡る皮肉やジョークが飛び交いました。例えば、日本のことを指す「11区」のコスプレは禁止だが、国産ゲーム『第五人格』のキャラクター「紐扣眼」のコスプレならOKといった半ば冗談のような話や、人気日本IPの作品を「中国の地方出身者」「北京の食いしん坊」といった形で“魔改造”する創作も生まれました。これは、規制と向き合うクリエイターたちの苦肉の策であり、ユーモアを交えながら現状に適応しようとする姿勢が伺えます。

しかし、多くの参加者はこの状況を「特殊時期(特別な時期)」として理解しているようでした。背景には、中日関係の変化や、民間レベルでのナショナリズムの高まりから、北京をはじめとする複数の都市で20以上の日本関連イベントが中止された事実があります。このような状況下で、イベントが開催されること自体に感謝の念を抱く声も少なくありませんでした。

厳格化された審査基準、その実態は?

「中国企業」が鍵を握る曖昧なルール

今回の「新国風専場」への変更で、最も議論を呼んだのが、その審査基準の曖昧さです。運営は「出品元」に基づいてIPのテーマ適合性を判断するとしましたが、その運用は複雑でした。例えば、全編日本語音声のゲームでも、制作会社が中国企業の傘下であれば審査を通過する一方で、日本の有名IPを基にした派生モバイルゲームは却下されるケースがありました。また、日本企業製の「国風」や三国志テーマのゲームは不合格となる一方、中国企業傘下の「和風」要素を持つゲームの同人作品はブースを維持できた例もあります。

この曖昧さから、「日本のIP作品も、中国のゲームとコラボしていれば展示できるのでは?」といった希望的観測が生まれることもありました。しかし、あるサークル主の証言によれば、コラボ作品であることを理由に別のエリアへ移籍できた事例はほとんどなく、転区が成功したのは、元々複数のIP作品を手がけており、その中に審査を通過できる国産IPが含まれていた場合が大半だったそうです。しかも、転区後も日本IPの展示は公式には許可されていませんでした。

日本IP排除の影響は限定的?国内コンテンツの強さ

これまでの同人イベントでは日本のアニメやゲームが中心と思われがちでしたが、今回の「日本IP排除」がCP32Preに与えた影響は、多くの人の想像よりも限定的でした。当初7000ブースあった出展申請は、最終的に5100ブースに減少しましたが、減少したのは全体の4分の1強に過ぎません。

さらに驚くべきは、会期2日間で16万人もの来場者を集め、チケットは発売開始からわずか数分で完売したことです。これは、国内の大型イベントとしては依然としてトップクラスの規模です。会場では、中国発の人気ゲーム『原神』や『崩壊:スターレイル』、アニメ『羅小黒戦記(ロシャオヘイセンキ)』などのブースが、かつての人気日本IPブースと変わらないほどの熱狂ぶりを見せました。近年のComicupの統計では、人気上位10位のIPのうち、日本IPはわずか2つに過ぎず、国産IPの台頭が顕著になっていることが伺えます。

一部の来場者からは、急な変更に伴う運営スタッフの不慣れを指摘する声もありましたが、全体としては、CP32Preは盛況のうちに幕を閉じました。

中国コンテンツ市場の新たな局面

「内需」の拡大とコンテンツの自給自足

今回のCP32Preの出来事は、中国コンテンツ市場が成熟期を迎え、国内IPが市場を十分に支えられるようになったことを明確に示しています。中日関係の変化を背景とした文化交流の制限は、結果的に国産IPへの投資と育成を加速させ、その質・量ともに飛躍的な向上を遂げました。かつて日本コンテンツに大きく依存していた中国市場は、今や「内需」を原動力として、自給自足に近い形でコンテンツを消費できる力をつけていると言えるでしょう。

日本市場への示唆

中国の同人イベントにおける「新国風専場」への移行は、単なる一時的な規制強化にとどまらず、中国コンテンツ市場の構造変化と方向性を示す重要なシグナルです。これは、日本のコンテンツ産業やクリエイターに対し、中国市場との向き合い方を再考するよう促しています。政治的・文化的な背景が複雑に絡み合う中で、いかにして新たな価値を創造し、国際的な交流の機会を見出すか、より戦略的な視点と柔軟な対応が求められる時代が来ていると言えるでしょう。

まとめ

中国の同人誌即売会CP32Preにおける「新国風専場」への変更は、中国コンテンツ市場が国産IPを中心に成熟し、自立性を強めていることを鮮明に示しました。政治的背景も影響しつつ、中国独自の文化「国風」を強調する動きは今後さらに加速する可能性があります。日本企業やクリエイターは、この新たな市場動向を深く理解し、国際的な文化交流のあり方を戦略的に再構築する必要があるでしょう。

元記事: chuapp

Photo by Pixabay on Pexels

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