中国のテレビ市場が、驚くべき変化の渦中にあります。市場全体は縮小傾向にあるものの、消費者の間では「より大きな画面」を求めるニーズが爆発的に高まり、テレビの平均サイズが過去最高を記録しました。特に75インチ以上の超大型モデルが市場を牽引し、リビングルームの常識を塗り替えつつあります。Mini LEDといった先進技術の普及も進み、中国のテレビ市場はまさに「大画面・高機能」の新時代へと突入しています。
市場縮小の裏で進む「大型化」の波
中国の調査会社「洛图科技(RUNTO)」が発表した2026年第1四半期の中国テレビ市場データによると、市場全体は冷え込みを見せています。出荷量は806.5万台で前年同期比8.8%減、小売販売量も640万台で同11.4%減と、4四半期連続の下落を記録し、短期的な回復は難しい状況です。
しかし、この数字の裏側で、消費者が購入するテレビのサイズは飛躍的に拡大しています。2026年第1四半期における中国国内テレビ市場の平均サイズは64.3インチに達し、前年同期比で2.6インチも大きくなりました。これは過去最高の記録であり、中国市場が本格的な「大画面時代」に突入したことを明確に示しています。
75インチが人気の中心、98・100インチも一般家庭へ
特に注目すべきは、75インチモデルが2年連続で最も人気のあるサイズとなっている点です。販売量シェアは24.3%を占め、75インチ以上の大型製品の販売量シェアは約40%に迫ります。また、75インチ、65インチ、55インチ、85インチの4つの主要サイズで、市場販売量全体の7割以上(74.7%)を占めている状況です。
リビングルームにおけるテレビの推奨視聴距離とサイズの基準では、2.5メートルから3.5メートルの距離に対して60インチから120インチの製品が適切とされており、65インチ、75インチ、85インチが主流の選択肢となっています。さらに驚くべきことに、かつては業務用や富裕層向けだった98インチや100インチといった超大型テレビも、徐々に一般家庭への普及が始まっているとのことです。
高機能化も加速!Mini LEDと省エネモデルが主流に
テレビの大型化と並行して、高機能化も市場のトレンドを形成しています。テレビ全体の平均価格は上昇傾向にあり、消費者はより高性能な製品を求めていることが伺えます。
省エネ性能では、エネルギー効率等級1のテレビが主流となり、小売販売量における浸透率は78.3%に達し、前年同期から大幅に向上しました。環境意識の高まりと、より効率的な電力消費を求めるニーズが背景にあると考えられます。
また、画質面ではMini LEDテレビの普及が加速しています。小売販売量の浸透率は26.7%に達し、小売販売額で見るとほぼ半分を占める勢いです。Mini LEDは、従来の液晶テレビよりも優れたコントラストと明るさを実現し、大画面での視聴体験を一層向上させます。2026年通年のMini LEDテレビの出荷量は、前年比で約4割の成長が見込まれており、今後の市場を牽引する重要な技術となるでしょう。
まとめ:中国テレビ市場の新たな方向性
中国のテレビ市場は、全体的な販売台数は減少しているものの、個々の消費者が求めるテレビはますます大型化し、高機能化しているという興味深いトレンドを示しています。リビングルームの中心に置かれるテレビは、単なる映像機器から、より没入感のあるエンターテインメント体験を提供する「窓」へと進化していると言えるでしょう。75インチが新たな「標準」となり、98インチや100インチが一般家庭に浸透し始めるこの流れは、日本の消費者のテレビ選びにも今後大きな影響を与えるかもしれません。
Mini LEDなどの最新技術の普及と省エネ化の進展は、今後のデジタル家電市場全体の方向性を示唆しており、中国発のトレンドが世界に波及する可能性も十分に考えられます。日本のメーカーや小売店も、この中国市場のダイナミックな変化から目を離すことはできないでしょう。
元記事: mydrivers
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