北京大学の研究チームが、人工知能(AI)が自律的に物理法則を発見するという画期的な成果を発表し、世界中の注目を集めています。同大学物理学院の馬傑青教授の研究室が開発した「AI-Newton」システムは、人間の介入や既存の物理知識に頼ることなく、実験データから古典力学の根幹をなすニュートンの第二法則(F=ma)を導き出すことに成功しました。この革新的なアプローチは、11月14日付のNature誌のニュース欄で特集され、AIが科学研究のあり方を根本から変える可能性を示唆しています。
科学的発見を担うAI「AI-Newton」の誕生
従来のAIがデータ内のパターン認識や予測に特化していたのに対し、「AI-Newton」は一線を画します。このシステムは、まさに人間の科学者が行うかのように、「大胆な推測と慎重な検証」という帰納的推論戦略を採用しています。これにより、AI自身が仮説を立て、それをデータで検証するという、より高度な認知プロセスを再現することに成功しました。
研究チームは、このAIがまるでゼロから物理学を学び始めるようなアプローチを追求。実験データライブラリから生成された物理データを使用し、記号回帰や微分代数といった高度な数学的技術を駆使して、時間、空間座標、幾何学的情報といった基本的な記号から、物理的な概念を抽出し始めました。
ニュートン第二法則を自律的に「再発見」
「AI-Newton」の最も驚くべき点は、46種類もの物理実験から得られたノイズ混じりの生データのみを情報源として、既存の知識なしにニュートンの第二法則を導き出したことです。
三層構造の知識体系で法則を導出
システムは、抽出された概念を基に、「記号」「概念」「法則」という三層構造の知識フレームワークを段階的に構築しました。そして最終的に、力、質量、加速度の関係性を示す「F=ma」の法則を自律的に推論。さらに、この過程でエネルギー保存の法則といった他の重要な物理法則も同時に発見するという、驚くべき副産物も生み出しました。
これは、単にデータを分析するだけでなく、データから法則の根源となる原理を自力で探り当てるという、AIの新たな能力の証と言えるでしょう。
科学研究の未来を切り拓く一歩
今回の研究成果は、AIが単なる研究補助ツールから、「自律的な発見主体」へと進化する重要な節目を画するものです。これまで人間が何世紀もかけて積み上げてきた科学的発見のプロセスに、AIが本格的に参入する可能性を示しました。
北京大学の研究チームは、「AI-Newton」の次なる挑戦として、より複雑な量子論の法則の理解と発見に応用することを計画しています。これは、AIが古典物理学の枠を超え、現代物理学の最前線へと進出する可能性を示唆しています。
まとめ
AIが自力で物理法則を発見するという今回の北京大学の研究は、科学とテクノロジーの未来に計り知れない影響を与えるでしょう。人間が気づかなかった新たな法則を発見したり、複雑すぎる問題を解明したりする「AI科学者」が誕生する日もそう遠くないかもしれません。日本においても、このような最先端のAI研究が、新たな産業や技術革新を触発し、私たちの社会に大きな変革をもたらすことが期待されます。
AIの進化は留まることを知らず、その自律的な学習と発見能力は、これまで人類が到達しえなかった科学のフロンティアを切り拓く鍵となることでしょう。今後のAI-Newtonの展開に、世界中が大きな注目を寄せています。
元記事: mydrivers
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