中国西部の観光産業が今、大きな変革期を迎えています。2025年11月、雲南省昆明で開催された「第1回観光民宿・ブティックホテル価値サミット」では、約400名の業界リーダーが集結し、「民宿ブランドの革新」と「デジタル化による地域文化融合」を核心テーマに、高品質な発展戦略を深く議論しました。本サミットでは、宿泊業における「アセットライト(軽資産)戦略と資本活用」という新たなビジネスモデルが注目され、体験重視の顧客ニーズに対応するウェルネスツーリズムの台頭、さらには中国大手OTA(オンライン旅行代理店)が示す最新市場データや効果的なマーケティング手法まで、多岐にわたる知見が共有されました。本記事では、このサミットの主要な内容を日本の読者向けに解説し、中国観光業の未来図とその示唆を探ります。
中国西部観光宿泊業、変革の胎動
「2025雲南省第1回観光民宿・ブティックホテル価値サミット」は、雲南省観光民宿業界協会、昆明市観光民宿とブティックホテル協会、重慶穿雲箭文化伝媒有限公司が主催し、中国西部地域の宿泊業界全体が協力して開催されました。この大規模なイベントは、政策の方向性、市場データ、運営戦略、コンテンツマーケティング、地方創生、投資リスク管理といった多角的な視点から、業界の課題と未来について深く掘り下げられました。
ウェルネスと地域文化が牽引する新時代
サミットでは、特に二つの重要な方向性が示されました。
- 《雲南民宿産業発展白書》が描く未来図:雲南省観光民宿業界協会の賀双全会長は、白書を通じて雲南省の民宿産業が「宿泊+α」の1.0時代から、「目的地化」を目指す4.0時代へと進化していることを解説。単なる宿泊施設ではなく、地域の文化や自然療法、深い体験と融合した複合的な業態への転換を強調し、投資家や経営者にとっての明確な羅針盤を示しました。
- ウェルネス(療癒)経済の台頭:同協会名誉会長の聶剣平氏は、《雲南ウェルネス民宿発展宣言》を発表。雲南省が持つ「立体的な気候、多様な文化、豊かな生態資源」という三つの核となる優位性を最大限に活用し、心身の健康と癒しを提供するウェルネス民宿システムの構築を呼びかけました。都市生活者の心の安息の地となるような、空間デザインからサービス、体験内容まで一貫したアップグレードが求められています。
デジタル化とデータ活用で競争を勝ち抜く
サミットでは、具体的な政策支援や市場データ、最新の運営戦略も共有されました。
- 政策の後押し:雲南省ラジオテレビ局の葛亮処長は、「2025ホテルテレビ新規購入特別補助金」政策を詳しく説明。これにより、宿泊施設の視聴覚体験の向上にかかるコストが削減され、デジタルサービスレベル全体の向上が期待されます。
- データが示す市場動向:中国大手OTA「携程(シートリップ)」の李義氏によると、2025年の雲南省の民宿予約件数は前年比32%増、「民宿+体験」商品の予約は65%増を記録。このデータは、旅行者が価格から体験へと重視するポイントをシフトさせていることを明確に示しており、民宿の新しい商品開発のヒントとなります。
- 競争に打ち勝つ運営戦略:中国の大手生活サービスプラットフォーム「美団(メイトゥアン)」の王俊松氏は、「正確なポジショニング、体験の差別化、収益の精緻化」を競争突破の鍵として提案。画一的な競争を避け、価値を重視した戦略への転換を促しました。
- コンテンツマーケティングの力:ショートビデオプラットフォーム「抖音(ドウイン/TikTok)」の李金満氏からは、短編動画が民宿のブランド露出と予約獲得に貢献した成功事例が共有されました。質の高いコンテンツが、民宿独自の価値を伝え、リピート率を高める効果が強調されています。
- 投資と運営の最適化:宿聯文旅の凌新建氏は「運営倒し設計(運営を逆算した設計)」の理念を提唱し、持続可能で収益性の高いプロジェクトの重要性を説きました。また、杭州宿選の劉秉知氏は、民宿投資におけるリスク回避策と収益最大化のための精緻な運営モデルを提示しました。
「金茶花」アワードが示す業界の方向性
サミットのハイライトは、「金茶花」アワード授賞式でした。中国西部宿泊飲食産業発展連盟が発表した「2025年第3回中国西部ホテル業界金茶花民宿リスト」と「2025年度雲南省百強民宿」リストは、ブランド構築、運営効率、文化融合、社会的責任において優れた企業や個人を表彰しました。これは、単なる栄誉だけでなく、業界が共創し、共に発展していくための象徴となっています。
雲南省は、今回のサミットを機に、西部地域の観光宿泊産業の協調的発展を強力に推進していく方針です。「軽資産拡大と資本化による退出」という新しいビジネスモデルを積極的に探求し、「雲南モデル」として西部地域の高品質な発展を牽引することを目指しています。中国西部宿泊飲食産業発展連盟は、今後も省市間の資源共有、標準化、ブランド共創を進め、「風景」から「体験の場」へ、「一時的な観光客」から「定着する滞在客」へと、旅行の質的転換を図るとのこと。この動きは、日本の観光業界にとっても、ウェルネスツーリズムや地域に根ざした体験型宿泊、デジタルマーケティング戦略など、多くの示唆を与えるものとなるでしょう。
元記事: kanshangjie
Photo by Yan Krukau on Pexels












