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ゲーム音楽がクラシックへの扉を開く?原神のHOYO-MiXが語る創造の秘訣

Game music composer Orchestral music production - ゲーム音楽がクラシックへの扉を開く?原神のHOYO-MiXが語る創造の秘訣

大人気オープンワールドRPG『原神』の壮大な音楽を手がけるHOYO-MiXが、Apple Music Classicalで最新アルバム「真珠の歌5」をリリースしました。これに合わせて、Apple主催の「Today at Apple」イベントが上海のApple Storeで開催され、HOYO-MiXの作曲家である趙鑫氏が、ゲーム音楽と古典音楽を融合させる創作過程の秘訣を披露。多くのゲームファンや音楽愛好家が詰めかけ、ゲームが古典音楽への新たな架け橋となる可能性を強く示唆しました。本記事では、その熱気あふれるイベントの様子と、HOYO-MiXの革新的な音楽制作哲学に迫ります。

『原神』がクラシック音楽の架け橋に?HOYO-MiXが描く新たな音楽体験

先日8月13日、大人気ゲーム『原神』の最新オリジナルサウンドトラックアルバム「真珠の歌5」が、Apple MusicとApple Music Classicalで配信を開始しました。このアルバムには、パイモンによる多言語対応の「逐曲解説」も付属しており、オーケストラ、エレクトロニック、民族楽器が融合したサウンドは、ゲームが古典音楽の「架け橋」となり得る可能性を改めて示しています。

Appleが主催した「Today at Apple」イベントには、米ハ游(miHoYo)傘下のオリジナル音楽スタジオHOYO-MiXの作曲家、趙鑫氏が特別ゲストとして招かれ、古典音楽と融合した創作秘話が語られました。2011年に設立されたHOYO-MiXは、『原神』をはじめ、『未定事件簿』、『崩壊3rd』、『ゼンレスゾーンゼロ』といった人気ゲームの楽曲制作を担当。その創作スタイルは多岐にわたり、既存の枠にとらわれることなく、各ゲームの特性に合わせた独自の音楽言語を追求しています。

音楽で世界を織りなす「ストーリーテリング」

『原神』は豊かな世界観を持つゲームであり、趙鑫氏とチームは、ゲーム内の各地域やバージョンに合わせて、オーケストラ、民族楽器、さらには世界各地の多様な要素を織り交ぜた音楽を制作しています。

  • 璃月(リーユエ)のシリーズでは、古琴や琵琶といった中国の伝統楽器を導入。
  • 稲妻(イナズマ)では、日本の民族楽器である尺八や三味線を使用。
  • フォンテーヌの水中世界を表現するためには、ガラスハープという珍しい楽器を特別に演奏するなど、細部にわたるこだわりを見せています。

さらに、地域性を表現するだけでなく、趙鑫氏とチームはインタラクティブな音楽体験の創出にも挑戦。今回リリースされたアルバムのCD3に収録されている楽曲「門扉前の弈局」では、ゲーム内で王とクイーンのキャラクターがそれぞれ曲中の男女ボーカルに対応するよう設計されています。プレイヤーが王を先に倒せば男声が消え、クイーンを倒せば女声が消えるという、ゲームプレイと音楽が連動する画期的な仕組みです。これは「まずゲームプレイの要求を満たし、その上で芸術性を最大限に発揮する」というHOYO-MiXの一貫した原則を体現しています。彼らにとって、「聞き心地の良さ」と「使い勝手の良さ」のバランスは、まずシーンのテンポの要求を満たし、その後にメロディーを細かく磨き上げることで実現されるのです。

「聞き心地の良さ」と「ゲーム性」の融合:制作の舞台裏

趙鑫氏はイベントで、上百ものオーディオトラックを楽器や声部に分けてモジュール化し、スクリーン上に整然と並べたデモンストレーションを披露しました。弦楽器がベースを築き、そこに電子音が重なり、ドラムのビートが加わる。まるで魔法のスープを調合するように各モジュールが交差し、衝突し、融合していく過程を経て、最終的にアルハイゼンのキャラクターテーマ曲が完成すると、会場からはわずかながら感嘆の声が漏れました。

数百にも及ぶ音源トラックを同時に処理することは、機材にとって厳しい負荷テストとなります。趙鑫氏がデモンストレーションで使用したMac Proは、その高い安定性で知られており、彼がいかに調整してもバックグラウンドのCPU使用率は安全な範囲に保たれていました。

また、音楽が最終的にプレイヤーのデバイスでどのような質感で聞こえるかを確実にするため、趙鑫氏とチームはプロフェッショナルなミキシングが完了した後も、AirPodsなどの携帯デバイスを使って繰り返しチェックを行います。これは、大多数のプレイヤーが使用するシーンに合わせた音質を追求することが、プロのモニタリング機器を使用することと同等に重要であると考えているためです。

まとめ:ゲームから広がる音楽の世界

わずか1時間の講演でしたが、会場の観客は熱心に耳を傾け、質疑応答の時間には「今年の『原神』コンサートはいつ開催されますか?」といった質問も飛び出すなど、イベントは大きな盛り上がりを見せました。趙鑫氏自身も「ゲームの音楽がきっかけでオーケストラに触れるようになった」というプレイヤーの声を聞くことを何よりも喜んでおり、ゲームを橋渡し役に、古典音楽を魂とするこの「双方向の素晴らしい出会い」は、まさに現代的でクールな出来事であると語っています。

『原神』の音楽が、世界中の若い世代にとって、これまで縁遠かったかもしれないクラシック音楽への新たな扉を開く可能性を秘めていることが、今回のイベントではっきりと示されました。日本でも絶大な人気を誇る『原神』の存在は、今後もゲーム音楽の可能性を広げ、ジャンルを超えた文化交流を促進していくことでしょう。ゲームが持つ力を通じて、より多くの人々が多様な音楽の世界に触れる未来に期待が高まります。

元記事: chuapp

Photo by Kaiser Leo Xiv on Pexels

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