毎年恒例のサッカーゲームの季節がやってきました。『EA Sports FC 26』が、今年も満を持して登場です。前作『FC 25』の収益は期待に及ばなかったとEAは認めつつも、最新作『FC 26』は初月で数千万本規模の売上を見込むなど、その影響力は依然として絶大です。しかし、Steamでの評価は「賛否両論」と、プレイヤーからは多くの声が寄せられています。特に人気のUltimate Team(UT)モードでは、課金やガチャ要素への不満が根強く存在します。今回は、『FC 26』が直面する課題と、ゲームプレイやUTモードに見られる新たな試みを深掘りし、その魅力と今後の展望を探ります。
『EA Sports FC 26』:進化とプレイヤーの期待
不動の人気とソニーとの連携
「FC」シリーズの新作が毎年この時期に登場することは、サッカーゲームファンにとって欠かせないイベントです。EAは前作『EA Sports FC 25』の収益が予想を下回ったと発表しましたが、これはあくまで前々作『EA Sports FC 24』との比較におけるわずかな減少に過ぎません。今年の新作『EA Sports FC 26』は、発売初月で数千万本という驚異的な販売数を再び達成すると予測されています。
かつてのライバルである『ウイニングイレブン』シリーズ(現在はeFootball)や、クリスティアーノ・ロナウド選手が投資するサッカーゲーム『UFL』といった競合タイトルも存在しますが、そのクオリティや影響力は、EAが誇るこの巨大シリーズには及ばないのが現状です。また、ソニーがEAの公式ルートとは別にPlayStation版の「EA Sports FC」シリーズを提供しているという情報からは、ソニーとEAの良好な協力関係、そして本シリーズがプラットフォームにとって極めて重要なタイトルであることが示唆されています。
絶えない不満の声:Ultimate Team(UT)モードの「原罪」
一方で、これほど巨大なプレイヤー基盤を持つ「FC」シリーズは、常に多くの批判にも晒されています。Steamでの最近の数作品は、その評価がほぼ「賛否両論」の域に留まっているのが実情です。人気の「FC」シリーズデータベースサイト「Futbin」では、選手カードのコメント欄がしばしば怒れるプレイヤーたちの声で埋め尽くされています。
不満の理由は多岐にわたります。選手データやスキルへの不満、ガチャ確率への疑問、イベント設計への批判、さらにはEAの運営陣が現実のサッカー試合をまったく見ていないのではないか、という手厳しい意見まであります。これらの不満の多くは、ゲーム内のUltimate Team(UT)モードに向けられています。このモードは、課金、ガチャ、シーズンパス、目標達成、オンライン対戦といった要素を組み合わせ、リアルなサッカーゲームに人気のオンラインゲームの要素を詰め込んだものです。これが「FC」シリーズが長年にわたり収益を上げ続ける基盤であると同時に、「原罪」とも言えるでしょう。プレイヤーが多大な時間と金銭を費やす中で、毎年前年以上の体験が得られているのか、という問いに対する答えは、まだ見つかっていません。
ゲームプレイの調整:より遊びやすく、より多様に?
