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44歳からの挑戦!元編導が自宅で開いた「ママの愛」ベーカリー

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中国の都市で、早朝からパンを焼く香りが住宅街に広がり、子どもたちの好奇心をくすぐる場所があります。それは、44歳の王韻涵(ワン・ユンハン)さんが自宅を改装して始めた小さなベーカリー「ママの愛」。かつて芸術団の編導、ガイド、中医理療師として活躍した彼女が、子どもたちへの深い愛情と「働く母親の姿を見せたい」という情熱を胸に、ゼロからスタートした無添加パン作り。その堅実で温かい創業ストーリーは、多くの人々に勇気とインスピレーションを与えています。

異色の経歴が紡ぐ「ママの愛」ベーカリーの誕生

王韻涵さんの人生は、まさに多才なキャリアの連続です。20代前半は芸術団の編導として創造性を磨き、その後はガイドとして多様な人々のニーズに応えるサービス精神を培いました。さらに、ご主人との出会いを機に重慶へ移り、中医理療師として「健康」の重要性を深く学びます。これらの経験は、後に彼女が「添加物不使用」という信念を貫くベーカリーを開く上で、かけがえのない土台となりました。

「子どもに『ママは働かなくていい』と思われたくない。いくつになっても、好きなことに情熱を注ぐ姿を見せたい」――そんな思いから、王韻涵さんは新たな挑戦の道を模索し始めます。転機となったのは、友人からのひと言。「いつも子どもに無添加のケーキを最高の材料で作っているのに、どうしてそれを他の子たちにも分けてあげないの?」この言葉が、彼女の心を動かしました。友人はまだ決心しきれない彼女のために、ロゴデザインや店名「ママの愛」、キャッチフレーズまで用意。その温かい信頼に応えるべく、44歳で未経験のベーカリーの世界へ飛び込んだのです。

自宅活用でリスクを抑え、品質を追求する堅実な戦略

「起業はギャンブルではない。家族に私の夢の代償を払わせるわけにはいかない」――王韻涵さんの創業の根底には、家庭への深い配慮と堅実な経営哲学があります。彼女は商業施設での店舗開設を勧められながらも、高額な家賃や初期費用が家族に負担をかけるリスクを避けるため、自宅マンションの空き部屋を店舗にすることを決意しました。これにより家賃を節約できるだけでなく、同じマンションの子育て世帯という理想的な顧客層を最初から確保できたのです。

内装もデザイナーには頼まず、AIソフトを駆使して自らデザイン。節約しつつも、「コミュニティに溶け込む温かい雰囲気」を追求しました。近隣のベーカリーを巡っては、空間利用の工夫や「窓を低くして子どもが見やすいようにする」といったアイデアを熱心に学び、自店に取り入れています。

そして、最もこだわったのが原材料です。初めて業界の先生に相談した際、「子どもが食べるものだから、原料はごまかせない。高くても本物を」との言葉に感銘を受け、高品質な「藍風車(ブルーフォックス)動物性生クリーム」を採用。卵も、地元の養鶏農家から新鮮なものを仕入れ、一つひとつ光に透かして品質を確認する徹底ぶりです。デコレーションに使うバラまで、農薬除去のため丁寧に洗浄・消毒。「私自身が母親だから、子どもに安心して食べさせたいという親の気持ちは痛いほど分かります」と語る王韻涵さんの言葉からは、母親ならではの深い愛情と責任感が伝わってきます。ジャムも市販品は使わず、季節のフルーツを丁寧に煮詰めた自家製です。

180個の月餅注文が証明した「真心」の力

王韻涵さんの起業ストーリーの中で、特に印象的なのが180個の手作り月餅(中国の伝統的なお菓子)の大口注文です。これは彼女にとって初めての大口案件であり、まさに「真摯な気持ちは技術よりも大切」であることを実感する試練となりました。

注文は、以前彼女のケーキを食べ、「心がこもった味がする」「良い材料を使っている」と感じた重慶の企業からでした。しかし、依頼内容は「山査子(サンザシ)の皮に自家製バラ餡の月餅」という、彼女が作ったことのないレシピ。しかも、通常なら12日かかる180個を、たった1週間で仕上げるという厳しい条件でした。

「私を信じてくれたのだから、引き下がるわけにはいかない」。王韻涵さんは覚悟を決め、すぐに材料調達へ。そして、来る日も来る日も朝5時半に起き、試作を繰り返しました。ノートには失敗と改善の記録がびっしり。山査子の皮が足りなくなった際には、スーパーで様々な山査子加工品を試食し、最も味の近い果丹皮(サンザシ飴のようなもの)を見つけ出し、現地の先生に加工方法を教わるという執念を見せました。

最終的に完成した月餅は、味も見た目も完璧。顧客企業からは「まさにこの味!」「今年食べた月餅の中で一番美味しく、真心がこもっている」と絶賛され、追加注文まで舞い込みました。この出来事を通して、王韻涵さんは「心を込めれば、必ず伝わる」という、起業家として最も大切な真理を深く心に刻んだのです。

まとめ

王韻涵さんの「ママの愛」ベーカリーは、単なるパン屋さんではありません。それは、一人の女性が年齢や過去のキャリアにとらわれず、子への愛と情熱を原動力に、新たな一歩を踏み出した勇気の物語です。ゼロからの挑戦、堅実な経営戦略、そして何よりも「心を込めたものづくり」への揺るぎない信念。これらが相まって、彼女のベーカリーは地域の人々に愛され、確かな成長を遂げています。

日本でも、ライフステージの変化を機に「自分らしい働き方」を模索する女性は少なくありません。王韻涵さんのように、自宅を活用し、身近な人々を顧客としながら、自分のこだわりを追求するスモールビジネスは、まさに現代的な起業モデルと言えるでしょう。彼女のストーリーは、私たちに「情熱と真心があれば、いくつになっても夢は実現できる」という大切なメッセージを伝えてくれます。

元記事: kanshangjie

Photo by Felicity Tai on Pexels

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