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高級ダウンMoncler、中国市場で失速か?その深層に迫る

Luxury Shopping China, Luxury Down Jacket - 高級ダウンMoncler、中国市場で失速か?その深層に迫る

厳しい寒波が到来する中、今年もダウンジャケットが手放せない季節となりました。しかし、かつて中国の中流階級にとって憧れの存在だった高級ダウンジャケットブランド「Moncler(モンクレール)」が、売上不振に陥っているという驚きのニュースが報じられています。長年高成長を続けてきたMonclerに、一体何が起きているのでしょうか?本記事では、その背景にある中国市場の変化とブランドが直面する課題について深掘りしていきます。

かつての栄光と現在の異変:Monclerに何が?

中国の報道によると、「1万元(約20万円)以上もするダウンジャケットなんて、価値がない」という消費者の声が聞かれるようになりました。以前はMonclerの店舗前で躊躇する顧客などほとんどいなかったと言います。実際、2023年末から2024年末にかけて、北京のSKPや三里屯、成都の太古里、南京の徳基といった主要都市の高級ショッピングモールにあるMonclerの店舗では、「売上高が数億元を突破した」というニュースがSNSを賑わせていました。しかし、今年に入ってからは、そうした景気の良い話は「静まり返って」います。

この変化は、Monclerの決算にも如実に表れています。2025年第3四半期のグループ全体の売上高は、固定為替レートベースで前年同期比1%減の6億1,600万ユーロ(約1,030億円)となり、それまで9年間続いていた同期比での高成長の発表は終止符を打ちました。第1四半期から第3四半期の累計売上高も、前年同期比でほぼ横ばいとなり、成長は完全に失速しています。特に、グループ売上高の9割近くを占める中核ブランド「Moncler」自体の第3四半期売上高は1%減少しました。

実は、この傾向は以前から兆候が見られました。2024年第3四半期には売上高が3%減少。冬季のハイシーズンに一時的に回復したものの、2025年第2四半期には再びマイナスに転じ、Monclerブランドの四半期売上高は前年同期比2%減を記録しています。

Moncler成功の軌跡と中国市場での転換点

1952年にフランスで創業したMonclerは、元々アウトドア用品を主力としていました。ダウンジャケットのカテゴリーを本格的に展開し始めたのは1970年代に入ってからです。転機が訪れたのは2003年。当時のクリエイティブディレクターだったレモ・ルッフィーニ氏がブランドを買収し、一連の重要な改革を断行しました。

「ラグジュアリーダウン」という新市場の開拓

ルッフィーニ氏は、商品の価格を大幅に引き上げ、積極的に海外市場を開拓。Monclerを専門的なスポーツブランドから、「ラグジュアリーダウンジャケットの代表格」へと見事に変貌させました。この戦略が、奇しくも中国における高級ブランド消費の爆発的な成長期と重なったことで、Monclerは中国市場で一気に高級ブランドとしての地位を確立しました。

Monclerの成功の鍵は、ダウンジャケット市場に「ラグジュアリー」という概念を持ち込んだことにあります。ダウンジャケット市場の黎明期、多くのブランドは保温性という機能に焦点を当て、デザインやスタイルは単調で、ファッション性や高級感とは無縁でした。かつてダウンジャケットといえば、「分厚くて野暮ったい」「寒さに耐えられない時だけ着るもの」というイメージが一般的でした。そんな市場にMonclerは、ファッションデザインと高級ブランドの要素を巧みに融合させ、新たな価値を創造したのです。

なぜ今、Monclerは苦境に立たされているのか?

かつて中国中流階級を魅了したMonclerのダウンジャケットが、なぜ売上不振に陥ってしまったのでしょうか。その背景には複数の要因が考えられます。

激化する市場競争と消費者の価値観の変化

一つは、競争の激化です。Monclerがラグジュアリーダウンというニッチ市場を切り拓いたことで、多くの競合ブランドが追随するようになりました。ハイブランドから手頃な価格帯のブランドまで、各社がデザイン性や機能性を高めたダウンジャケットを投入し、消費者の選択肢は格段に増えています。Monclerの独壇場ではなくなったことで、その希少性や特別感が薄れてきています。

もう一つは、消費者の価値観の変化です。特に中国の中流階級の間で、単にブランドロゴを身につける「見せびらかしの消費」から、より個性的で、機能的かつサステナブルな製品、あるいは「隠れた贅沢」を求める傾向が強まっています。高価格であること自体よりも、価格に見合うストーリー、デザイン、品質、そして自己表現の手段としての価値を重視するようになったと言えるでしょう。 Monclerの高い価格設定に対して、「本当にその価値があるのか」という疑問が投げかけられているのかもしれません。

このように、市場はますます多様化し、細分化が進んでいます。もはや単一のブランドが独占的に市場を牽引することは難しくなりつつあるのです。

まとめ:ブランドは変化に適応できるか

Monclerの売上失速は、中国市場における高級ブランド消費の構造的変化を示唆しています。かつてはブランド力とラグジュアリー戦略で成功を収めたMonclerですが、競合の台頭と消費者の成熟により、新たな局面を迎えています。これはMonclerに限らず、他の高級ブランドにとっても無関係な話ではありません。

日本の読者にとっても、グローバルな高級ブランド市場のトレンドは決して他人事ではありません。今後、Monclerがどのようにブランド戦略を再構築し、変化する中国市場、ひいては世界の消費トレンドに適応していくのかが注目されます。ブランドが持続的に成長するためには、常に市場の声に耳を傾け、消費者の期待を超える新たな価値を提供し続けることが不可欠となるでしょう。

元記事: pedaily

Photo by Tirachard Kumtanom on Pexels

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