中国の大手テックメディアmydrivers.comの報道によると、世界的な半導体メーカーNexperia(安世半導体)の中国法人が、全従業員に対し異例の通達を発表しました。この通達は、オランダ政府による現地法人への介入という緊迫した国際情勢を背景に、従業員が中国法人代表者の同意がない「外部からの指示」を拒否できる権利を持つことを明確にしたものです。地政学的な緊張が半導体サプライチェーンに現実的な影響を与え始めていることを示す、重要な動きとして注目されます。
Nexperia中国法人が全従業員に異例の通達
Nexperia中国法人は先日、「Global Legal Update: Trusted Communications」と題されたNexperia Chief Legal Officeからのメールが従業員に届いたことを認めました。このメールが引き起こした懸念や混乱を理解し、中国法人は独自の声明を発表。背景には、Nexperiaの親会社である聞泰科技(Wingtech Technology)傘下のNexperiaオランダ拠点に対し、オランダ政府が介入した問題があります。これに対し、中国商務部もオランダ政府に対し、契約精神の堅持と誤った行為の是正を求める声明を出しており、状況は国際的な政治問題へと発展しています。
「外部指示拒否権」の法的根拠と意味合い
中国企業としての独立性と法的義務
Nexperia中国法人によると、同社は中国に根ざし、グローバル戦略を持つ「中国企業」であり、中国の法律を遵守し、合法かつコンプライアンスに則った運営を行う義務があります。『中華人民共和国会社法』などの関連法規に基づき、同社は独立した法人格を有し、いかなる者も会社の利益や株主の利益を損なう形で権利を濫用してはならないと強調しています。中国法人内では、法定代表者が会社の意思を代表し、全ての運営上の意思決定に最終的な責任を負います。取締役、監査役、上級管理職は会社に対し忠実義務を負うとされています。
従業員への具体的な指示内容
中国の労働関連法規に基づき、Nexperia中国の全従業員は会社の労働規律を遵守し、会社の指示に従って業務を遂行する義務があります。しかし、今回の通達の核心は、Nexperia中国法人の法定代表者の同意を得ていない「外部からの指示」(OutlookやTeamsなどのツールを通じて伝達されたものも含む)に対しては、従業員はこれを拒否する権利があり、その行為は勤務規律違反や法的規定への違反にはあたらないと明言した点です。これは、親会社(オランダ拠点)からの指示であっても、中国法人の同意がなければ従業員は従う必要がないという、非常に強いメッセージであると言えます。
現在の運営状況と今後の展望
Nexperia中国法人からの通達は、現時点での国内事業運営および従業員の給与・福利厚生は全て正常であると強調しています。現在、同社の生産・経営活動は滞りなく進んでおり、各業務は秩序立てて推進されているとのことです。
この事態は、半導体産業における地政学的な緊張が、企業の日常的な業務や従業員の職務にまで影響を及ぼし始めていることを明確に示しています。サプライチェーンの分断や、多国籍企業の事業運営における法的・政治的リスクが高まる中で、各国の法規と国際的な事業活動のバランスをいかに取るかが、今後の企業にとっての大きな課題となるでしょう。日本企業にとっても、国際的なサプライチェーンにおける法的リスクや、従業員への指示系統のあり方について、改めて検討を促す事例となりそうです。
元記事: mydrivers












