世界中のゲーム開発者が注目する祭典GDC(Game Developers Conference)が実施した最新の「2025年ゲーム業界給与レポート」が発表され、米国ゲーム業界のリアルな給与事情が明らかになりました。なんと、米国ゲーム業界のプロフェッショナルたちの平均年収は14.2万ドル(日本円で約2,200万円以上、1ドル=155円換算)という高額ですが、その華やかな数字の裏側には、レイオフや賃金格差といった深刻な課題も浮かび上がっています。今回は、このレポートの詳細を深掘りし、アメリカのゲーム業界が抱える「光と影」に迫ります。
アメリカゲーム業界の「光と影」:高まる平均年収の裏側
平均年収14.2万ドル!高給の現状
2025年7月に562名の米国ゲーム開発者を対象に行われたGDCの調査によると、平均年収は驚きの14.2万ドルでした。さらに、回答者の60%が過去1年間で「わずかながら昇給した」と報告しています。年収の内訳を見ると、25%が12.5万ドル〜19.9万ドル、23%が5万ドル〜9.99万ドルの範囲に収まっていますが、一方で5%は1.5万ドル未満と、報酬には大きなばらつきが見られます。
特に高収入を得ているのは、3Aスタジオや大規模企業で働く人々です。3A企業では85%が10万ドル以上、2Aスタジオでは75%、そしてインディー開発スタジオでも50%が10万ドル以上の年収を得ており、規模の大きな企業ほど高報酬の傾向にあることが伺えます。
職種・経験・福利厚生に見る待遇差
職種別の平均年収では、管理・運営職が16万ドルで最高額を記録。次いでゲームプログラミングが15万ドルと、技術職やマネジメント層が高く評価されていることがわかります。ビジュアルアーティストの平均は12.4万ドルでした。また、職歴や業界経験年数は給与に影響を与えるものの、修士号や博士号を持たない限り、学歴は平均給与に大きな影響を与えないという興味深い結果も出ています。
福利厚生については、85%の従業員が医療保険に加入しており、雇用主による拠出や株式報酬オプションも一般的です。特に、従業員50人未満の小規模企業では医療保険の提供は少ないものの、株式報酬のオプションを得る可能性が高いという特徴が見られました。
深刻な課題:賃金格差、レイオフ、そして不安定な雇用
「不十分な報酬」の現実と是正への道のり
平均年収が高い一方で、回答者の半数以上が「自分の仕事は不十分な報酬しか得ていない」と感じています。特に、外部委託・コンサルタント・パートタイム労働者ではこの感情が69%にまで上昇。さらに、女性や非二元性別者(60%)、有色人種(62%)も報酬に不満を抱いています。調査によると、有色人種の平均収入は白人より27%低く、女性は男性より24%低いという深刻な賃金格差が存在します。
企業の対応としては、33%が「賃金格差の是正に努力している」と回答していますが、10%は「全く努力していない」と答えており、公平な報酬への道のりはまだ遠いようです。
副業文化と高まる雇用の不安
回答者の約4分の1が過去2年間にレイオフを経験しており、その約半数がまだ次の仕事を見つけられていない現状が浮き彫りになりました。また、ゲーム開発という職業の安定性について、80%が「あまり安全でない」と認識しています。
このような状況から、多くの開発者が副業に従事していることも判明しました。副業の理由は、過半数(57%)が「収入を増やすため」と回答していますが、創造的満足感(52%)やキャリア発展(31%)を挙げる人も多く、金銭的な理由だけでなく、自身のスキルアップや表現の場を求める動きも活発です。
労働組合への意識も特徴的で、64%が業界での組合結成を支持するものの、56%は自身が加入したいとは考えておらず、複雑な感情が入り混じっていることが伺えます。
まとめ:日本のゲーム業界への示唆と今後の展望
米国ゲーム業界の平均年収は非常に高いものの、その裏側には賃金格差、レイオフの不安、そして従業員の報酬への不満が大きく存在しています。特に、女性や有色人種といったマイノリティに対する賃金格差は看過できない問題であり、企業による積極的な是正努力が求められています。また、安定しない雇用環境から、多くの開発者が副業を通じて収入源や自己実現の場を求めている実態も浮き彫りになりました。
これらの状況は、少子高齢化や技術進化、グローバル競争に直面する日本のゲーム業界にとっても無関係ではありません。高報酬と同時に公平な評価、働きがいのある環境を提供できるかどうかが、優秀な人材を惹きつけ、業界全体を成長させる鍵となるでしょう。今回のGDCレポートは、アメリカだけでなく、世界のゲーム業界が持続的に発展していくための課題と可能性を深く問いかけるものと言えるでしょう。
元記事: gamelook
Photo by Paras Katwal on Pexels












