2026年4月10日、中国発の国民的MOBA『Honor of Kings』の世界を舞台にしたオープンワールドRPG『Honor of Kings World(王者荣耀世界)』のPC版が、ついに正式オープンβテスト(OBT)を開始しました。OBT初日から関連ワードが複数のトレンドランキングに浮上するなど、本作は高い期待を集めると同時に、そのプレッシャーも並々ならぬものがあります。
開発チームは本作を「王者プレイヤーへの贈り物」と位置付けており、その言葉通り、数値バランスやストーリー、育成・ソーシャルシステムに至るまで、開発過程での「推敲(すいこう)」は非常に高頻度かつ緻密に行われてきました。開発者自身が「完璧な贈り物」を目指し、プレイヤーの心に寄り添う作品を作り上げてきたその軌跡をご紹介します。
プレイヤーと共に紡ぐ「王者の世界」の物語
国民的IPの重みとプレイヤーの期待
『Honor of Kings』は10年以上にわたり、中国の国民的IPとして多くのプレイヤーに愛されてきました。そのため、派生作品である『Honor of Kings World』が直面する課題は計り知れません。「世界」という広大なテーマに対し、プレイヤー一人ひとりが異なるイメージを抱いているからです。誰もが満足する「贈り物」を届けるにはどうすれば良いのか――それは開発チームにとって常に大きな挑戦でした。
しかし、正式リリースが近づくにつれて、これまでのテストに参加してきた多くのプレイヤーたちが自発的にゲームのプロモーションやQ&Aに協力し始めたのです。彼らのSNSには「無限にテストに参加し、5年という長い道のりを経て、ついにこの日を迎えた」「テストを通じて、ゲームが粗削りな状態から洗練されていく過程を見守れたことは、とても大切な時間だった」といった熱い思いが綴られています。これは、開発チームだけでなく、プレイヤー自身もまた、この「贈り物」を共に磨き上げてきた証と言えるでしょう。
ベータテスター「核桃」が語る開発の軌跡
プレイヤーの一人、核桃(フータオ)さんも、本作のテストに複数回参加してきました。2023年8月の最初のテストでは、まだ基本的な戦闘ロジックしか体験できなかったものの、ベテランの『Honor of Kings』プレイヤーとして「とても興奮した」と語ります。その後もテストを重ねるうちに、「バグを見つけ、フィードバックを出すことに集中するようになった」そうです。
特に印象的だったのは、2024年のテストでストーリーが一気に充実したこと。キャラクターの動きやセリフは『Honor of Kings』プレイヤーなら誰もが「おなじみ」と感じるもので、ゲーム序盤では、ヒーローの「曜(ヤオ)」が「西施(シーシー)」に「学識宝石」を贈る場面で、核桃さんは思わず笑ってしまったと言います。これは『Honor of Kings』プレイヤー間でおなじみのジョーク(ジャングルが中央レーンで経験値を横取りし、ミッドレーナーに「宝石」を買うよう茶化す)であり、こうした「王者プレイヤーが思わずニヤリとする」要素が満載なことに、核桃さんは「この世界にはユーモアがあって、プレイヤーをよく理解している」と好感を抱いたそうです。
核桃さんはその後、ゲームに深く没入し、メインクエストをクリアした後は、サブクエストや隠し要素を隅々まで探索するほど熱中しました。彼女のSNSには、『Honor of Kings World』に関する長期にわたる注目と、その時々の心情が記録されています。テスト後の感想から、リーク情報への反応、そしてテストごとの変化の議論、さらには公式素材を使ったプロモーション動画の制作まで、その情熱は尽きることがありません。
2024年8月には、核桃さんは公式が主催するオフライン試遊会に招待されました。全国から集まった他のプレイヤーたちと交流し、最新のデバイスで高品質なゲームを体験できたことで、彼女のゲームへの期待はさらに高まります。特に印象的だったのは、開発者との質疑応答でした。予定の1時間をオーバーし、1時間半にわたって交わされた意見交換では、厳しい質問や批判的な意見も飛び交いましたが、開発チームは一つとして回避することなく、真摯に耳を傾けたといいます。核桃さんは、その誠実な姿勢に感銘を受けました。
その中でも、核桃さんと多くのプレイヤーが強く意見を伝えたのが「課金モデル」についてでした。当初、『Honor of Kings World』は既存のオープンワールドRPGで一般的な「キャラクターガチャ」形式を検討していましたが、プレイヤーたちは「『Honor of Kings』のヒーローはそれぞれに積み重ねてきた思い入れがある。人気がないからといってレアリティに差をつけるべきではない」と強く反発しました。
このフィードバックを受け、開発チームは「課金システムの大幅な変更は難しいかもしれない」という核桃さんの予想を裏切り、「アバター課金」モデルへと大胆に変更しました。この決定は、開発チームが本当にプレイヤーの声を尊重し、「贈り物」を最高の形で届けようとしている証でした。オフライン試遊会の2ヶ月後、『Honor of Kings』の9周年イベント会場で、核桃さんは『Honor of Kings World』の祈願カードに「早日公測!!!」(早くOBTが始まりますように!!!)と書き記しました。
5年の開発、3年のテスト。秘められた「贈り物」の完成
「奇麟」が振り返る、プレイヤーと開発の長い旅路
別のプレイヤーである奇麟(チーリン)さんもまた、自身のSNSで「『Honor of Kings World』の5年開発、3年テスト」と題した動画を公開しています。その内容は、彼がテストに参加してきた個人的な感想、初期の粗さから後の変化、そして多くのプレイヤーと共に戦い、待ち続けた日々を振り返るものです。「秘密のテストの日々は、まるで送られることのなかった手紙のようだった」と、動画の終盤で彼は語っています。
奇麟さんは「これまで、一つのゲームにここまで真剣に向き合い、理解しようとしたことはなかった」と明かします。バージョンやアップデートを気にすることもなく、攻略記事を書くことなど考えもしなかった彼が、今では『Honor of Kings World』の攻略ブロガーの一人となっています。彼の言葉は、多くのプレイヤーが本作の開発プロセスにどれほど深く関わり、愛情を注いできたかを物語っています。
まとめ
『Honor of Kings World』は単なる新作ゲームではありません。それは、国民的IPが持つ期待と重圧の中で、開発チームが「王者プレイヤーへの贈り物」として、文字通り心血を注いで磨き上げてきた作品です。そして何よりも、数年にわたる綿密なテストを通じて、プレイヤーからの熱いフィードバックを真摯に受け止め、共にゲームを形作ってきた稀有な成功事例と言えるでしょう。
特に課金モデルの大胆な変更は、開発チームがプレイヤーコミュニティの声に耳を傾け、彼らのゲームへの愛情を何よりも尊重した結果です。日本のゲーム業界やプレイヤーコミュニティにとっても、中国のゲーム開発におけるこうした「プレイヤー参加型」のアプローチは、大いに参考になるのではないでしょうか。OBTが始まったばかりの「Honor of Kings World」が、今後どのような成長を見せてくれるのか、その壮大な物語の続きに期待が高まります。
元記事: chuapp
Photo by Nika Benedictova on Pexels












