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中国春節の「デマ」騒動と政府の“ネット浄化作戦”

Internet Censorship China Fake News China - 中国春節の「デマ」騒動と政府の“ネット浄化作戦”

春節(旧正月)は中国で最も重要な祝祭の一つですが、この期間中、インターネット上では様々なデマ情報が飛び交い、社会的な混乱を招くケースが見られました。重慶の都市鉄道が「炎上」したという誤報や、成都の空港近くで大規模な火災が発生しフライトに影響が出たというフェイクニュースが拡散。これに対し、中国政府はAI技術を悪用した低俗なコンテンツやデマ、感情を煽るような情報の拡散を阻止するため、「清朗・2024年春節ネットワーク環境浄化」キャンペーンを立ち上げ、ネット空間の秩序維持に乗り出しています。本記事では、これらのデマの真相を解き明かしつつ、中国の交通機関利用における特別なルール、そして政府によるネット環境浄化キャンペーンの詳細とその背景にある情報統制の実態を、日本の読者向けに分かりやすく解説します。

デマが相次ぐ中国の春節、ネット情報拡散の光と影

中国のSNS上では、春節期間中に以下のようなデマ情報が拡散し、大きな注目を集めました。

重慶のライトレール「炎上」デマの真相

「新年早々、重慶のライトレールが全て燃え上がった!」というショッキングな情報がネット上で拡散されました。しかし、重慶軌道交通運営有限責任公司が事実確認を行ったところ、写真に写っていた車両は運行中の旅客列車ではなく、車庫に正常に停車していた車両であることが判明。ネット上の情報は完全なデマでした。

成都双流国際空港近くの火災デマの真相

「2月11日、成都双流国際空港の近くで火災が発生し、空港の離着陸に影響が出て、フライトが約1時間遅延した」という情報も多数のネットユーザーによって投稿され、空港上空の煙を伴う写真が添付されていました。しかし、確認の結果、これらの写真は同日午後に成都武侯区金花橋近くの廃棄物倉庫で発生した火災現場のもので、火災は同日14時30分には完全に鎮火し、負傷者もいませんでした。成都双流国際空港が確認したところ、火災は空港から約2km離れた場所で発生しており、空港の運営には全く影響がなく、フライトの離着陸も正常に行われていたとのことです。

春節期間中の交通機関利用と中国政府のネット浄化作戦

鉄道でのペット同伴ルール

春節期間中は、多くの人が移動するため、交通機関利用時のルールにも注目が集まります。中国の鉄道では、原則としてペットの同伴乗車は禁止されています。しかし、例外として、訓練された盲導犬は視覚障害者とともに乗車することが認められています。その際、乗車券購入時に使用した有効な身分証明書、身体障害者証、盲導犬作業証、動物健康免疫証明書を提示する必要があります。また、食品として完全に密閉包装された魚介類(魚、エビ、カニ、貝、軟体動物など)であれば、持ち込みが可能です。もしペットの輸送が必要な場合は、事前に高速鉄道の託送サービスを利用する必要があります。このサービスでは、専門の保護措置が講じられ、換気と監視体制のある専用コンテナにペットを預け、定期的にスタッフが状態を確認します。

「清朗・2024年春節ネットワーク環境浄化」キャンペーン

中国中央サイバーセキュリティ・情報化委員会弁公室(中央網信弁)は、春節期間中のインターネット環境を健全でポジティブなものにするため、約1ヶ月間にわたる「清朗・2024年春節ネットワーク環境浄化」キャンペーンを開始しました。このキャンペーンでは、主に以下の4つの問題に焦点を当てて取り締まりを行います。

  1. 悪意のある感情煽動
    • 消費主義や反消費主義を煽る、男女間の対立を煽る、または「結婚・出産プレッシャー」などを揶揄するような不健全な価値観の喧伝。
    • 「年越し買い出し」や「春節風習の比較」などを名目に、貧富の対立を煽る行為。
    • 春節番組や映画作品、人気イベントなどを巡るネット上での組織的な「アンチ活動」や罵り合い。
  2. AI生成などによる低品質・有害情報の拡散
    • AIなどの新技術を悪用し、論理が破綻したフェイク情報、情報過疎、または高度に類似した低品質コンテンツを大量生成・拡散する行為。
    • AI技術を用いて、クラシックアニメや映画作品などに低俗・暴力的な内容を挿入し、悪意を持って改変する行為。
    • 文学名著や歴史的典故などを「改悪」し、優れた伝統文化を歪曲する行為。
    • 「親孝行の美談」や「嫁姑の対立」、「親戚間のいがみ合い」といった家庭内の問題を誇張し、視聴者の感情に訴えかけ、流量を稼ぐためのコンテンツの大量生成。
    • AIを活用して、いわゆる「AI生成小説」や「AIまとめ」「専門家解説」といった、画像やショート動画コンテンツを大量生成し、ネットユーザーの認識や判断に悪影響を与える行為。
  3. フェイクニュースの制作・拡散
    • 春節期間中の交通安全対策、市場供給、社会の公共安全に関わる突発的な事件などに関してデマをでっち上げたり、公式発表を装った偽情報を発信したり、「陰謀論」を拡散する行為。
    • 「衝撃」や「緊急速報」といった煽り文句や、同姓同名の「有名人」を利用して注目を集め、春節期間中の社会の注目イベントに関連するデマ情報をでっち上げる行為。
    • 公衆の人物を装ってホットな事件を誇張し、ネットユーザーを誤導する行為。
  4. 違法活動への誘導
    • ギャンブル活動への誘導。例えば、「事件分析」や「ギャンブル結果予測」などを口実に、ギャンブルのための有料コンサルティングを提供する行為。

まとめ

今回の中国春節期間中に発生した一連のデマ騒動と、それに対する中国政府の迅速な対応は、AI技術の進化とSNSの普及がもたらす情報社会の課題を浮き彫りにしています。真偽不明な情報が瞬時に拡散し、社会的な混乱や誤解を生む可能性は、中国に限らず、日本を含む世界中で認識すべき重要な問題です。特に、AIを用いたフェイクニュースの生成・拡散は、高度化する情報戦の新たな局面を示唆しており、個人の情報リテラシーの強化と、プラットフォーム側の監視・規制がますます重要となるでしょう。今回の「清朗」キャンペーンは、春節という国民的な祝祭の期間を平穏に保つための政府の強い意思を示すものですが、同時にインターネット空間における表現の自由と情報統制のバランスという、普遍的なテーマを私たちに問いかけています。日本においても、来るべき選挙や大規模イベントを控え、情報操作やデマ対策の議論を深める必要があるでしょう。

元記事: pconline

Photo by Markus Winkler on Pexels

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