中国が国家を挙げて推進する次世代産業育成戦略「新領域・新品質(新域新質)」。その最前線を担う「2025新領域新品質イノベーション大会」の決勝戦が先日、青島で盛大に幕を閉じました。中国電子情報産業発展研究院(賽迪研究院)と青島市人民政府が共同で主催したこの大会は、中国全土で初めて「新領域・新品質」に特化した専門イベントとして注目されています。ハイエンド製造業からAI、航空宇宙に至るまで、未来を形作る5つの重点分野で、どのような革新的な技術と才能が集結したのでしょうか?
中国が掲げる「新領域・新品質」戦略とは?
「新領域・新品質」とは、中国が新たな産業競争力を確立するために掲げる国家戦略で、高性能・高品質な製品やサービスを生み出すための新技術開発と産業領域の開拓を指します。今回の「2025新領域新品質イノベーション大会」は、この戦略を具体的に推進する目的で、中国全土から最先端の技術と人材を発掘し、産業化を加速させるための重要なプラットフォームとして位置づけられています。
9月21日から22日にかけて青島で開催された決勝戦には、工業情報化部の党組織成員兼副部長、国家国防科学技術工業局の局長である単忠徳氏、青島市委員会副書記兼市長の任剛氏といった要人が出席。大会専門家委員会の尹浩主任、組織委員会主任を務める賽迪研究院の張立院長も登壇し、この大会への高い期待を示しました。
大会の目標は「大会を通じてイノベーションを促進し、転化を促進し、融合を促進する(以賽促創、以賽促転、以賽促融)」こと。優秀な技術や製品、そして人材チームを発掘し、新型工業化と製造強国・ネットワーク強国建設を強力に支援する狙いがあります。
未来を拓く5つの重点分野と多角的なアプローチ
「スマート新領域を凝集し、知恵新品質を結集する」をテーマに掲げた本大会は、以下の5つの戦略的な重点分野に焦点を当てました。
- ハイエンド計測機器・製造設備
- 人工知能(AI)
- ネット情報
- 無人システム
- 航空宇宙
競技は「自由探索」と「ニーズ課題」の2つのトラック、さらに「大学・教員・学生グループ」と「イノベーション企業グループ」の2つの部門に分かれて実施されました。特筆すべきは、「教育—科学技術—人材—産業—金融—政府」という六位一体の融合プラットフォームを構築している点です。これにより、単なる技術コンテストに留まらず、研究開発から産業化、人材育成、資金調達、そして政策支援までを一貫して行うエコシステムを目指しています。
全国の英知が集結!72の革新プロジェクトが受賞
今回の大会には、全国31の省・自治区・直轄市の工業情報化主管部門と、43の「双一流」重点大学が予選推薦に参加し、実に770件もの革新的な成果が寄せられました。また、広範なユーザーから68件のニーズが募集され、63件の課題として公開。これに対して多くのプロジェクトがマッチングに成功し、既に研究開発段階へ移行しています。
審査は公正・公平・公開の原則のもと、著名な科学者、ニーズ側の中堅、企業チーフエキスパートを含む220名以上の専門家が担当。厳正な審査の結果、233件の優秀成果が現場決勝に進出し、最終的に72件のプロジェクトが受賞しました。受賞成果は「新領域新品質イノベーション大会優秀成果集(2025)」としてまとめられています。
特等賞には、大学・教員・学生グループから西北工業大学の「蜂群動力:複合エンジン多場感知と数智蜂群プラットフォーム」など10件が選ばれました。イノベーション企業グループからは、青島ハイエンドベアリング研究院の「P2級高精度ベアリング国産化代替技術」など10件が輝いています。
一等賞では、西安交通大学の「複雑部品の増減複合精密製造技術と設備」や、青島思普潤水処理株式有限公司の「AI活用バイオ流動床汚水処理集約型低炭素ソリューション」などが受賞。さらに、厦門大学の「チップレベル医薬品安全性評価マイクロシステムと設備」や湖南天翼領航科技有限会社の「マイクロ半球螺旋儀」などが二等賞を獲得しました。特別賞として、北京中宇万通科技株式有限公司の「CNCシステム内部発生安全パスワード保護技術と応用」や、北京理工大学の「無人機パスワード安全保護」が榜単優秀賞に選ばれています。
まとめ:中国が描く未来産業の青写真と日本への示唆
「2025新領域新品質イノベーション大会」は、単なる技術コンテストの枠を超え、中国が国家戦略として進める次世代産業育成の強力な推進エンジンであることを明確に示しました。ハイエンド製造からAI、航空宇宙まで、多岐にわたる分野でイノベーションを加速させ、人材育成、産業連携、政策支援が一体となった包括的なエコシステムを構築しようとしています。
この大会で発掘された技術や人材は、今後の中国経済、ひいては世界の産業構造に大きな影響を与えることでしょう。日本の企業や研究機関にとって、中国の「新領域・新品質」戦略が示す方向性や具体的な技術動向は、新たな競争機会と同時に、未来の国際協力の可能性を探る上で注視すべき重要な要素です。
元記事: pcd












