中国の自動車業界に大きな変化が訪れそうです。電気自動車(EV)を中心に普及が進んでいた「隠しドアハンドル」が、安全上の懸念から全面禁止となる見通しであることが複数の自動車メーカー幹部の証言により明らかになりました。2025年に新たな国家標準が導入され、機械的な冗長性(バックアップ機能)の装備が義務付けられるとのこと。デザイン性と空力性能を追求してきたEVメーカーにとって、大きな設計変更を迫られるこの動向は、日本の自動車業界にとっても注目に値します。
中国で「隠しドアハンドル」規制強化へ
中国メディア「快科技」の報道によると、これまで噂されていた「隠しドアハンドルの禁止」が、複数の自動車メーカー関係者によって事実上確認されました。ある外資系自動車メーカーの幹部は、ドアハンドルに関する新しい国家標準が2025年に発表される予定であり、その中で「全隠し式ドアハンドル」が禁止され、同時に「機械的な冗長性」の装備が義務付けられると明らかにしています。
この幹部の話によれば、例えば大衆安徽(フォルクスワーゲン安徽)の新型車はすでにこの新基準に沿って開発が進められており、未発表の国家標準の要件を既に満たしているとのことです。また、別の合弁自動車メーカーの幹部や、新興EVメーカーの研究開発管理部門の担当者も同様の情報を伝えており、規制導入への動きが確実視されています。
新しい国家標準の詳細とスケジュール
以前の報道では、関連当局が自動車業界全体で全隠し式ドアハンドルの使用禁止を検討しており、9月4日にはこの件に関する会議が開催されたと伝えられていました。会議の精神に基づくと、今後発表される法規では全隠し式ドアハンドルが明確に禁止される一方で、半隠し式や従来のドアハンドルは許可される見込みです。ただし、これらも必ず機械的な冗長性を備える必要があります。
情報筋によると、ドアハンドルに関する強制標準(国家標準)の草案討議は近日中に完了する予定です。現時点での情報では、全隠し式ドアハンドルは直接的に全面禁止される可能性が高く、1年間の移行期間を経て、2027年7月からの施行が予想されています。これにより、今後中国国内で販売される新型車からは、全隠し式ドアハンドルが姿を消すことになります。
なぜ「隠しドアハンドル」は禁止されるのか?安全性への懸念
中国国内で採用されている隠しドアハンドルは、主に「レバー式」と「電動ポップアップ式」に分けられます。従来のドアハンドルと比較して、隠しドアハンドルは「未来的なデザイン」や「洗練された美観」を提供し、さらに「空気抵抗をわずかに低減する」というメリットから、特にEVを中心に多くの車種で採用されてきました。
しかし、安全性という点では、全隠し式ドアハンドルは従来のドアハンドルに劣るとされています。特に電動式のドアハンドルは機械式の約3倍のコストがかかることも指摘されています。最大の問題は、隠しドアハンドルを搭載した車両が停電や故障で電源を失った場合、外部からドアを開けることができなくなる点です。実際に過去には、事故発生時に外部からドアを開けられず、救助活動が遅延し「ゴールデンタイム」を逃してしまうといった事例が複数報告されています。
自動車メーカーにとって、ドアハンドルの技術的、美観的なメリットを確保しつつ、100%の安全性をどう実現するかは、喫緊の課題となっています。
まとめ:EV時代のデザインと安全性の両立
今回の中国における隠しドアハンドル規制強化の動きは、EV化が進む自動車業界において、デザインや先進性と安全性の両立がいかに重要であるかを改めて浮き彫りにしています。これまで先進的なデザインの象徴とされてきた隠しドアハンドルが、実用上の安全性、特に緊急時の人命救助という観点から見直されることは、世界中の自動車メーカーに影響を与える可能性を秘めています。
中国市場の規模と影響力を考慮すると、この新しい国家標準は、将来的な世界の自動車デザインや安全基準のトレンドにも波及するかもしれません。日本の自動車メーカーも、デザインと機能、そして何よりも安全性を高度に融合させるための新たなアプローチを模索する必要があるでしょう。
元記事: mydrivers
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