進化した操作感と女子選手の台頭
私は『FC 26』でその答えを探るべく、早速プレイしてみました。ゲームのウェブ版は9月18日に先行リリースされ、おなじみのリーグ選択、ホームチーム設定から始まり、基本的なスカッド編成チャレンジ(SBC)や目標任務をこなし、報酬の選手パックを開けて使える選手を揃えるところからスタートします。そして、ゲームの正式サービス開始とともに、本年度も終わりのない試合と任務の旅が幕を開けます。
試合の操作感に関しては、『FC 25』の最終イベントでゴールドカード選手のみの使用が求められたこともあり、リリース直後の『FC 26』との比較は新鮮なものでした。私個人の感想としては、今作はより柔軟で滑らかな操作感になったと感じます。選手を操作してシンプルな方向転換を行うだけで、相手との競り合いに勝ったり、前進するスペースを見つけたりしやすくなりました。かつてのように、ひたすらスキルムーブ(花式動作)を練習する必要性は薄れたように思えます。
この変化の傾向により、女子選手の持つ柔軟性という特性が一定程度増幅され、『FC 26』では彼女たちがより使いやすくなりました。多くのプレイヤーが組んでいる無課金編成においても、ディフェンダーはまだ難しいものの、他のポジションでは非常に使いやすい女子選手を選択できるようになっています。これはEAが提唱する「多様性」という理念にも合致する変化と言えるでしょう。
もちろん、スキルムーブも依然として強力であり、今作にも新しいスキルムーブが追加されています。これらを使いこなせば試合で有利になるのは間違いありませんが、使わなくてもそれほど困らない、というバランスになっています。この操作感の変更が良いかどうかは、まさに「見解の相違」でしょう。下位層のプレイヤーにより大きな活躍の場を与え、体験感を向上させたと評価する声もあれば、苦労してスキルムーブを練習した自分の努力が報われないと感じるプレイヤーもいます。
「ウイイレ」を彷彿とさせる調整とオンライン対戦の実情
また、今作では守備AIが向上したという声も聞かれます。非操作選手の自主的なポジショニングがより積極的になり、ディフェンダーの守備範囲が拡大したように感じられます。しかし、オンライン対戦ではこの感覚はあまり顕著ではありません。過去数作と同様に、私と対戦相手はお互いに「オープンな試合」を展開し、一試合での総得点数が10点や8点になることも珍しくありません。したがって、守備のパフォーマンスはEAの設計思想だけでなく、ネットワークの遅延とも密接に関連しているのかもしれません。
これらの変化は、かつて『ウイニングイレブン』シリーズが好きでやっていた調整を思い出させます。今作でダイレクトパスが強化されれば、次作では弱体化される、といった具合に。EAもまた、似たようなことを行っています。すべての調整がサッカーのリアルさを追求するためだけではなく、多くは「変化のための変化」であり、目的はただ毎作の始まりに新しい感覚をもたらすことにあるのです。男女選手が同じピッチで競い合う日には、「リアルさの追求」という概念は存在しなくなります。
簡潔にまとめると、『FC 26』の試合システムは従来作と大きく変わっていません。システム構造においても試合の細部に至るまで、もし一度でも「FC」シリーズをプレイした経験があれば、まったく戸惑うことなくプレイできるでしょう。また、今作で物理エンジンが変更されていないことも、前作を基盤にごくわずかな変更が加えられているという予想通りの展開であり、シリーズの歴史を振り返っても、革命的な変化は期待されていません。
Ultimate Team (UT) モードの方向転換:長期的なエンゲージメントへ
「能力曲線」の緩和で、より長く楽しめる体験を目指す
当然のことながら、事実上のオンラインゲームである本作にとって、長期的な運営能力は操作感の変更よりもはるかに重要です。サービス開始の数日前、EAは詳細なアップデートノートを公開し、今作の主要なポイントを説明しました。UTモードで最初に言及された戦略の一つが、「能力曲線の緩やか化」です。EAは、プレイヤーからの「数日プレイしないと、すぐにチームの強度が追いつかなくなる」という悲惨な不満を真摯に受け止め、問題解決に向けた具体的な措置を講じると述べています。
