中国で今冬、伝統的な乳製品「奶皮子(ナイピーズ)」を使ったスイーツが、SNSを席巻する大ヒットとなっています。特に「奶皮子糖葫芦(ナイピーズタンフールー)」と呼ばれる、甘酸っぱいフルーツ飴に濃厚なナイピーズを添えた新感覚のスイーツは、瞬く間に全国的なブームを巻き起こしました。かつては一部地域で親しまれていたローカルグルメが、SNSでの拡散と大量の模倣によって、いかにして国民的ヒット商品へと変貌を遂げたのか。その背後にある現象と、中国の最新消費トレンドを探ります。
伝統と革新の融合!「ナイピーズ糖葫芦」が中国を席巻
中国の冬の風物詩といえば「冰糖葫芦(ビンタンフールー)」。日本のフルーツ飴に近いこの伝統的なお菓子に、今年は特別なトッピングが登場し、中国全土の注目を集めています。それが「奶皮子糖葫芦(ナイピーズタンフールー)」です。
「奶皮子(ナイピーズ)」とは、中国北部の遊牧民族に伝わる伝統的な乳製品で、新鮮な牛乳を弱火でゆっくりと煮詰めて冷やした際に表面にできる、濃厚で蜂の巣状の膜のこと。古くは2000年以上前の文献にも記述がある、歴史深い食材です。
このナイピーズを、甘酸っぱい冰糖葫芦に添えるという斬新なアイデアが生まれたのは、2024年末の内モンゴル自治区包頭市にある老舗の糖葫芦店。この地域限定のローカルグルメだったものが、2025年9月末から10月初めにかけて、Douyin(抖音、中国版TikTok)などのSNSで徐々に話題になり始めました。
北京や天津、中国東北地方のインフルエンサーや一般ユーザーが「映える」投稿をきっかけに、このナイピーズ糖葫芦は急速に拡散。たちまちその人気は、南京や上海といった南方の大都市にも波及していきました。特に2025年10月、11月には、SNSでの言及数が前年比でそれぞれ1127%、3923%と爆発的に増加。美団(Meituan)のデータによると、10月以降、糖葫芦のデリバリー注文量は前月比で3倍以上増加し、その中でもナイピーズ糖葫芦の注文量は単月で109%増を記録しています。ECプラットフォーム「盒馬(Freshippo)」のアプリでも、出来立て軽食ランキングでトップを飾るほどの人気ぶりを見せています。
「ナイピーズ+万物」新トレンドの広がり
ナイピーズ糖葫芦の大ヒットは、単なるスイーツブームに留まらず、「ナイピーズ」という食材そのものにも大きな注目を集めました。2025年の10月と11月には、ナイピーズに関するSNSでの言及数も爆発的に増加し、その人気は糖葫芦と共に急成長しています。
現在、この濃厚で風味豊かなナイピーズは、様々な飲食物に応用され、「ナイピーズ+万物(ナイピーズ+あらゆるもの)」という新たなトレンドを生み出しています。例えば、ミルクティーやコーヒーのトッピングとして、あるいはケーキやエッグタルトといったデザートの材料としても活用され、その可能性は無限に広がっているようです。伝統的な食材が、現代の飲食トレンドの中で見事に再評価され、イノベーションの源泉となっている状況が伺えます。
まとめ:中国消費トレンドの裏側と日本への示唆
今回のナイピーズ糖葫芦のヒットは、中国市場における消費トレンドの興味深い側面を浮き彫りにしています。一つは、地域性の強い伝統的な食文化が、SNSという現代的なツールを通じて全国的なブームへと発展する可能性です。かつては一部の人々にしか知られなかったローカルグルメが、写真映えする見た目や、新奇性、そしてソーシャルメディアでの共有によって、瞬く間に人々の心を掴むことができることを示しています。
また、「ナイピーズ+万物」という現象は、既存の食材や文化に対する柔軟な発想と、イノベーションへの意欲が、新たな市場価値を生み出す源泉となることを教えてくれます。中国では、常に新しい味や体験を求める消費者が多く、企業はそうしたニーズに応えるべく、伝統と現代を融合させたユニークな商品開発に積極的に取り組んでいます。
このような中国のトレンドは、日本市場にとっても示唆に富んでいます。日本の豊かな地域食材や伝統的な食文化も、SNSを活用した魅力的な見せ方や、意外な組み合わせによるイノベーションを通じて、新たな顧客層や市場を開拓できるかもしれません。中国発の「ナイピーズ」ブームは、グローバルな視点から食のトレンドを捉える上で、貴重なヒントを与えてくれるのではないでしょうか。
元記事: pedaily
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