今週の中国ゲーム業界は、新たな動きと激しい競争の波に揺れています。人気IPの新作オープンワールドゲーム『王者荣耀世界』のPC版が満を持して登場し、AI技術を駆使した乙女ゲーム『EVE』が新たな市場を開拓。一方、北京市はゲーム産業の振興に向けた新拠点を設立し、業界全体の底上げを図ります。しかしその裏では、一部人気ゲームのサービス終了や開発チームの内情に関する報道もあり、中国ゲーム市場の光と影が鮮明になった一週間となりました。
中国ゲーム産業を牽引する北京市:新拠点「ゲームセンター」始動
2026年4月、ゲーム政策説明会と同時に、北京市出版版権協会ゲームセンターの除幕式が北京で開催されました。北京市出版版権協会の王野霏理事長は、このゲームセンターがゲーム産業に特化したプラットフォームであり、政策伝達、資源統合、政府と企業の連携、そして業界の自主規制という四つの主要機能を担い、業界の発展に的確なサービスを提供すると述べました。このセンターの設立は、北京市のゲーム産業がより安定的に発展するための新たな一歩となるでしょう。
各区が打ち出す具体的な支援策
政策説明会では、北京市内の各区がゲーム産業に対する具体的な支援策を発表しました。朝陽区は技術研究開発、オリジナル作品の制作、eスポーツイベント開催などに対する専門的な支援を、海淀区は高品質なコンテンツ制作、技術革新、人材育成への支援を表明。さらに石景山区は、イノベーション主導と優良作品育成を核とした産業政策を打ち出し、SFゲーム産業の集積地形成に力を入れる方針です。
人気IPの挑戦と新たなゲーム体験:『王者荣耀世界』とAI乙女ゲーム『EVE』
満を持してPC版登場!『王者荣耀世界』が切り開く新境地
2026年4月10日、TencentのTiMi Studiosが開発したオープンワールドMMORPG『王者荣耀世界』のPC版が正式にリリースされました。今後モバイル版も登場し、両プラットフォーム間でデータが同期されます。本作は人気MOBA『王者荣耀』のIPを基盤とした東洋ファンタジーで、プレイヤーは「元流の息子」として王者大陸を冒険し、お馴染みの英雄たちと共に成長します。PvPモードも開発中で、1V1および4V4が計画されているとのこと。激戦区のオープンワールド市場で、深いユーザー基盤を持つ本作がどのような差別化を図り、勝ち残るかに注目が集まります。
AIが紡ぐ恋愛体験:『EVE』が示す未来のエンタメ
同じく2026年4月10日、自然選択社が開発したAIコンパニオンアプリ『EVE』がiOS向けにリリースされました。これは今年初のAIコンパニオンアプリとして大きな注目を集めています。製品はゲームのような恋愛シミュレーション要素を持ち、ユーザーはキャラクターとのチャットを通じて絆を深め、様々なインタラクションを解禁できます。当初は男性向けに企画されたものの、女性ユーザーが感情的な対話や「寄り添い」機能により明確なニーズを持つと判断し、女性向けバージョンが先行して開発されました。中国では2025年以降、『EVE』に続く女性向けAIアプリが多数登場しており、『EVE』の市場での反応は、このAIコンパニオンアプリブームの行方を占う上で重要な指標となるでしょう。
躍進する大手と苦境に立つインディー:中国ゲーム業界の二極化
巨人網絡が記録的増益!ヒット作とAI融合の成功
巨人網絡(Giant Network)は、2025年の売上高が前年比72%増の50.47億元、純利益が17.14%増の16.69億元を達成したと発表しました。さらに2026年第1四半期には、純利益が前年同期比187.47%~224.96%増の10~12億元に達すると予測しており、記録的な成長を見せています。この好業績は、「中国風の微ホラー+捜索・戦闘・撤退」という独自性を持つ『超自然行動組』のヒットが大きく貢献しています。同作は日間アクティブユーザー(DAU)が1000万人を突破し、AI大規模モデルをゲームに深く融合させることに成功しました。また、既存の主力タイトル『原始征途』もミニゲーム版のリリースとプロモーションにより、年間3000万人以上の新規ユーザーを獲得し、堅調な運営を続けています。
『新月同行』サービス終了、そして『明末』制作陣の動向に見る厳しさ
一方で、市場の厳しさを物語る出来事も続いています。2026年4月9日、新怪談系二次元ゲーム『新月同行』が6月9日でのサービス終了を発表しました。昨年12月にコンテンツ更新停止を発表してからの典型的な終了パターンであり、サービス開始から1年半足らずでの幕引きとなりました。開発チームは、ゲーム許認可の凍結期間(版号寒冬)や、高騰する運営コスト、二次元ゲームジャンルの激変など、様々な困難に直面したことを明かしています。また、国産シングルプレイゲーム『明末:渊虚之羽』では、制作人である夏思源氏が開発チームから離職したとの噂が流れ、開発チームの外部委託拒否や賃金未払い疑惑が浮上。人気作であっても、中国ゲーム開発の現場が抱える課題が浮き彫りとなりました。
まとめ
2026年4月の中国ゲーム業界は、北京市による産業振興策、大手企業の新作リリースと記録的業績、AIを活用した新ジャンルの登場など、目覚ましい発展が続く一方、競争激化によるサービス終了や開発現場の課題も浮き彫りになりました。特にAI技術のゲームへの応用は、今後の日本市場にも大きな影響を与える可能性を秘めています。中国ゲーム業界のダイナミックな動きは、世界のゲームトレンドを占う上でも引き続き注目すべきでしょう。
元記事: chuapp
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