中国広東省東莞に本拠を置く半導体材料の有力企業、広東中図半導体科技股份有限公司(以下「中図半導体」)が、上海証券取引所科創板(STAR市場)へのIPO申請を提出し、市場の注目を集めています。同社は窒化ガリウム(GaN)デバイス向けグラフィック化サファイア基板材料(PSS)に特化しており、その技術力と市場シェア約32.76%で知られています。2024年には収益減少の兆しがあるものの、半導体セクター全体の活況を背景に、今回のIPOは同社のさらなる成長を後押しする可能性を秘めています。
中国半導体材料の雄「中図半導体」がIPOへ
中図半導体は2023年12月31日、上海証券取引所科創板への上場申請を行い、国泰君安証券が引受人を務めます。2013年12月に設立され、2020年9月に株式会社化された同社は、東莞市松山湖ハイテク産業開発区に本社を置いています。実質支配者は陳建民氏で、直接的・間接的に株式の79.66%を保有しています。また、深セン創業投資が管理する湾区社保基金、達晨創投、国信資本といった有力機関投資家も出資しており、2025年7月時点での評価額は約31億元(日本円で約650億円)に達しています。
経営陣には、1983年生まれで工商管理修士の陳建民氏(董監事)と、1963年生まれで半導体物理学・デバイスが専門の康凱氏(董事長兼総経理)が名を連ねています。康凱氏は長春半導体工場研究所や、深セン、上海、亜威朗光電(中国)などの半導体関連企業での経験を持つベテランです。
GaNデバイスを支える基板材料の世界的プレーヤー
中図半導体は、窒化ガリウム(GaN)外延成長に不可欠なグラフィック化基板材料の研究開発、生産、販売を専門とする世界有数のメーカーです。主な製品は、2~6インチのグラフィック化サファイア基板(PSS)と、4~6インチのグラフィック化複合材料基板(MMS)で、これらは半導体産業チェーンの上流に位置する中核的な材料です。4インチ換算での年間生産能力は1,800万枚を超えています。
これらの製品は、Mini/MicroLED、自動車照明および車載ディスプレイ、RGB直視型ディスプレイ、バックライトディスプレイ、一般照明など幅広い分野で活用されています。特に、GaNパワーデバイスの分野では、その応用が日増しに成熟しています。
中図半導体は、サファイアウェハを主要原料とし、露光装置、コーター、現像装置、ICPエッチング装置、プラズマ化学気相成長装置(PECVD)などの主要生産設備を用いてPSSやMMSを製造しています。同社の生産プロセスは、LED産業チェーンの最上流を担っています。
市場動向と中図半導体の未来展望
中図半導体は、2024年には収益が減少傾向にあるものの、グラフィック化サファイア基板市場で約32.76%のシェアを占めるリーダー的存在です。しかし、半導体業界は競争が激しく、常に技術革新と市場変動のリスクに直面しています。同社もまた、競争リスクを抱えていることを認識しています。
今回のIPOは、中図半導体が資金を調達し、研究開発への投資を強化し、生産能力を拡大するための重要なステップとなるでしょう。特にGaNデバイス市場は、高性能・高効率な電力変換や通信分野での需要拡大により、今後も大きな成長が見込まれています。中図半導体がこの成長市場でどのような戦略を展開していくのか、注目されます。
まとめ:中国半導体材料企業の躍進と日本への示唆
中図半導体のIPO申請は、中国が半導体産業のサプライチェーンにおいて、上流の材料分野でも存在感を高めていることを示しています。GaNは次世代パワーデバイスや高周波デバイスの主要材料として期待されており、その基盤を支える中図半導体の動向は、世界の半導体産業、特に材料分野に大きな影響を与える可能性があります。
日本の半導体業界にとっても、中国の有力材料メーカーの動向は無視できません。技術提携や市場開拓の機会を探るとともに、サプライチェーンの多様化という観点からも、今回のIPOは注目に値するでしょう。今後、中図半導体がどのような技術革新と市場戦略で世界をリードしていくのか、その動向から目が離せません。
元記事: pedaily












