中国のテクノロジー大手Xiaomi(シャオミ)で、人気スマートフォンブランドREDMI(レッドミ)の要職を歴任したことで知られる王腾(ワン・トン)氏が、会社を解雇されたことが明らかになりました。企業秘密の漏洩と利益相反行為という重大な倫理規定違反が理由とされています。本人は自身のSNSでこの事実を認め、「過去に犯した過ちの代償を受け入れる」と謝罪しました。この衝撃的なニュースは、中国テック企業の内部統制と企業倫理の重要性を改めて浮き彫りにしています。
Xiaomi元幹部の突然の解雇劇
Xiaomiグループの「職業倫理委員会」は9月8日夜、社内メールを通じて王腾氏に対する処分決定を通知しました。メールによると、中国地域の市場部門に所属していた王腾氏は、社内調査の結果、会社機密情報の漏洩に加え、利益相反行為など複数の深刻な規定違反が確認されたとのことです。
これらの行為は、Xiaomiグループの「従業員規定違反行為処理弁法」や「誠実廉潔守則」といった社内規定に抵触すると判断され、会社は王腾氏に解雇処分(原文は「辞退」)を下しました。
この解雇決定後、王腾氏本人は中国のSNSであるWeibo(ウェイボー)を更新し、次のようにコメントしています。
「皆様に大変申し訳なく思います。過去にいくつかの過ちを犯し、当然の代償を受け入れます。雷総(Xiaomi創業者・CEOの雷軍氏)と会社の各指導者の長年にわたるご指導とご信頼に感謝申し上げます。離れるのは非常に心苦しいです。将来的にも、変わらずXiaomiを、そしてREDMIを応援し続けます。」
このコメントからは、自身の過ちを認めつつも、Xiaomiへの強い愛着と感謝の念が感じられます。
王腾氏のXiaomiでのキャリアと影響
王腾氏は2016年にXiaomiに入社し、以来、同社の成長に大きく貢献してきました。特に、手頃な価格で高性能なスマートフォンを展開するXiaomiの人気ブランド「REDMI」では重要な役割を担っていました。
王腾氏の主なキャリアパス
- 2016年:Xiaomiに入社。
- 2020年3月:REDMI製品チームに加わり、REDMI製品総監に就任。
- 2021年11月:Xiaomi河南省支社に異動。
- 2023年8月:Xiaomi北京本社に戻る。9月にREDMIブランド発言人、REDMI市場部総経理に就任。
- 2024年2月3日:REDMIブランド総経理からXiaomi中国区市場部総経理、REDMIブランド総経理を兼任。
このように、王腾氏はREDMIブランドの顔とも言える存在であり、数々の製品発表会にも登壇してきました。彼の解雇は、Xiaomi、特にREDMIブランドにとって少なからず影響を与える可能性があります。
まとめ:中国テック企業の企業倫理と未来への教訓
今回の王腾氏の解雇は、中国の急成長するテック企業が直面する企業倫理とガバナンスの課題を浮き彫りにしました。熾烈な競争の中で、社員による企業秘密の漏洩や利益相反行為は、企業の存続を揺るがす重大なリスクとなり得ます。
Xiaomiが迅速かつ厳正な処分を下したことは、企業の誠実性と透明性を守るという強い姿勢を示すものと言えるでしょう。日本企業にとっても、サプライチェーンや提携を通じて中国企業と関わる中で、こうした内部統制の動向は注視すべき点です。
この一件が、中国テック企業全体の企業倫理遵守への意識向上と、より健全な競争環境の構築につながることを期待します。
元記事: gamersky
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