中国の自動車市場に新たな風が吹いています。東風汽車とファーウェイ(Huawei)傘下のスマートカーソリューション部門「ファーウェイ乾崑」が共同で手掛けるハイエンドブランド「問界(AITO)」のフラッグシップSUV「問界X9(AITO X9)」が、ファーウェイ武漢研究所を訪問しました。これは、単なる視察ではなく、「ファーウェイ乾崑 全スタック技術の旅」の幕開けであり、問界X9のグローバル10大R&D拠点訪問計画の第一弾となる重要なマイルストーンです。
問界X9:ファーウェイ「全家桶」技術が拓く未来の車載体験
問界X9は、中国の自動車技術革新の最先端を行く大型6人乗り旗艦SUVとして、今年の第3四半期に正式に市場投入される予定です。この車両は、東風汽車とファーウェイ乾崑が今年5月に締結した「全面深化戦略的提携2.0協定」の具体的な成果であり、両社の提携が従来の技術統合から製品の共同創造、ブランドの共同構築へと新たな段階に進んだことを示しています。
今回のイベントでは、問界X9に搭載されるファーウェイ乾崑の車載光技術「全家桶(クァンジアトン:あらゆるニーズに対応するオールインワンパッケージを意味する中国語スラング)」の3つの核となる製品が披露されました。これらは、スマートカー分野におけるファーウェイの革新的な実力を明確に示しています。
次世代を担う3つの核となる光技術
ファーウェイ武漢研究所は、30年以上にわたる光通信技術の蓄積を持つ、ファーウェイ光技術の中核研究開発拠点です。ここで生み出された技術が、問界X9に搭載されています。
- HUAWEI XPIXEL 百万画素スマートプロジェクションヘッドランプ: このヘッドランプは、単なる照明を超えたスマートなインタラクション機能を提供します。対向車とのすれ違い時には自動でハイビームを減光し、走行中には曲がる方向や歩行者への注意喚起を路面に投影して安全な運転をサポート。専用の「星河(シンホー)ウェルカムライト」は、個性的なデザインでユーザーの感情的な体験を向上させます。
- HUAWEI XSCENE 車載レーザープロジェクション: 業界最高水準の2000:1というコントラスト比、98%の超広色域、ドイツのテュフ・ラインランドによるブルーライト認証を取得し、比類ない画質体験を車内で実現します。スマートフォンからのシームレスなストリーミング機能をサポートし、一人用、二人用、さらにはファーウェイの「霊動島(リンドンダーオ)」のような多様な視聴モードに対応。家族でのキャンプや日常の移動を「移動するIMAXシアター」に変えます。
- HUAWEI XHUD 拡張現実ヘッドアップディスプレイ: ナビゲーションの矢印、速度制限情報、先行車との距離といった重要な情報をリアルタイムで実景に重ねて表示します。これにより、ドライバーは「見たものがそのまま得られる」直感的な運転体験を得られ、運転の利便性と安全性が大幅に向上します。
これら3つの技術の融合により、問界X9は新エネルギー車時代における「テクノロジーの新たな灯台」とも言えるモデルとなっています。
「全スタック共同開発」モデル:中国スマートカー開発の新境地
今回の提携は、従来の「購入型提携」とは一線を画す「全スタックネイティブ共同開発」モデルを採用しています。両社は数百億元規模の資金を投じ、5000人を超える共同開発チームを結成。共同での定義、開発、オフィスワーク、マーケティングといった全ライフサイクルをカバーしています。
このモデルは、三電(バッテリー、モーター、制御システム)、スマートドライブ、シャシーといった中核領域で、全方位的な共同研究とデータ閉ループを実現しています。問界X9は、ファーウェイ乾崑のスマートドライブADS 5、HarmonyOSコックピット、乾崑車載制御、車載クラウドなどの最先端技術を搭載。さらに、車体には量産車として初めて2400MPa超高強度鋼が採用され、896ラインのレーザーレーダーを装備するなど、技術的な優位性をさらに強化しています。
まとめ:問界X9が示す未来と日本の読者への示唆
問界X9は、ファーウェイの持つ先進的なデジタル技術と東風汽車の自動車製造ノウハウが融合した、まさに「スマートカーの未来」を体現する一台です。特に、車載光技術の進化は、単なる移動手段としての車を超え、安全性、エンターテインメント、利便性といった多様な価値を提供する移動空間へと車を進化させています。
このような「全スタック共同開発」モデルは、中国の自動車産業が単なる模倣から、自国の強みであるテクノロジーと製造力を融合させた新たなイノベーションの牽引役へと変貌を遂げていることを示しています。日本の自動車メーカーも、中国市場のこうしたダイナミックな変化と、異業種連携による新たな価値創造の動きに、引き続き注目していく必要があるでしょう。未来のモビリティの姿は、中国から生まれるかもしれません。
元記事: pcd
Photo by Vladimir Srajber on Pexels












