2026年世界人工知能大会(WAIC)の上海世博センターで、ついにそのベールを脱ぎました。注目を集めたのは、「昇騰950超節点(Atlas 950 SuperPoD)」の実機です。これは、複雑なタスクを自律的に実行する「Agentic AI」時代に向けた計算力基盤として開発され、「超大帯域幅」「超低遅延」「統一メモリ空間」という三つの核となる強みにより、数兆パラメータ規模の巨大AIモデルの訓練や高並列推論に新たなソリューションを提供します。従来のクラスタが抱えていた計算リソースの調整や通信効率のボトルネックを打ち破る、革新的な技術の登場です。
Agentic AI時代を拓くAtlas 950 SuperPoDの衝撃
2026年WAICの舞台で初公開されたAtlas 950 SuperPoDは、未来のAIアプリケーションを支える中核となる計算インフラです。特に「Agentic AI」と呼ばれる、自律的に思考し行動するAIシステムの進化を見据えて設計されています。このSuperPoDは、1024枚のカードで構成されるクラスタ規模で、FP8形式で1 EFLOPS、FP4形式では2 EFLOPSという驚異的な計算能力を発揮します。さらに、256TBという広大なグローバル統一メモリ空間を備えることで、従来のクラスタシステムが直面していた計算リソースの配分や通信効率の課題を根本から解決します。
革新的なシステムアーキテクチャと性能
Atlas 950 SuperPoDの圧倒的な性能は、そのシステムレベルでのアーキテクチャ革新に支えられています。「霊犀互連プロトコル」を通じて、複数の物理ノード間での統一メモリ管理を実現。これにより、TB級のNPU相互接続帯域幅と3マイクロ秒という超低遅延が組み合わさり、数兆規模のパラメータを持つモデルの訓練や推論において、全ドメインでの高効率なリソース配分を可能にします。この設計は、MoE(Mixture-of-Experts)モデルのような極めて高い計算能力を要求するモデルにも対応し、さらにハードウェアとソフトウェアの協調最適化により、システム全体の消費電力の削減も実現しています。これは、大規模データセンターの構築において、再現性のある技術的範式を提供するものです。
既存環境への適応性を高めるAtlas 850E
昇騰(Atlas)は、既存のデータセンター改修が抱える課題にも対応するべく、「Atlas 850E空冷SuperPoDソリューション」を同時に発表しました。この製品は、自社開発のVCE相変化冷却技術を採用しており、既存の空冷IDC(インターネットデータセンター)環境への液冷改修なしで直接導入が可能です。単一ノードで最大96枚のGPUカード構成まで拡張でき、高い柔軟性を提供します。また、FP8やINT8といった低精度フォーマットにネイティブ対応し、4.0 TB/sのメモリ帯域幅と10ミリ秒級の安定した推論遅延を実現。Agentの多段対話や高頻度KVキャッシュを要する長シーケンス負荷のシナリオに特に適しています。
広範なソフトウェアエコシステムと商用実績
昇騰(Atlas)は、ハードウェアの進化と並行して、ソフトウェアエコシステムの強化にも注力しています。CANNとMindシリーズの基盤ソフトウェアはすでに完全にオープンソース化されており、現在までにオープンソースコミュニティには67のプロジェクト、1244万行以上のコードが集積。月間アクティブ開発者は3500人を突破し、1日平均6万回ものコードダウンロードが行われています。90以上のサードパーティコミュニティとの深い協業を通じて、データ前処理からモデル開発、デプロイ、運用までのフルプロセスツールチェーンを構築し、訓練・推論効率の継続的な最適化を進めています。
商用化の面でも、Atlas 384 SuperPoDはすでに全国で750セット以上が導入され、インターネット、金融、医療など20以上の業界でサービスを提供しています。国内で唯一SOTA(State-Of-The-Art)モデルを訓練できるSuperPoDプラットフォームとして、3000社以上のパートナーと協力し、7000以上の業界ソリューションを共同開発。2000社以上の政府系・企業の中核顧客をサポートしています。今回のWAICでの展示では、スマート交通、工業品質検査、医療画像など60以上のビジネスシナリオにおける20以上の代表的な成功事例が紹介され、AI技術が研究室から産業応用へと転換する具体的な道のりを示しました。
AIインフラの未来を再定義する昇騰(Atlas)
昇騰(Atlas)が2026年WAICで披露したAtlas 950 SuperPoDは、その圧倒的な計算能力と革新的なアーキテクチャにより、Agentic AI時代における大規模モデルの訓練と推論のあり方を根本から変える可能性を秘めています。既存のデータセンター環境への導入を容易にするAtlas 850Eの登場も、AIインフラ普及の大きな障壁を取り除くでしょう。
中国国内での広範な商用実績と強固なオープンソースエコシステムは、昇騰(Atlas)の技術が単なるコンセプトではなく、すでに多くの現場で価値を創造していることを証明しています。このような技術の進化は、世界のAI開発競争をさらに加速させ、日本を含む各国のデータセンター戦略やAI研究開発にも大きな影響を与えることでしょう。高性能かつ柔軟なAI計算基盤の選択肢が増えることは、AI技術の民主化と産業応用をさらに推進する力となるはずです。
元記事: pcd
Photo by panumas nikhomkhai on Pexels












