中国の大手ゲーム会社、楽元素(Happy Elements)が新たな3Dアイドルゲーム『V Project』のPVと実機デモを公開しました。この新作は、従来のアイドルゲームの枠を超え、K-POPの最新トレンドを取り入れたリアルな表現と、プレイヤーとの“共感”を重視する姿勢が注目されています。単なる仮想アイドルではない、まるで「生活の中に存在する友人」のようなアイドル体験を提供する『V Project』は、ゲームにおけるキャラクター表現と感情的な繋がりをどう進化させるのでしょうか。最新のPVから見えてくる、その画期的なアプローチを深掘りします。
リアル志向の「共感」アイドルゲームの登場
これまで楽元素は、『あんさんぶるスターズ!!』(中国語版『偶像梦幻祭2』)や『戦え!歌姫!』といった3Dアイドル関連プロジェクトで実績を積んできました。しかし、新作『V Project』は、これまでの作品とは一線を画す、より生活に密着した、軽やかな雰囲気をまとっています。
既存のアイドルゲームとの違い:K-POP「五代団」に迫るリアルさ
PVで最初に公開された3人のキャラクター、李赫(Lee)、沈尼尔(Near)、周拾乐(OCT)は、そのビジュアルや振る舞いからK-POPアイドルの最新世代、「五代団」(2018年以降にデビューしたグループを指すことが多い)を強く意識していることが伺えます。カジュアルで自然体なメンバー間の交流、感情をダイレクトに伝える舞台パフォーマンスなど、全体的に「弛緩した」印象があり、従来の「非日常的」で壮大な世界観を持つアイドルゲームとは一線を画しています。
実機デモでは、舞台や練習室でのパフォーマンスが現実のアイドルプロモーションビデオのように展開され、キャラクターたちのダンスの統一感、歌唱の安定性、立ち位置の細部までがクリアに示されています。これはモーションキャプチャ同期、音源、演出の細部にまでこだわった結果であり、ゲーム内での高い再現性を期待させます。
『V Project』が描く「日常」と「リアル」
多くの日本のアイドルゲーム、特に二次元やACG(アニメ・コミック・ゲーム)要素が強い作品では、複雑な世界観や「非日常」的なドラマ、時には超自然的な設定が「偶像」をよりカリスマ的に描いてきました。しかし、『V Project』は、そうした従来の枠組みから意図的に距離を置いているようです。PVでは、アイドルたちの日常的なシーン、視点切り替え、そして生活旅行番組のようなトランジションが多用されており、「現実世界に限りなく近いアイドル像」を構築しようとする制作陣の意図が強く感じられます。キャラクターの洗練されたモデリングも、成熟した韓流スタイルを取り入れ、日常的なシーンや衣装に溶け込んでいます。
「Touch」技術とプレイヤーとの感情的な繋がり
『V Project』は、その定義において「共感」を強調しています。この「共感」を実現する核となるのが、ゲームの核心設定である「記憶重現技術 Touch」です。「Touch」を通じて、プレイヤーは視点が絶えず切り替わる中で、アイドルの経験、行動、そして生活の細部を観察し、追体験することができます。
プレイヤーとアイドルを結ぶ「記憶重現技術 Touch」
PVで示された「Touch」技術による視点は、ドキュメンタリー撮影のような客観的な視点から、アイドル自身が持つデバイスで日常を記録する「Self-cam」のような一人称視点まで多岐にわたります。大量のメッセージや絵文字(本記事では使用していませんが、ゲーム内で登場)の要素も相まって、K-POPアイドルが近年コンセプトとして打ち出している「偶像」から「生活の中の友人」へのシフトと密接に結びついています。
このようなアプローチは、プレイヤーがよりリアルでパーソナルな形でキャラクターと感情的な繋がりを築くことを目指しています。これをゲームという媒体で実現することは、制作コストや難易度が飛躍的に高まりますが、技術の力を借りてキャラクターを「本物」に近づけることで、より深い没入感と共感を生み出す可能性を秘めていると言えるでしょう。
ゲーム業界の新たな潮流と未来
『V Project』のPVのキャッチコピーは「Touch技術がエンターテイメント産業に応用され、新たなインタラクティブコミュニティと感情表現が生まれる時、この老舗芸能事務所は新しい練習生企画で再び注目を集める」とあります。これは、テクノロジーの進歩がゲームのあり方、そして人々との関わり方を大きく変えつつある現代を象徴しています。
技術が拓くキャラクター表現の可能性
これまでのゲームでは、複雑で綿密な「物語」がキャラクターを形作る前提とされてきました。しかし、現代においては、鮮やかな表情の変化や、細かな身体の動きといった技術的な表現が、物語以上に直接的にキャラクターの本質を形作り、プレイヤーに大きな影響を与える可能性が出てきています。『V Project』は、まさにこの新たな潮流の一部であり、キャラクター造形における技術の重要性を強く示唆しています。
感情的サポートとしてのゲームの役割
私たちは今、日々自身の感情的なニーズをより重視し、様々な形で感情的なサポートを求めています。もし、ゲーム業界がそうしたユーザーの切実なニーズに応えることができるとしたら、それは非常に大きな可能性を秘めています。『V Project』が「恋愛体験を提供しない」という明確な観察者視点を取りながらも、アイドルという題材で感情的な繋がりを追求する姿勢は、現代のプレイヤーが求める「リアルに寄り添う、個別の感情サポート」を提供しようとするゲーム業界の進化を示しているのかもしれません。
元記事: chuapp












