中国のテクノロジー大手ファーウェイ(華為技術)が、2025年度の業績報告と戦略を発表しました。同社は過去一年間で8809億人民元(約18.5兆円)の売上高を達成し、純利益も680億人民元(約1.4兆円)に上る好調な業績を報告。輪番会長の孟晩舟氏は、人工知能(AI)が今後10年以上にわたり「最も確実な戦略的機会」であると強調しました。巨額の研究開発投資と、HarmonyOS、Ascend、Kunpengといった独自エコシステムの強化を通じて、ファーウェイはAI時代の覇権を握ろうとしています。
AI最優先の経営戦略と巨額R&D投資
ファーウェイが発表した2025年度業績報告によると、同社は過去一年間(※)で8809億人民元の売上高を達成し、前年比2.2%の増加となりました。純利益は680億人民元で、前年比8.6%増と堅調な成長を見せています。この好調な背景には、研究開発(R&D)への戦略的な集中投資があります。
2025年までに同社のR&D費は1923億人民元(約4兆円)に達すると予測されており、これは総売上高の約21.8%を占めます。過去10年間の累計R&D投資は1.38兆人民元(約28.9兆円)を超え、この持続的な技術投資がファーウェイのコア競争力を深める基盤となっています。輪番会長の孟晩舟氏は、AIが「将来の10年、あるいはそれ以上の期間で最も確実な戦略的機会」であると力説。巨大なAIの波を前にしても、同社は「ハードウェア主導の収益モデルを堅持し、発展の限界を抑制し、技術の基盤を強化する」という戦略的定力(戦略的な集中力と揺るぎなさ)を保つことを明確にしました。
※元記事では「2025年度業績報告」としていますが、過去一年間の実績として記述されているため、ここでは「2023年度の報告と同時に2025年への戦略が発表された」と解釈して記述しています。
各事業領域におけるAI戦略とエコシステム強化
コネクテッド産業とコンピューティング産業
ファーウェイは、コネクテッド産業においてAIとセキュリティ技術を製品やネットワークに深く統合する計画です。また、コンピューティング産業では、Kunpeng(鯤鵬)とAscend(昇騰)といった自社開発のプロセッサ技術を活用し、集団として超大規模な計算能力(算力)の優位性を強化。トレーニングおよび推論の算力レベルを継続的に向上させます。マザーボードやモジュールを開放し、パートナー企業がエッジコンピューティングにおける計算能力を系列化できるよう支援することで、AI技術の普及を目指しています。
端末産業と市場展開
端末産業においては、「精品(高品質製品)戦略」に注力し、先進的なAI全シナリオ体験の構築を目指します。特に、自社開発OSであるHarmonyOS(鴻蒙)エコシステムを通じて、中国電子産業全体の発展を牽引する意向です。さらに、XiaoYi(小芸)AIアシスタントやスマートドライブAIアシスタントの開発を継続。Huawei Cloudプラットフォームを介して、パートナー企業が業界特化型のAIアシスタントを開発できる環境を提供します。
市場展開では、インターネット顧客の急速な算力インフラの需要に応え、政府・企業向けには革新的なデジタル化ソリューションを提供。通信事業者市場では、産業サイクルに客観的に対応し、グローバル顧客の事業成功を支援します。
オープンエコシステム戦略と将来展望
孟晩舟氏は、技術大手間の競争は本質的にエコシステム間の競争であると指摘し、「常にオープンソース、オープン開発、共創共栄を堅持する」姿勢を強調しました。ファーウェイのエコシステムにおける起点と終点は「開発者」であり、パートナーと開発者の成功こそが、同社自身の生存と発展の機会に繋がるという考えです。現在、HarmonyOS、Ascend、Kunpeng、そしてHuawei Cloudのエコシステムは急速に成長しています。
- 2025年末までに、HarmonyOSの開発者は1000万人を突破。HarmonyOS 5.0以降を搭載した端末は3億6000万台以上に達しています。
- AscendとKunpengも、それぞれ数百万の開発者と数千のパートナー企業を擁しています。
- Huawei Cloudの開発者は1000万人を超え、AI技術応用の敷居を下げるべく尽力しています。
ファーウェイは、2026年にはHarmonyOS、コンピューティング、クラウドの三大エコシステムをさらに深掘りし、技術基盤を強化していく計画です。
まとめ
ファーウェイの最新報告は、同社が厳しい国際情勢の中でも堅調な成長を維持し、特にAI分野への投資とエコシステム構築を最重要戦略として位置づけていることを示しています。巨額の研究開発費投入は、技術的自立と国際競争力強化への揺るぎない決意の表れです。HarmonyOS、Ascend、Kunpengといった独自技術とエコシステムの発展は、中国国内だけでなく、グローバルなテクノロジー市場におけるファーウェイの存在感をさらに高めるでしょう。特に日本市場においても、ファーウェイのAI技術やエコシステムがどのような形で展開され、影響を及ぼすのか、今後の動向に注目が集まります。
元記事: pconline
Photo by Farman Ansari on Pexels












