中国で絶大な人気を誇る戦争ドラマ『亮剣(りょうけん)』が、動画共有プラットフォームBilibili(ビリビリ)に全30話無料配信で凱旋し、大きな話題を呼んでいます。先日9月2日の配信開始以来、再生回数は4100万回を超え、第一話の同時視聴者数は1万2000人に達するなど、その熱狂ぶりは圧倒的です。特に注目すべきは、視聴画面を埋め尽くす「弾幕(だんまく)コメント」の嵐。2005年に放送開始された名作が、若者中心のプラットフォームで再び脚光を浴びる現象の背景を探ります。
国民的ドラマ『亮剣』とは?時代を超えた伝説
『亮剣』は、2005年9月12日に中国中央電視台(CCTV)で初放送された戦争ドラマです。陳健(チェン・ジェン)氏と張前(ジャン・チエン)氏が監督を務め、李幼斌(リ・ヨウビン)氏らが主演。作家・都梁(ドゥ・リャン)氏の同名小説を原作とし、主人公である革命軍人・李雲龍(リ・ユンロン)が、日中戦争、国共内戦、そして朝鮮戦争といった激動の歴史を駆け抜けながら、決して変わることのない兵士としての本質を描いています。中国版IMDbとも称される評価サイト「豆瓣(Douban)」では、28万人以上のユーザーから9.5点という驚異的な高評価を獲得しており、その人気と作品としての完成度の高さが伺えます。
ビリビリに舞い戻った『亮剣』の熱狂
驚異の視聴数と「弾幕」コメント現象
『亮剣』のBilibiliでの復活は、多くのファンを熱狂させました。全30話が期間限定で無料公開されると、わずかな期間で再生回数は4100万回を突破。第一話の同時視聴者数も1万2000人以上を記録し、その人気ぶりは全く衰えを見せません。Bilibiliの最大の特徴でもある「弾幕コメント」もその熱狂を加速させています。視聴者がリアルタイムで画面上に投稿するコメントが、まるで雨あられのように流れ、時には画面全体を覆い尽くすこの現象は、他のユーザーとの一体感を生み出し、作品への没入感を高めます。20年近く前の作品が、若年層の多いプラットフォームで新たな視聴体験と共に再評価されているのは、中国のコンテンツ消費の多様性を象徴していると言えるでしょう。
まとめ:時代とプラットフォームが紡ぐコンテンツの力
『亮剣』のBilibiliでの大成功は、良質なコンテンツがいかに時代や世代を超えて愛され続けるかを示す好例です。また、Bilibiliのような動画プラットフォームが、既存のテレビドラマに新たな命を吹き込み、コミュニティ形成の場となっていることも見逃せません。このような「過去の遺産」が新しいテクノロジーと出会い、再評価される動きは、日本のアニメやドラマのリバイバル現象とも通じるものがあり、今後の日中のコンテンツ消費トレンドを考える上でも示唆に富んでいます。中国の若者たちが、名作を「弾幕」と共に楽しむこの現象は、グローバルなコンテンツ消費の新たな形を示しているのかもしれません。
元記事: gamersky