中国の著名VC(ベンチャーキャピタル)であるMonolith確思資本が、厳しい資金調達環境の中、米ドルVC第二期ファンドと人民元VC第一期ファンドを合わせ、総額4.88億米ドル(約730億円)を調達したことが明らかになりました。
設立わずか4年で総資産運用規模100億人民元を超える同社は、AI分野に特化した「研究駆動型」投資を掲げ、不況下での資金調達において異例の成功を収めました。本記事では、その独自の投資戦略と、中国新世代VCの台頭について深掘りします。
Monolith確思資本、厳しい市場で異例の大型調達
中国の投資情報サイト「投資界(Pedaily)」によると、Monolith確思資本は最近、米ドル建てのVC第二期ファンドと人民元建てのVC第一期ファンドの資金調達を完了しました。これにより、新たなダブルカレンシーファンド(異なる通貨で投資できるファンド)の総規模は4.88億米ドル(約35億人民元、日本円で約730億円※1米ドル=150円換算)に達しました。
今年半ばには、Monolithが運用するヘッジファンドも新たな資金調達を終え、事業を継続的に拡大しています。その結果、Monolithの総資産運用規模は100億人民元(約2,100億円)を超えました。
2021年11月に設立されたMonolithは、創業パートナーである曹毅(Cao Yi)氏が当時、「宇宙の究極の真理と知恵」を意味する「Monolith」という社名に込めた、ビジネスと世界の本質に対する探究心を体現してきました。設立から4年間でAI分野に特化し、数多くの代表的なプロジェクトに投資。今回の資金調達は、中国新世代VCの勢いを再び示すものとして注目されています。
オーバーサブスクリプションでも「規模抑制」の戦略
今回の2つの新ファンドは、いずれも大幅なオーバーサブスクリプション(当初目標の約160%の応募)を達成し、合計で約6.3億米ドル相当の投資意向が集まりました。しかしMonolithは、投資規律を維持するため、自ら資金調達規模を縮小するという異例の選択をしました。
同社は「資金調達が困難な時期こそ、投資の良い機会である」という考え方を貫いています。潤沢な資金を持つ者が、優れた案件を見極め、投資を実行する選択肢をより多く持つことができると見ています。
Monolithの一貫した「研究駆動型、テーマ型投資」のアプローチに基づき、これら2つの新ファンドは、人工知能のコア領域、具体的にはAIアプリケーション層、モデル基盤インフラ、そしてハードウェアおよび具現化AI(ロボットなど)といった分野に焦点を当てて投資を継続します。
Monolithは設立当初から、「本当に重要なのは、少数の本当に優れた企業に投資することであり、多くの企業に投資することではない」という信念を掲げてきました。そのため、資金調達規模や事業拡大のペースを意図的にコントロールし、より多くの時間を研究と起業家支援に費やしています。
現在、Monolithは、旗艦のヘッジファンドに加え、今回のVCファンド群により、AI投資の主軸においてダブルカレンシーかつマルチプロダクトの布陣を確立しました。総管理規模100億人民元、深い研究と豊富な資金力を武器に、次世代の重要企業を継続的に支援していく構えです。
Monolithを率いる、中国テック界の精鋭
Monolithは、過去数年間で最も代表的な新世代VCの一つと言えるでしょう。2021年11月、元紅杉中国(Sequoia China)のパートナーであった曹毅氏と、元博裕資本(Boyu Capital)のセカンダリー市場パートナーであるTim Wang氏が共同でMonolithを設立しました。
当時、5億米ドル規模の初のヘッジファンドを発表し、瞬く間に注目を集めました。その後、ベンチャー投資環境は厳しさを増しましたが、Monolithは順調に資金調達を継続。2023年2月には、米ドルVC第一期ファンドが初のクロージングを完了しており、正式な始動からわずか3ヶ月足らずでの達成でした。
そして今回、米ドルVC第二期ファンドもわずか1ヶ月でオーバーサブスクリプションを達成するなど、その実行力の高さを改めて示しました。
まとめ:AI時代のVC戦略と日本への示唆
Monolith確思資本の今回の大型資金調達は、グローバルな資金調達の「冬」と言われる環境下で、その優れた投資戦略と実績を明確に示しました。特に、オーバーサブスクリプションにもかかわらず、あえて規模を抑制して投資規律を保つ姿勢は、短期的なリターンよりも長期的な価値創造を重視する、新世代VCの哲学を象徴しています。
AI分野に深くコミットし、「研究駆動型」で次世代のイノベーションを支援するMonolithの動向は、中国のみならず、世界のテック投資市場、ひいては日本のスタートアップエコシステムにとっても重要な示唆を与えるでしょう。彼らが次にどのような「モノリス(=真理の探究)」を世に送り出すのか、今後も注目が集まります。
元記事: pedaily
Photo by Tara Winstead on Pexels












