中国の自動車ブランド「享界(Luxeed)」が、新型EV「S9T」のシャシー性能テスト動画を公開しました。砕石路、波浪路、さらにはジャンプ路といった過酷な条件下でも、後部座席で二胡を奏でる女性が微動だにしないという、驚異的な安定性と静粛性が注目を集めています。ファーウェイの最新技術を搭載したこの「公道のリズムマスター」は、中国EVの技術革新の最前線を象徴する一台と言えるでしょう。
ファーウェイ技術の結晶「享界S9T」が過酷な走行テストに挑む
享界S9Tの最新シャシーテスト動画では、車の安定性と静粛性を極めてユニークな方法で検証しています。後部座席には、繊細な音色を奏でる二胡を持った女性が乗車。過酷な走行条件下でも、彼女は演奏に集中し続けることができるのか、その様子が捉えられています。
後部座席で二胡を奏でる驚きの安定性
動画では、まず砕石路面や減速帯を走行する様子が映し出されます。車外カメラの映像を見ると、車輪は路面の凹凸に合わせて激しく上下に動いているにもかかわらず、車体はほとんど揺れず、非常に安定した姿勢を保っています。車内では、女性は一切動揺することなく二胡の演奏を続け、車内の騒音も同クラスの他車種と比較して圧倒的に優れていることが示されました。
さらに、波浪路面(うねり路)では、車輪が長いストロークで上下に伸縮するにもかかわらず、車体は常にフラットな状態を維持。そして、時速60km/hでの高速ジャンプ路(飛卡路)テストでは、着地後も車体の余分な揺れが一切なく、まるで平坦な道を走るかのようにスムーズに通過する様子が確認できます。
あらゆる路面を「平坦な道のように」走破
公式発表によると、享界S9Tは、砕石路、波浪路、ジャンプ路といったあらゆる路面状況を「平坦な道を走るかのように」走破できるとされています。その卓越したシャシー性能から、「公道のリズムマスター」とも称されており、どのような環境下でも乗員に快適な移動体験を提供することを目指しています。
最先端のシャシー技術:ファーウェイ途霊プラットフォーム
享界S9Tの驚異的な安定性を支えるのは、ファーウェイが開発した最先端の技術です。本モデルには、最新のファーウェイ「途霊(Tuling)プラットフォーム」が搭載されており、「六合一全域融合アーキテクチャ」にアップグレードされています。
特筆すべきは、全グレードにエアサスペンションと連続可変ダンパー(CDC)が標準装備されている点です。これらの先進的なサスペンションシステムが、路面からの衝撃を効果的に吸収し、車体の揺れを最小限に抑えることで、上述の圧倒的な安定性と静粛性を実現しているのです。
市場投入と今後の展望
享界S9Tは、ファーウェイのスマートモビリティエコシステム「鴻蒙智行(Harmony Intelligent Mobility)」が手がける初のツーリングカーとして位置づけられています。予約販売価格は32.8万元(約670万円、1元=20.5円換算)からで、9月16日には中国の杭州で正式に発売される予定です。
ファーウェイが自動車分野への影響力を拡大する中、享界S9Tは、中国EV市場における技術革新の新たなベンチマークとなるでしょう。その卓越したシャシー性能と快適性は、将来的に日本のEV市場にも影響を与える可能性を秘めており、今後の動向に注目が集まります。
元記事: mydrivers
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