近年、テクノロジーの進化を牽引するAI(人工知能)ブームが、思いがけない形で私たちの身近な製品に影響を与え始めています。特にスマートフォンの価格に直結するメモリチップの市場で、深刻な供給不足と価格の急騰が発生。Micron、Samsung、SK Hynixといった主要メーカーが軒並み50%から最大60%もの値上げを提示しており、多くの携帯電話メーカーは今期の調達を一時停止せざるを得ない状況に陥っています。この価格上昇トレンドは2027年まで続くとの見方も出ており、消費者は今後、スマートフォンの値上げを覚悟する必要があるかもしれません。
高騰するメモリチップ価格と携帯メーカーの苦悩
中国の速報テクノロジーニュースサイト「快科技」が11月15日に報じたところによると、上流のストレージチップ(メモリチップ)の価格が異常な高騰を見せているため、複数の携帯電話メーカーが今四半期のメモリチップ調達作業を一時的に中断しています。
この背景には、Micron(マイクロン)、Samsung(サムスン)、SK Hynix(SKハイニックス)といった主要メモリメーカーからの大幅な値上げ提示があります。報道によれば、その値上げ幅は約50%にも達しており、一部のストレージチップではSamsungが最大60%の値上げを行ったとの情報も入っています。
メーカー側の在庫状況も逼迫しており、一部の携帯電話メーカーでは全体的な在庫が2ヶ月分を下回り、特にDRAM(Dynamic Random Access Memory)の在庫に至っては3週間分を下回っているところもあるとされています。このような状況下で、メーカー各社は提示された大幅な値上げを受け入れるかどうかの難しい判断を迫られています。
価格高騰の背景にある「AIデータセンター」需要
メモリチップ価格高騰の最大の要因として指摘されているのが、世界中のテクノロジー大手がAIデータセンターの建設を大規模に推進していることです。
AIモデルの学習や推論には膨大なデータ処理能力とメモリが必要不可欠であり、これに伴いストレージチップの需要が指数関数的に増加しています。この爆発的な需要拡大に対し、供給が追いつかない深刻な需給ギャップが生じているのです。
2027年まで続く「売り手市場」の予測
米金融大手モルガン・スタンレーは、ストレージチップ業界全体がすでに「売り手市場」に突入したとの見解を示しています。これは、供給側が価格決定権を強く持つ状況を意味し、ストレージチップ価格の持続的な上昇環境が2026年まで続き、さらに2027年まで継続する可能性があると予測されています。
メモリチップは、スマートフォンやPCなどの核となる部品の一つであるため、その価格上昇は関連製品の価格設定、製品戦略、さらには新製品の発表スケジュールにも大きな影響を与えることになります。
消費者への影響:スマホ価格への転嫁
業界関係者の指摘によると、メモリ部品のコストは、スマートフォンのハードウェアコストの約10%から20%を占めています。そのため、メモリ部品の値上げは直接的にスマートフォンのハードウェアコストを押し上げ、すでに中~ハイエンドモデルのスマートフォンでは、一般的に100元から500元(日本円で約2,000円~10,000円)の値上げが発生しているとのことです。
このトレンドは今後も続き、消費者は新しいスマートフォンやPCを購入する際に、これまでよりも高い価格を支払うことになる可能性が高いでしょう。
まとめ
AI技術の急速な発展は、データセンターの建設を加速させ、メモリチップ市場に前例のない需要を生み出しています。これにより、ストレージチップの価格は急騰し、主要メーカーによる大幅な値上げが各方面に波及。特にスマートフォンメーカーは調達戦略の見直しを迫られ、最終的には製品価格の上昇という形で消費者に影響が及んでいます。モルガン・スタンレーの予測通り、この「売り手市場」が2027年まで続くのであれば、今後数年間は電子機器全般の価格が上昇傾向にあると覚悟する必要がありそうです。テクノロジーの進化がもたらす恩恵と、そのサプライチェーンが抱える課題が、私たちの生活にどのような変化をもたらすのか、引き続き注視していく必要があります。
元記事: mydrivers
Photo by Askar Abayev on Pexels