これは、レジェンドやヒーローといったトップクラスの選手カードが、より長期間にわたって一流チームの基準として機能し、プレイヤーが長期的に追い求める目標となることを意味します。同時に、イベントで登場する選手の能力アップも、大幅な数値の上昇ではなく、より緩やかな平行アップグレードが中心となります。例えば、先行体験期間中には月間最優秀選手SBCは登場せず、決勝戦の勝利チーム選手ボーナスも、これまでの「+2」から「+1」へと減少しています。
では、これにより一つの編成が例年よりもどれくらい長く戦い続けられるようになるのでしょうか。理論上、毎週新しいイベントやカードがリリースされ続けるものの、平均的なボーナスの上昇幅はより緩やかになり、属性の上昇も小さくなります。年間ベストイレブンやシーズンベストイレブンといった大規模イベントでは従来通り顕著なアップグレードがあるものの、それらの大規模イベントの合間での能力アップのカーブは、これほど急峻にはならないでしょう。
より緩やかな能力曲線に合わせるため、連携スタイル(ケミストリー)のボーナスも調整され、元の「4/8/12ポイントアップ」から「3/6/9ポイントアップ」へと変更され、属性差が縮小されました。『FC 26』は、長年プレイヤーたちが固執してきたスピード重視の選手への偏愛を打ち破ろうともしています。スピードの上昇値は弱体化され(最大+6)、相対的に非スピード型のスタイルにおける他の主要属性への上昇幅が大きくなりました。
つまり、今作の調整の全体的な狙いは、ゲームのペースを確かに「遅くする」ことにあるようです。課金に惜しみないプレイヤーは早くに最強チームを完成させられるとしても、残りの大多数のプレイヤーは、ある期間内において比較的同じレベルでプレイできる期間が長くなり、過度な「ノルマ」によるプレッシャーが軽減されることを目指しているのです。これに伴う連鎖的な変化として、様々なイベントが積み重なるにつれて、一定期間中に選択できる選手が豊富になり、EAはプレイヤーに画一的な「最適解」を追うだけでなく、多様な選手や編成を試すことを引き続き奨励しています。
報酬調整とプレイヤーの反応
また、この「スローペース化」に合わせて、シングルプレイのSquad Battle(SQB)、オンライン対戦のDivision Rivals(DR)、そして週間チャンピオン(FUT Champions)の報酬も調整され、少なくともシーズン初期においては、報酬の魅力はそれほど大きくありません。これは当然、プレイヤーの満足度を高めるものではないでしょう。サービス開始後も、多くのプレイヤーが週間ブラックカード(TOTW)やその他のイベントで登場する特別カードの排出率が低すぎると感じており、ペースを落としつつも良い体験を提供する方法について、運営側は今後も熟考する必要があるようです。
一方で、今作にはいくつか良い改良点もあります。その一つが、Rush!モードです。『FC 25』で追加されたRush!は、現在最も人気のあるゲームモードの一つに急速に成長しました。Rush!は狭いフィールドで試合が行われ、テンポが速く、激しい攻防が繰り広げられます。非常に多様なスタイルの選手を起用できるのがその魅力です。
まとめ:サッカーゲームの巨人『FC』シリーズのこれから
『EA Sports FC 26』は、その圧倒的な存在感と数千万本規模の売上予測にもかかわらず、Steamでの「賛否両論」といったプレイヤーからの多様な意見に真摯に耳を傾け、ゲーム体験の改善を試みていることが伺えます。
特にUltimate Teamモードにおける「能力曲線」の緩やか化は、課金依存のプレイスタイルから脱却し、より多くのプレイヤーが長期的に楽しめるような変化を目指すEAの意図が垣間見えます。ゲームプレイの調整による操作感の向上や、女子選手の活躍の場が広がるなど、現代のトレンドである多様性を追求する姿勢も見て取れます。
しかし、排出率や報酬に対する不満など、運営には引き続きプレイヤーの声に寄り添い、ゲーム体験の質を高める努力が求められます。日本のサッカーゲームファンにとっても、この『EA Sports FC』シリーズの動向は、今後のサッカーゲーム全体の方向性を占う上で見逃せないものとなるでしょう。
騒がしい市場の喧騒が聞こえる中でも、本シリーズが目指すのは、多くの人に「楽しさ」を提供すること。その目標に向かって、『FC 26』がどのような進化を遂げていくのか、引き続き注目していきましょう。
元記事: chuapp
Photo by Earth Photart on Pexels












