Home / テクノロジー / ゲーム / 梁其偉氏が語る『影之刃零』 中国ゲームが世界で勝つには「品質」が全て

梁其偉氏が語る『影之刃零』 中国ゲームが世界で勝つには「品質」が全て

Wuxia dark fantasy - 梁其偉氏が語る『影之刃零』 中国ゲームが世界で勝つには「品質」が全て

2023年5月、ソニーの「State of Play」で鮮烈なデビューを飾った中国発アクションRPG『影之刃零(Shadow of the Blade Zero)』。その流麗なアクションと独特の世界観は、瞬く間に世界中のゲーマーの注目を集めました。中国国内でも次世代の国産大作として期待が高まる中、開発元である霊游坊(S-Game)の創設者、梁其偉(Liang Qiwei)氏が海外メディアInverseのインタビューに応じ、その開発哲学とゲームへの熱い思いを語りました。彼は「民族的な誇りだけではゲームは良くならない、最も重要なのはゲームの品質だ」と強調。この言葉から、中国ゲームがグローバル市場で真の成功を収めるための新たな方向性が見えてきます。

『影之刃零』:品質第一主義で世界を目指す中国ゲームの挑戦

近年、中国文化や神話をベースにしたゲームが市場に溢れています。梁其偉氏は、かつて欧米や日本のゲームばかりを遊んでいた時代から、自国の文化要素を持つゲームが増えることはプレイヤーにとって親しみやすいと認めつつも、成功の鍵は別のところにあると指摘します。

「民族的な誇りだけに頼っても、ゲームは良くはなりません。最も重要なのは、やはりゲームの品質です。」

この言葉こそが、霊游坊が『影之刃零』を開発する上での核心的な理念です。プレイヤーのニーズに応える高品質なゲームを作り上げるため、開発チームは膨大な量のモーションキャプチャー作業を行い、さらに日本の名作である『デビルメイクライ』や『ベルセルク』などから幅広くインスピレーションを得ているとのこと。梁氏は、ゲーム開発において「何も隠すことはできない。ゲームの中で非常に誠実に自分自身を表現するだけで、プレイヤーはそれを感じ取ってくれるだろう」と語っています。

「魂」系からの進化:『影之刃零』が目指す「カンフーアクション」の境地

インタビューでは、『影之刃零』が昨今人気の「ソウルライク」ゲームとの関連性についても深く掘り下げられています。梁氏は自身が大のソウルライクファンであると明かしつつも、『影之刃零』は単なる「ソウルライク」ではないと強調します。

「魂」系の要素を再構築する

梁氏によれば、ソウルライクゲームの「暗い雰囲気、複雑なマップ、遅いテンポ、迷いやすさ、高い難易度」といった要素は、このジャンルに対する固定観念を形成しています。しかし、これらの要素は分解し、良い部分だけを取り入れて再構築することが可能だと彼は考えます。例えば、マップ探索の深さや美術スタイルは参考にしつつも、『影之刃零』では迷いやすい超複雑なマップや過度に高い難易度は採用していません。代わりに、複数の階層を持つマップデザイン、隠されたアイテム、サイドストーリーといったソウルライクの特徴は取り入れつつ、全体的な難易度は相対的に低く設定されています。

霊游坊が目指すのは、「自分たちで定義した作品――カンフーアクションゲーム」です。『影之刃零』の美学は「カンフーパンク」と称され、従来のソウルライクとは一線を画した、独自の体験を提供しようとしています。

ストーリーテリングとキャラクターの深み

ゲームのストーリーテリングにおいても、ユニークなアプローチが取られています。梁氏は、『バイオハザード』だけでなく、『サイレントヒル』や『アランウェイク』からもインスピレーションを受けたと語ります。これらの作品に共通する「恐怖の雰囲気がありながらも、直接的な怖さではない」という点が、『影之刃零』の神秘的で緊張感のある雰囲気作りに活かされています。

また、主人公「魂」のキャラクター造形については、カンフー映画の主人公から着想を得ていますが、日本の漫画『ベルセルク』のガッツや『吸血鬼ハンターD』のDといったキャラクターにも通じる部分があると説明されています。無口で決断力があり、冷酷な外見の下に熱い心を秘め、弱者を助けようとする「侠客(中国版カンフーヒーロー)」の精神が表現されているとのことです。

多様なゲームメカニクスと没入感の追求

『影之刃零』には、メトロイドヴァニア(探索型アクション)の要素も含まれています。特定のサブ武器を獲得することで、以前は入れなかったエリアをアンロックし、隠されたアイテムを発見できるデザインは、『ホロウナイト』などの名作から影響を受けています。

また、音響デザインへのこだわりも特筆すべき点です。ゲームのリアルさを追求するため、武器の音や環境音には膨大な労力が費やされており、梁氏自身が所有する様々な武器を「カンフーマスター」が振るう音まで録音し、作品に取り入れているそうです。さらに、デモ版で登場する「紅衣の剣客」のようなボスキャラクターは、プレイヤーの選択によってその後の展開が変わる「偶発的なボスデザイン」が採用されており、プレイヤーの行動が物語に深く影響を与える多層的なストーリーテリングが期待されます。

中国ゲームが世界で成功するために:日本市場への示唆

梁其偉氏のインタビューは、中国のゲーム開発が単なる技術力や規模の拡大だけでなく、「品質への飽くなき追求」と「多様な文化からのインスピレーションの統合」へとシフトしていることを示唆しています。民族的プライドに頼るのではなく、世界のプレイヤーが純粋に面白いと感じるゲーム体験を提供することこそが、グローバル市場で成功するための唯一の道であるという彼のメッセージは、非常に説得力があります。

『影之刃零』のように、中国文化をベースにしつつも、日本の「ソウルライク」や「メトロイドヴァニア」、欧米のホラーゲームといったジャンルからエッセンスを抽出し、独自の「カンフーアクション」として昇華させる試みは、日本を含む世界のゲーマーにとっても魅力的なものとなるでしょう。中国の大型シングルプレイゲームが続々と発表される中で、『影之刃零』の動向は、今後の中国ゲーム産業の方向性を示す重要な指標となるはずです。品質と創造性を追求する梁其偉氏と霊游坊の挑戦が、日本のゲーム市場にも新たな刺激と選択肢をもたらすことに期待が高まります。

元記事: chuapp

Photo by Merlin Lightpainting on Pexels

タグ付け処理あり:

メーリングリストに登録

毎週のニュースレターで最新情報をキャッチアップ。今すぐ登録して、大切な情報を逃さずチェック!

利用規約に同意します

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

AI特集

メーリングリストに登録

毎週のニュースレターで最新情報をキャッチアップ。今すぐ登録して、大切な情報を逃さずチェック!

利用規約に同意します

関連リンク

にほんブログ村 ニュースブログ ITニュースへ