2021年に発売されたゲーム『The Big Con』は、90年代のアメリカを舞台に、母のために奮闘する少女の物語を描いたアドベンチャーゲームです。心温まる展開と秀逸なキャラクター描写が魅力の傑作として、中国のゲームメディア「触楽(Chuapp)」のコラム『怪話』でも絶賛されています。しかし、この記事ではその素晴らしい内容とは裏腹に、日本語タイトル「詐欺嬌娃(さぎきょうわ)」への疑問が投げかけられています。なぜこのようなタイトルになったのか、そしてそれがゲーム体験にどのような影響を与えるのか、原文を交えて考察します。
『The Big Con』:90年代アメリカを舞台にした心温まるロードトリップADV
『The Big Con』は、アイテム探しとQTE要素を組み合わせたパズルアドベンチャーゲームで、全体的な難易度はそれほど高くありません。物語の舞台は1990年代のアメリカ。主人公は中学生のエリーです。母親が高利貸しに苦しめられ、家族が経営する小さなレンタルビデオ店が危機に瀕していることを知り、エリーは悪友テッドの助けを借りて、アメリカ横断のロードトリップに出発します。道中、様々な「詐欺まがい」の行為でお金を集め、最終的には悪の勢力を打ち破り、母娘が再会するという心温まるストーリーが展開されます。
主人公エリーと母親の絆
記事の筆者は、主人公エリーを映画『グリーン・デスティニー』の玉嬌龍(ユー・ジャオロン)になぞらえています。若く、頑固で、世間知らずな点は共通していますが、エリーはより親しみやすく、反抗期真っ只中の等身大の少女として描かれています。性別や生い立ちを気にせず、純粋に相手に好意を抱くような曖昧な感情は、プレイヤーに可愛らしさを感じさせます。また、エリーと母親の関係性も物語の重要な要素です。当初はお互いを理解し合えない場面もありましたが、最終的には健全な方法で解決へと向かいます。
母親は悪徳業者からエリーを遠ざけようとしますが、エリーは母親に全てを背負わせたくない、そして自分たちの店を守りたいという一心で、母親に内緒で家を出ます。旅の途中、母親に電話する機会が何度も訪れ、プレイヤーは正直に話すか、ごまかし続けるかを選択できます。筆者はエリーの気持ちを推し量り、真実を隠し続けたそうですが、次第に母親が全てを察しているのではないかと感じ始めたといいます。そして、真相が明らかになった際、母親はエリーを責めるどころか、「エリーに、全ての責任を彼女が負うべきだと感じさせてはいけなかった」と自分自身を反省します。母親は、エリーには自分が得られなかった自由な人生を送ってほしいと願いますが、エリーは店こそが自分の全てだと反論します。最終的に母親はエリーの考えを受け入れ、二人は互いを尊重し、共に未来を切り開く道を歩み始めます。厳しい冬の季節に、このような「心が温まる」物語に出会えたことは、筆者にとって何よりの喜びだったようです。
「好故事,坏名字」:なぜ『詐欺嬌娃』なのか?
ゲーム全体を通して筆者が唯一不満を感じたのは、その日本語タイトル「詐欺嬌娃」だったと言います。翻訳作品の評価基準とされる「信、達、雅」(原文に忠実で、内容が正確に伝わり、優雅であること)に照らし合わせると、このタイトルは「信」も「達」も満たしていないと指摘しています。「The Big Con」を直訳すれば「大いなる詐欺」ですが、なぜ「詐欺」という古めかしい言葉を選んだのでしょうか?この言葉は「欺詐」や「欺騙」といった一般的な言葉と比べて特別な意味があるわけではなく、ただ発音しにくいだけだと筆者は感じています。
「嬌娃」という言葉の違和感
さらに問題なのは「嬌」の字です。主人公エリーは中性的な外見で、その性格も「か弱い」「可憐で美しい」といった「嬌」に関連する言葉で形容できるものではありません。記事の筆者は、「嬌娃」という二文字が、あたかも主人公に魅力を過剰に与えようとしているように感じると述べています。これは、中国の人気SNS「小紅書(RED)」で流行している、女性を過度に強調するような、古臭い表現(通称「登味」)に類似した感覚だといいます。
翻訳者の意図とターゲット層への影響
筆者は、この翻訳が翻訳者の理解不足や主人公への勝手な幻想から来たものなのか、それとも「トゥームレイダー」のようにギャップを狙ったものなのかは断定できないとしています。しかし、このような表現は、本来のターゲット層とは異なる人々を引き寄せてしまう可能性を懸念しています。野生的で反抗的なエリーの姿を、誤解なく受け止められる人々が、このタイトルによって遠ざけられてしまうのではないか。あるいは、これもまた「詐欺」の一環なのか、と問いかけています。
まとめ:名作を伝える翻訳の難しさ
『The Big Con』は、90年代アメリカの雰囲気や、反抗期の少女と母親の絆を丁寧に描き出した傑作アドベンチャーゲームです。しかし、中国のゲームメディアが指摘するように、その日本語タイトル「詐欺嬌娃」は、ゲームの本質や主人公の魅力を十分に伝えているとは言えないかもしれません。名作の魅力を日本のゲーマーに正確に伝える上で、翻訳タイトルが果たす役割の大きさを改めて考えさせられる事例と言えるでしょう。ゲーム翻訳の奥深さと難しさを改めて認識する、示唆に富む記事でした。
元記事: chuapp
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