先日、中国の国民的バトルロイヤルゲーム『和平精英』(PUBG MOBILE中国版)が、2026年の春節(旧正月)の大晦日(除夕)に驚異的な記録を達成しました。なんと、デイリーアクティブユーザー数(DAU)が9000万人を突破し、ゲーム内で新年を祝う「サイバー新年俗」という新たなトレンドを確立したのです。バーチャル空間が現実の「儀式感」を代替し、または補完する存在となる中、ゲームが文化的な役割を担い始めた中国の最新動向を深掘りします。
中国ゲームが牽引!バーチャル空間で迎える新時代の春節
中国では近年、インターネットの普及とともに人々の生活に深く根付いた「儀式感」が、現実世界から仮想空間へと広がりを見せています。特に春節のような伝統的な祝祭において、デジタル空間で新年を祝う「サイバー〇〇」という新しい風俗が受け入れられつつあります。
『和平精英』が記録的なDAUを達成:デジタル空間の「儀式感」とは?
まさにその象徴として、先の春節の大晦日には、9000万人を超えるプレイヤーが『和平精英』の中で共に年を越し、新年の集いを楽しんでいました。ゲームシーンが、春節の儀式感を体験する全く新しい場として機能しているのです。さらに、ゲーム内のUGC(ユーザー生成コンテンツ)プラットフォームである「緑洲啓元」(Oasis Origin)もDAUが5800万人を超え、国内UGC市場を牽引しつつ、『和平精英』のユーザー基盤の持続的な成長を強力に後押ししています。
こうした影響力は偶然ではありません。過去1年間、『和平精英』はApp Storeの売上ランキングで何度もトップを獲得し、シューティングゲームカテゴリでの首位を長期間維持してきました。2026年に入ってからも連日トップを走り続けており、その人気の高さと持続性は、激しい競争が続くシューティングゲーム市場において、7年間にわたり業界の最前線に立ち続けていることを証明しています。まさに「一日限りのブームではなく、7年続く真の王道」を体現していると言えるでしょう。
伝統と革新が織りなす「和平風」:新春アバターが創る新たな文化潮流
新春の「儀式感」がオフラインに限定されず、仮想空間での年の瀬の表現が新たなトレンドとなる中で、「新年には新しい服を着る」という習慣もデジタルへと移行しています。現実世界で新しい服を買うように、多くのプレイヤーはゲーム内で季節に合ったスキンに着替えます。このため、春節期間に新スキンや新アバターをリリースすることは、ゲーム運営にとって単なるイベントではなく、ユーザーの期待に応える「試金石」のようなものです。9000万人ものプレイヤーを引きつけ、共に祝うことを可能にした『和平精英』は、この試金石で高得点を叩き出したと言えるでしょう。
新春限定スキン「天馬神君」&「霊駒仙姫」が大ヒットの理由
『和平精英』がリリースした新年限定の干支(馬年)をテーマにした2つのスキン、「天馬神君—馭風」と「霊駒仙姫—雲歌」は、その美しさと春節のタイミングも相まって、プレイヤーの間で大きな話題を呼びました。発表前から関連トピックが何度もトレンド入りするなど、その期待値は非常に高かったのです。
これらのスキンは、「和平風」という独自の美学スタイルと美的体系を確立していることを示しています。伝統文化における最も重要な祝祭である春節をテーマにしつつ、人々の持つ固定観念にとらわれず、「伝統的」でありながら「斬新」であるというバランスが見事に取れています。今年のテーマは「霊馬化神」で、仙気と神性を強調し、豪華で壮大でありながら、優雅な美しさを兼ね備えています。
「天馬神君—馭風」は、魂の馬耳や、クールで優雅な雰囲気から野性的で自由奔放な気質への変化が特徴。乗り物は初の変色する天馬で、細部に至るまで「神君」のイメージを表現しています。「霊駒仙姫—雲歌」は、流れるような衣と白玉の馬飾り、縁起の良い玉佩が特徴で、乗り物は初の生物形態の変化を遂げた霊鹿のデザイン。これらは、干支の「馬」という具体的な要素と、祥瑞、霊性、仙、神といったより広範で人々の感情に訴えかける伝統文化のテーマを見事に融合させています。
さらに、これらのスキンには守護と祝福をテーマにした専用の背景ストーリーも用意されており、プレイヤーがスキンを身につけることで、自身や友人の「サイバー祈福(バーチャル祈願)」をするという、新しい形の「年味(春節の雰囲気)」を体験できるのです。これまでの新年スキンも同様に、伝統文化と現代的な美学を融合させる試みを続けており、『和平精英』独自の「九大和平風」という美的体系へと昇華させています。これは、ゲーム美学が単なる模倣ではなく、継承と進化を遂げた独自のシステムであることを意味しており、『和平精英』が新たなトレンドをリードする存在となっている証拠です。
オンラインとオフラインが融合:バーチャル祈願で「サイバー新年俗」を体験
『和平精英』は、新年スキンと同時に、多様な地域と文化圏で「祈福(祈願)」をテーマにしたキャンペーンを展開しました。地元の無形文化遺産(非遺文化)と、芸能人を起用したショートビデオ、ライブ配信、ポップアップイベントなどを組み合わせることで、老若男女が楽しめるような大規模なプロモーションが行われました。
例えば、杭州では俳優が「天馬神君」の姿で登場し、年画(新年に飾る絵)や竹馬舞(伝統的な踊り)を披露。佛山では女優が「霊駒仙姫」として、祖廟と連携した巨大なランタンや英歌舞(伝統舞踊)と共演するなど、オンラインとオフラインが密接に連携した没入感のある新春祈願体験を提供しました。プレイヤーもオンラインで「神馬舞」チャレンジに参加したり、ゲーム内で芸能人と共に遊んだりするなど、一体感のあるイベントで春節を楽しみました。
まとめ:中国ゲーム市場の進化と、その先に見える未来
『和平精英』のこの成功は、中国のゲーム市場が単なるエンターテインメントの提供者にとどまらず、文化的な役割を担い始めていることを明確に示しています。伝統的な「儀式感」がバーチャル空間で再構築され、「サイバー新年俗」として社会に浸透していく様は、デジタル技術が人々の生活や文化に与える影響の大きさを示唆しています。
日本市場においても、ゲームが単なる遊びを超えて、コミュニティ形成や文化体験のプラットフォームとしての役割を果たす可能性を秘めています。特に、リアルイベントとの連動や伝統文化との融合は、新たなユーザー体験を生み出すヒントとなるでしょう。中国のゲーム業界が描く未来は、私たちに「ゲームが生活の一部となり、文化を創造する」という新しい時代の到来を告げているのかもしれません。
元記事: chuapp
Photo by RDNE Stock project on Pexels












