Metaが仮想現実(VR)事業で大規模な戦略転換を発表しました。VR分野での成長が期待を下回っていることを受け、同社は複数のVRゲームスタジオ閉鎖やプロジェクト中止といった事業再編に踏み切っています。今後はVRだけでなく、モバイル版「Horizon Worlds」への注力を強化し、さらにサードパーティによるコンテンツエコシステム育成に重きを置く方針です。この動きは、VR技術の未来に対するMetaのアプローチを大きく変えるものとして、業界内外から注目を集めています。
VR事業の大規模な戦略転換が示すもの
Metaは最近、VR事業において一連の思い切った措置を講じました。これには、以前買収した3つのVRゲームスタジオの閉鎖、別の1スタジオでの大規模な人員削減が含まれます。さらに、人気タイトル『バットマン:アーカムの影』の続編開発計画を中止。ビジネス向けのVR体験を想定していた「Horizon Workrooms」プロジェクトや、法人市場向けのQuestヘッドセット製品の展開も終了すると発表しました。
これらの動きは、MetaがVR事業戦略を根本的に見直していることの明確な表れです。ダボス世界経済フォーラム期間中、Metaの最高技術責任者(CTO)であるアンドリュー・ボズワース氏は複数のインタビューに応じ、VR事業における人員削減とプロジェクト中止について公に言及しました。彼は率直に、「VR分野の成長速度は、我々の期待に達していません」と述べ、VRへの大規模投資は継続するものの、資源の無駄遣いを避けるため、事業の発展段階に合わせて投資規模を調整する必要があると説明しました。
「モバイルファースト」戦略への移行
ボズワース氏は、Metaが戦略の重心をモバイルプラットフォームへと移していることを明らかにしました。特に、同社のソーシャルVRプラットフォーム「Horizon Worlds」のモバイル版におけるユーザー増加傾向について、「非常に、非常に楽観的だ」と強調しています。このため、Metaはモバイル版「Horizon」への投資を強化し、この分野に資源を集中させる計画です。
これまでのMetaは、開発チームに対し、モバイル版とVR版の双方で製品を開発するよう求めていました。しかし、ボズワース氏は「開発効率を向上させたいのであれば、解決策は非常にシンプルです。チームにモバイル開発に集中させればいい」と述べ、今後はモバイル版の開発効率向上に専念する方針を示しました。VR版を完全に放棄するわけではないものの、事実上、モバイル版への全力投球に近い状態になると見られます。
サードパーティコンテンツとエコシステム育成が鍵に
ボズワース氏はまた、過去のMetaがVR版「Horizon Worlds」に多大な投資を行い、Questヘッドセットユーザーに同製品の使用を促しすぎていたことで、「ユーザー体験を犠牲にしてしまった」と示唆しました。今後のVR戦略については、「VRをその本質に戻し、本来の価値を発揮させる」ことに焦点を当てると表明。特に、「サードパーティのコンテンツライブラリ構築、およびその分野のエコシステム育成に注力する」考えを示しました。
この発言は、Metaが今後はVRユーザーに「Horizon Worlds」を積極的に利用するよう促すのではなく、コンテンツ開発の主導権をサードパーティに委ね、ユーザーが自由に魅力的なVRコンテンツを選択できる環境を整える方針であることを示唆しています。
まとめ
Metaの今回の戦略転換は、VR市場が期待通りのペースで成長していない現実を認め、より持続可能なビジネスモデルを模索する企業の姿勢を浮き彫りにしています。日本市場においても、VRデバイスの普及やコンテンツ消費は依然として発展途上にあり、モバイルプラットフォームへのシフトやサードパーティコンテンツの多様化は、より多くのユーザーをVR体験に引き込む可能性を秘めています。
特に、Metaがサードパーティエコシステムの育成に注力することで、Meta Questプラットフォームに高品質で多様なVRコンテンツが供給され、ユーザー体験の向上に繋がることが期待されます。MetaがどのようなバランスでVRとモバイルの融合を進め、次なる成長戦略を描いていくのか、今後の動向が注目されます。
元記事: pcd
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