驚異的なプロジェクトが中国のテクノロジーニュースサイトで報じられました。ハードウェア愛好家のマティアス・バルヴィエシュ氏が、なんと8192個ものRISC-Vマイクロコントローラーを使い、自作の「GPU」を製作したというのです。このデバイスはディスプレイとしても機能し、全体の消費電力は2000Wを超えるというから驚きです。DOS時代を彷彿とさせる解像度で、まさに「愛」と「狂気」が融合したような夢のプロジェクトをご紹介します。
常識破りの自作GPUプロジェクト
バルヴィエシュ氏の挑戦は、文字通り「常識破り」の一言に尽きます。彼は自宅で、8192個のRISC-Vマイクロコントローラー(MCU)を用いて、GPUとディスプレイが一体化したデバイスを作り上げました。
当初、1920×1080のフルHD解像度を目指していたそうですが、そのためには200万個以上のチップが必要になる計算でした。コストと難易度を考慮し、最終的には320×200ピクセルという解像度に落ち着いたとのこと。これは、DOS時代のPCゲームをプレイしていたベテランゲーマーにとっては懐かしさを覚える、非常にレトロな解像度です。
各MCUのチップ上には、直接RGB LEDがはんだ付けされています。これは、コストと配線の複雑さを考慮し、通常使われるアドレス指定可能なRGB LEDではなく、シンプルにLEDをチップに直結させる方法を選んだ結果です。現在、バルヴィエシュ氏は8192個のチップを組み上げた段階ですが、プロジェクト全体の完成に向けた計画は既に完璧に練られています。
驚異の技術的詳細と消費電力
この巨大な「GPU」の内部には、驚くべき技術的詳細が詰まっています。使用されているチップは、沁恒(WCH)CH570 RISC-Vマイクロコントローラーです。このチップは32ビットRISC-V CPUを内蔵し、最大100MHzで動作するだけでなく、USBコントローラー、2.4GHz無線トランシーバー、そしてBluetooth 5.0 LEも統合されています。単体での価格はわずか0.13ドル(約20円)と安価ですが、320×200のフルアレイ(6万4千個のチップ)を完成させるには、チップ代だけで8000ドル(約125万円)以上かかる計算です。
バルヴィエシュ氏が直面した最大の課題の一つは、消費電力でした。個々のMCUの消費電力はわずか10mA程度ですが、8192個ものチップが稼働すると、合計消費電力はなんと2161Wに達します。これは3.3Vの電圧で約655Aもの電流が必要となる計算で、一般的な家電製品の比ではありません。この膨大な電力供給のため、彼は市販のSeasonic製WS3000 ATX電源を使用し、さらに自作の12Vから3.3Vへの大電流変換ボードを組み合わせています。
回路設計もまた特筆すべき点です。バルヴィエシュ氏は、PCB、電源回路、インターフェースボード、テストボードに至るまで、すべてを自ら設計しました。特に6層PCBの設計は彼にとって初めての挑戦だったそうです。当初は液冷システムの導入も検討されていましたが、コストと環境要因を考慮し、一時的に見送られています。
独特なプログラミング手法と今後の展望
これほど大規模なアレイの個々のチップをプログラミングする方法もまた、非常にユニークです。バルヴィエシュ氏は、3Dプリンターのヘッド部分に特製の3軸ピン型ツールを取り付けました。そして、Pythonスクリプトを通じて3DプリンターにGコードコマンドを送信することで、ツールを正確に制御し、個々のMCUに接触させてプログラムを書き込むという独創的な方法を考案したのです。
このプロジェクトは、単なる技術的な挑戦を超え、ハードウェアDIYの可能性を最大限に引き出すバルヴィエシュ氏の情熱と技術力の結晶と言えるでしょう。完成すれば、320×200ピクセルという解像度ながら、これまでにない巨大なRISC-Vベースのグラフィックスシステムが誕生します。彼の今後の進展から目が離せません。
元記事: pconline
Photo by Adriano Ponte Abreu on Pexels












