中国の大手ECプラットフォーム京東(JD.com)の劉強東(リウ・チャンドン)CEOが、約20年ぶりにユーザーとの直接交流イベントを再開すると発表しました。9月5日に発表された招待状では、9月16日に北京国際ホテルで開催される「京東ブランドワインの会」への参加を呼びかけています。この特別な会では、選ばれた幸運なユーザーが劉CEOと共に高級酒「茅台酒(マオタイしゅ)」を試飲し、5つ星ホテルでの贅沢なディナーを体験できるとのこと。しかし、参加にはあるユニークな条件が設けられています。
「ユーザー第一」の原点回帰、約20年ぶりのイベント
京東は中国を代表するECプラットフォームであり、そのルーツは「ユーザーとの直接対話」にあります。2007年、劉強東CEOは「京東商城ネットユーザー交流会」を初めて開催し、多くのユーザーから貴重な意見を直接聞き入れました。これらのフィードバックが京東の発展に大きく貢献したとされており、「ユーザーを中心に据える」という同社の理念がここで培われたと言えるでしょう。
それからおよそ20年という時を経て、京東はこの原点に立ち返ります。今回、形を変えて「ユーザー交流会」を再始動させるのは、同社が改めてユーザーとの絆を深め、その声を経営に活かそうとする強い意志の表れと言えるでしょう。単なる商品の販売だけでなく、顧客体験全体を重視する姿勢が垣間見えます。
VIP体験の招待条件とは?
9月16日に北京国際ホテルで開催される「京東ブランドワインの会」は、まさにVIP待遇。劉強東CEOが自ら会場に足を運び、招待されたユーザーと共に美酒を味わい、友情を深める予定です。特に注目すべきは、中国の国酒として名高い茅台酒の無料試飲と、5つ星ホテルでのオーダーメイドディナーが無料で提供される点です。
しかし、この豪華なイベントに参加するためには、一つだけ特別な条件があります。それは、9月10日までに京東アプリを通じて北京国際ホテルを予約し、9月16日の夜に宿泊すること。この条件を満たした予約者の中から、京東がランダムに幸運なユーザーを招待する形となります。北京国際ホテルは1987年創業の歴史ある大型高級ホテルで、天安門や王府井といった北京の中心地に位置し、利便性も抜群です。現在のグループ予約価格は1泊1,000元(約2万円)以上となっており、この宿泊費をクリアしたユーザーだけが、劉CEOとの特別な交流のチャンスを得られるというわけです。
まとめ:ユーザーとの絆を深める新たな戦略
今回の「京東ブランドワインの会」は、単なるCEOとユーザーの交流イベントに留まらない、京東の新たな顧客エンゲージメント戦略の一環と見ることができます。20年前の成功体験を現代に蘇らせることで、競合がひしめく中国EC市場において、京東は顧客ロイヤルティの強化を図る狙いがあるでしょう。
日本の読者にとっても、中国の巨大テック企業がどのように顧客との関係を築き、ブランド価値を高めているかを知る興味深い事例と言えます。直接的な対話を通じて顧客の声を取り入れ、VIP体験を提供することで、熱心なファン層を育成するこの戦略は、グローバル企業が学ぶべき点も多いのではないでしょうか。
元記事: gamersky
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