中国で飲酒後の姉妹喧嘩が、取り返しのつかない悲劇へと発展しました。排泄物の処理を巡る口論の末、姉が飼い犬2匹を住居の21階から投げ落とし、そのうち1匹が命を落とすという衝撃的な事件が発生。この行為に対し、中国では近年厳罰化が進む「高空投擲罪」が適用され、姉に拘留と罰金刑が言い渡されました。一体何が起きたのか、事件の詳細と中国社会が抱える問題に迫ります。
21階からの悲劇:目撃された衝撃的な瞬間
事件は早朝に発覚しました。いつものように午前5時に起床し、工場へ向かおうとしていた蔡(Cài)おじさんは、団地の出入り口付近で突如「ドスン」「ドスン」という二つの衝撃音を聞きました。音のする方を見ると、約4メートル離れた鉄の木の枝に、やや大きな犬が苦しそうにもがいています。鉄の木の葉は砕け散り、その近くの歩道にはもう一匹の小さな犬が横たわっており、すでに息絶えていました。
警察が現場に駆けつけ、監視カメラの映像を解析した結果、犬を投げ落としたのは住人の小陳(Xiǎo Chén)という女性であることが特定されました。彼女の供述から、事件の全容が明らかになります。
飲酒と口論、そして感情の暴走
深夜の飲酒と帰宅
事件当日、小陳は妹とボーイフレンド、友人数名と共に深夜まで飲食をしていました。妹は午前1時過ぎに先に帰宅していましたが、小陳が自宅にたどり着いたのは午前4時頃。姉妹が共同で借りているマンションの一室は、バルコニーや小陳の部屋の床に、犬の排泄物が散乱している状態でした。
排泄物を巡る姉妹喧嘩
小陳は妹の部屋へ行き、排泄物の片付けを手伝うよう起こしました。しかし、半分眠っていた妹は協力を拒否。さらに、もみ合いになる中で小陳の手に足が当たってしまい、再び寝床に戻ってしまいました。
この妹の態度に、酒の勢いもあって小陳の怒りは頂点に達しました。衝動的になった彼女はバルコニーへと向かい、まず自分が飼っていた犬を窓から投げ落としました。その1分も経たないうちに、今度は妹が飼っていた犬も同様に投げ落としてしまったのです。
投げ落とされた2匹の犬は、姉妹が5月の旅行中に購入したものでした。小さい方の犬は約500g、大きい方の犬は約6kgほどの体重でした。
中国「高空投擲罪」の適用と判決
幸いなことに、小陳のこの危険な行為は通行人に被害を与えることはありませんでした。被害は団地内の鉄の木への損傷に留まり、その損害賠償は小陳がすでに支払っています。
しかし、この事件は単なる動物虐待では済まされません。中国では、近年高層建築物からの投擲行為が社会問題となっており、その危険性から「高空抛物罪」(高空投擲罪)が制定され、厳罰化されています。温嶺市人民検察院の起訴を受け、8月28日に下された一審判決では、小陳に対し高空投擲罪で拘留4ヶ月、執行猶予8ヶ月、罰金4000人民元(約8万円※)が言い渡されました。
※2024年5月時点のレートで1人民元=約20円として計算。
まとめ:社会に問いかける事件の教訓
今回の事件は、飲酒後の感情的な行動が取り返しのつかない結果を招くことを改めて示しました。また、中国社会が抱える高層建築物からの投擲問題、そして動物の命に対する倫理観について深く考えさせられます。近年、中国では動物保護に関する意識も高まりつつありますが、このような悲劇が二度と繰り返されないよう、個人の責任感と社会全体の意識向上、そして法整備の徹底が求められます。
元記事: gamersky
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