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中国「天力锂能」が深セン上場!リチウム電池材料で市場を牽引

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2022年8月29日、中国の新エネルギー分野に大きなニュースが飛び込みました。リチウム電池正極材料のリーディングカンパニーである「天力锂能(Tiany Lithium Energy)」が、深セン証券取引所の創業板(新興企業向け市場)に無事上場を果たしたのです。これは河南省新郷市初となる新エネルギー企業の上場であり、また河南初の本格的なリチウム電池正極材料企業の上場でもあります。中国本土の株式市場(A株)全体で見ても、河南省から101社目の上場企業となる快挙です。同社は電動自転車や電動工具向けリチウム電池の三元正極材料において圧倒的な市場シェアを持ち、今回の資金調達でさらなる生産能力の拡大と技術革新を目指します。

中国リチウム電池材料の旗手「天力锂能」が深セン上場

天力锂能は、公募で3050万株を発行し、発行済み株式総数の25%を占めました。今回の募集で17.39億元(約350億円、1元=20円換算)の資金を調達し、その全額を安徽省淮北と河南省新郷の両地域における三元正極材料プロジェクトに投じる計画です。これらのプロジェクトが本格稼働すれば、同社の三元材料の総生産能力は大幅に向上すると見込まれています。

上場初日の終値は68.69元で、20.51%の上昇を記録。時価総額は83.79億元に達し、市場からの高い期待が示されました。

リチウム電池の未来を担う三元材料

2009年3月に設立された天力锂能は、リチウム電池の三元材料とその前駆体の研究開発、生産、販売を主要事業としています。主要製品である三元材料は、リチウム電池の製造に不可欠な素材であり、電動自転車、電動工具、新エネルギー自動車、そして3C製品(コンピューター、通信、家電)など、幅広い分野で活用されています。

リチウム電池は正極材料によって多様な種類がありますが、中でも三元材料は高エネルギー密度、大放電容量、優れたサイクル性能、安定した構造といった利点から、リチウム電池正極材料の重要な発展方向とされています。天力锂能は、国内でも早期から三元材料の研究開発と生産に取り組んできた企業の一つであり、三元材料とその前駆体の一体化研究開発・生産能力を有しています。NCM333、NCM523、NCM622、NCM811など、ほぼ全ての三元材料タイプをカバーする製品ラインナップを誇ります。

技術革新と市場を牽引する強み

天力锂能の三元材料開発の歴史は長く、2009年には既に研究開発を開始。2011年には三元前駆体の製造技術を確立し、量産化に成功しました。2012年には三元材料の製造における主要なプロセス技術を習得して量産を実現し、2013年には三元材料の生産量が1000トンを突破しています。

2015年以降、同社の三元材料事業はさらに加速し、生産プロセスを継続的に最適化しながら、NCM622、NCM811、NCA、単結晶、被覆、低コバルト、さらには無コバルト材料といった多岐にわたる製品を開発してきました。現在は新郷と安徽を含む複数の生産拠点を持ち、年間総合生産能力は30,000トン(建設中のものを含む)に達しています。

電動自転車市場での圧倒的シェア

同社は中国における主要な三元材料サプライヤーの一つとして、電動自転車分野におけるリチウム電池の応用と普及の過程に深く関与してきました。主要顧客である星恒電源や天能股份などは小型動力リチウム電池分野で業界をリードしており、天力锂能はこれらの企業と共同研究開発も行っています。特に「低コバルト高容量正極材料技術」の開発を主導し、電動自転車のEV化トレンドを強力に推進してきました。

調査会社GGIIのデータによると、天力锂能は2020年、電動自転車と電動工具向けリチウム電池三元正極材料の出荷量で首位を獲得し、市場占有率は41%に達しています。この実績は、同社が特定のニッチ市場で確固たる地位を築いていることを示しています。

また、同社は創業以来、研究開発への投資を重視しており、販売規模の拡大に伴い研究開発費も増加傾向にあります。2021年末時点で74人の研究開発担当者を擁し、30件の国内特許(発明特許6件、実用新案24件)を保有するなど、技術革新を支える基盤が整っています。

驚異的な成長と将来への期待

近年、天力锂能の売上高は持続的に成長しています。2014年にはわずか1.54億元だった売上が、2021年には16.63億元にまで急増し、7年間で約9.8倍という驚異的な成長を遂げました。

直近の業績も好調で、2022年1〜6月の売上高は前年同期比102.97%増の14.38億元、純利益は同68.96%増の1.13億元を達成しています。さらに、2022年1〜9月の予測では、売上高が20億元〜23億元(前年同期比81.42%〜108.63%増)、親会社株主に帰属する純利益が1.5億元〜1.8億元(同271.56%〜345.87%増)と、さらなる大幅な業績突破を見込んでいます。

まとめ

天力锂能の上場は、中国の新エネルギー産業の活況と、その中でも特にリチウム電池材料分野の急速な発展を象徴する出来事と言えるでしょう。同社は電動自転車という身近なモビリティのEV化を強力に推進し、その技術力と市場戦略で確固たる地位を確立しました。今回の資金調達により、さらなる生産能力の増強と研究開発への投資が進めば、新エネルギー自動車市場への展開も加速し、その影響力はますます大きくなるはずです。

日本の企業にとっても、中国市場におけるリチウム電池材料の動向は、サプライチェーンや技術協力、さらには競争戦略を考える上で無視できない要素です。天力锂能の今後の成長は、グローバルな新エネルギー産業の未来を占う上で重要な指標となるでしょう。

元記事: ctoutiao

Photo by Kindel Media on Pexels

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