中国のXR(拡張現実、複合現実、仮想現実)ディスプレイ技術をリードする企業、北京老德佳显示技术有限公司(以下、Lao Dejia)が、C3ラウンドの戦略的資金調達を完了したことを発表しました。この投資は、北京市石景山区現代創新産業発展基金によって行われ、同区が推進する次世代産業育成戦略の一環として位置づけられています。Lao Dejiaは、C1、C2ラウンドに続き、わずか1年で3度の資金調達を達成し、XRディスプレイ市場におけるその存在感を一層強固にしています。今回の資金調達は、中国におけるXR産業のエコシステム構築と技術革新を加速させる重要な一歩となるでしょう。
中国XR市場の牽引役「Lao Dejia」とは?
Lao Dejiaは2015年、北京市石景山区で設立されたハイテク企業です。北京理工大学、米国アリゾナ大学、中国科学院の博士研究チームに加え、経験豊富な光学エンジニアチームがその設立を牽引しました。同社の核となる技術は、自由曲面光学および導波路基盤技術にあり、これをベースにXRディスプレイ光学やアイプロテクションディスプレイなどの革新的な分野に注力しています。
高度な光学技術で全方位サービスを提供
Lao Dejiaは、単なる部品メーカーに留まらず、設計から研究開発、スマート製造、そして試験に至るまで、光学技術に関するフルチェーンサービスを業界に提供しています。これにより、クライアントは製品開発の全段階で同社の専門知識と技術力を活用することができ、XRデバイスの高性能化に貢献しています。
加速する事業戦略とグローバル展開
Lao Dejiaは市場の変化に柔軟に対応し、事業戦略を積極的に調整してきました。これまでのBtoB(企業間取引)中心のビジネスモデルから、現在はBtoBとBtoC(消費者向け取引)を組み合わせたハイブリッドモデルへと転換を進めています。オンラインとオフラインの両方で事業を推進し、多様な顧客ニーズに応えながらビジネスモデルの最適化を図っています。
中国全土に広がる拠点網と世界を見据えた戦略
同社は人材育成にも力を入れ、持続可能で質の高い発展を目指しています。現在までに、中国国内では北京、江蘇省鎮江、江西省上饒、安徽省合肥、四川省などに研究開発、マーケティング、製造、試験の各センターを設立。これらの拠点を通じて、グローバルなXR産業に対して最先端の光学技術サービスを提供し続けています。
北京市石景山区の「2+4+4」産業戦略とXRエコシステム
今回のLao Dejiaへの投資は、北京市石景山区が掲げる「2+4+4」現代化産業体系の推進において、特にバーチャルリアリティ(VR/AR/MRを包含するXR技術)を特色ある中核産業として育成する重要な施策です。この投資により、区内におけるXR産業関連要素の集積が加速し、産業エコシステム全体の最適化に大きく貢献すると期待されています。地方政府が主導するこうした投資は、中国が戦略的に次世代技術産業を育成する姿勢を明確に示しています。
まとめ:未来の視覚体験を形作るLao Dejiaの挑戦
Lao DejiaのC3ラウンド資金調達完了は、同社の技術力と将来性が高く評価されている証拠であり、中国におけるXR産業の成長がいかに加速しているかを物語っています。政府系基金の戦略的投資は、企業の成長を後押しするだけでなく、地域経済の活性化と国家全体の技術力向上にも寄与します。
日本市場においても、XR技術は多様な分野での応用が期待されており、Lao Dejiaのような先進的な中国企業の動向は、今後の技術競争や市場トレンドを占う上で非常に重要です。同社の光学技術が、どのような形で未来の視覚体験を再定義していくのか、その挑戦に注目が集まります。
元記事: pedaily
Photo by RDNE Stock project on Pexels