中国の人気アニメ『霊籠』で知られる制作会社「艺画开天(イーファカイティエン)」が、初の自社開発ゲーム『凡応(ファンイン)』の大胆な方向転換を発表しました。2023年の初公開では硬派なソウルライクアクションとして注目を集めましたが、最新のPVでは人気ゲーム『原神』や『鳴潮』を思わせる二次元ACT(アクション)体験へと大きく姿を変えました。この戦略変更の背景には何があるのでしょうか。中国ゲーム市場のトレンドと共に、その真相に迫ります。
アニメ制作会社『艺画开天』、初の自社開発ゲームに挑戦
アニメ制作会社「艺画开天」は、中国で絶大な人気を誇るオリジナルアニメ『霊籠(リンロン/Spirit Cage)』を手がけ、アニメ業界で確固たる地位を築いてきました。その彼らが初めて自社開発したゲーム『凡応』は、当初から「アニメとゲームの同時制作」をコンセプトに掲げ、2023年の初公開時にはアニメ・ゲーム双方のファンから大きな期待が寄せられていました。
当時公開されたPVでは、緻密に練られたストーリー、実機プレイによる迫力あるバトル、そしてその高いグラフィック品質が注目を集めました。硬派な終末世界観と、パリィや靭性破壊といった本格的なアクション要素が特徴で、プレイヤーの操作スキルが問われる「ソウルライク」に近い体験が示唆されていました。
硬派アクションから二次元ACTへ――『凡応』の大胆な方向転換
しかし、2年ぶりに公開された『凡応』の最新PVは、多くの人々を驚かせました。かつてBilibiliで数百万再生を記録した初回PVは公式に削除され、ゲームの内容も大幅に変更されたのです。まるで別の新作ゲームであるかのように、その姿は一変しました。
バトルシステムとグラフィックの大きな変化
最も顕著なのは、バトルシステムの変化です。初期の『凡応』が追求したのは、プレイヤーの操作タイミングが重要な硬派なソウルライクアクションでした。格闘、靭性破壊、弱点攻撃といった要素や、ステージの破壊、武器の衝突による火花など、リアルな没入感を重視するディテールが豊富でした。
しかし、最新PVで描かれるバトルは、まるで『原神』や『鳴潮』といった人気タイトルに代表される二次元ACT(アクションロールプレイングゲーム)の体験へと変貌を遂げています。よりスタイリッシュで、広範なユーザー層に受け入れられやすい方向へと舵を切ったことがうかがえます。
グラフィック面でも大きな変化が見られます。初期のPVが硬派な終末世界を想起させるデザインだったのに対し、現在のバージョンはより明るく、柔らかな印象に変わりました。これはキャラクターモデルだけでなく、世界観や物語の舞台全体にも反映されており、ゲーム全体が親しみやすい雰囲気を醸し出しています。
世界観やストーリーへの影響は?
世界観やストーリーについても変更があった可能性が指摘されています。初期PVには「砂嵐」を巻き起こす浄海などの要素が示唆されていましたが、最新PVは特定の「男性主人公」の視点に偏らず、群像劇的なアプローチが採用されています。これにより、中心人物が他のキャラクターを巻き込みながら物語を進めるという当初の軸が、より多様な視点から展開される可能性があり、今後の情報公開が待たれます。
なぜ変わったのか?大胆な戦略変更の背景と影響
このような大幅な方向転換は、個人の好みによって賛否が分かれるところでしょう。例えば、以前の硬派なグラフィックを好む人もいれば、最新版のACTバトル体験を評価する人もいるはずです。
しかし、この変更が『凡応』というプロダクトに与える影響は、主に二つの点で大きいと考えられます。
1. アニメとゲームの整合性の向上
以前の硬派なバトルシステムは、アニメで描かれるストーリーやキャラクター演出との間に、若干の「乖離感」を生じさせる可能性がありました。リアル志向のバトルが強すぎると、アニメファン層が抱くゲームへの没入感を損ねる恐れがあったからです。最新版のアクションRPG路線は、より幅広いファン層、特にアニメから流入するユーザーにとって、よりスムーズで一体感のある体験を提供できるでしょう。
2. 運営モデルの選択肢と市場への適応
初期の『凡応』が目指したのは、物語性の高いアクションゲーム、つまりアニメのキャラクターでストーリーを進めるというコンセプトであり、シングルプレイ(スタンドアロン)を主軸とした作品になる可能性が高かったと見られます。中国国内市場では、このようなニッチな方向性はユーザー基盤が限られるという課題がありました。
しかし、最新版の戦略は、『原神』などに代表される中国市場で成功が実証されたビジネスモデルを参考にできるという大きなメリットがあります。課金要素や継続的なコンテンツ更新を前提とした運営型ゲームとして展開することで、より大規模なユーザー層にアプローチし、収益性も高めることが可能になります。これは、「個性を追求する」というリスクを負うよりも、「より成熟し、実績のある方向性」を選ぶという、非常に現実的な判断と言えるでしょう。
まとめ:中国ゲーム業界のトレンドと『凡応』の未来
異業種からのゲーム参入は、現代のゲーム業界で頻繁に見られる現象です。アニメ制作会社が培った世界観構築力やキャラクターデザインのノウハウは、ゲーム開発において大きな強みとなります。『凡応』の大胆な方向転換は、中国ゲーム市場のメインストリームへと適応しようとする戦略的な動きと見ることができます。
日本市場でも二次元ACTは人気が高く、もし『凡応』が正式にリリースされれば、多くのゲームファン、特にアニメファンから注目を集めることでしょう。アニメ制作の強みと、市場のニーズを捉えたゲームデザインが融合した時、どのような化学反応が起こるのか。今後の『凡応』の展開から目が離せません。
元記事: news
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