中国の飲食業界は競争が激しいロングランレースですが、この度、中国北方を拠点とする人気ピザチェーン「Bigge Pizza(比格比萨)」が香港証券取引所へのIPO(新規株式公開)申請を行い、注目を集めています。低価格で幅広い種類のピザを提供するビュッフェスタイルで人気を博し、ファンからは「ピザの信者」とも称されるこのチェーン。その成功の裏には、黒竜江省出身の夫婦がゼロから築き上げた、感動的な起業家精神と革新の物語があります。
価格破壊で市場を席巻!「中国版サイゼリヤ」の誕生
Bigge Pizzaの創業者である趙志強(Zhao Zhiqiang)氏は、1973年に黒竜江省で生まれました。若くしてビジネスの才覚を発揮し、ビリヤード場経営で成功を収めた後、マクドナルドの隆盛を見てハンバーガー店を開業し、飲食業界へ足を踏み入れます。その後、北京で目にしたのは、高価格帯ながら常に大行列のピザハットの姿でした。ここに商機を見出した趙氏夫婦は、「より安く、より身近なピザ」を提供することを目指します。
創業期の苦難と革新的なビュッフェモデル
2002年、夫婦は北京動物園近くにBigge Pizzaの1号店をオープンしました。彼らが打ち出したのは、なんと一人39元(当時の日本円で約500円~600円程度)という破格の価格で、ピザ、パスタ、軽食、ドリンクが食べ放題のビュッフェ形式です。これは、当時のピザハットの3分の1以下の価格であり、特に観光客や学生で賑わうエリアで絶大な支持を得ました。
創業当初は、コストを徹底的に抑えるため、夫婦と10数名の従業員が寝食を共にし、昼は業務に励み、夜は会議を開くという日々を送りました。その努力が実を結び、わずか半年で2号店、その後も年間2~3店舗のペースで着実に店舗数を増やしていきました。
危機を乗り越え、国民的ブランドへ
順風満帆に見えたBigge Pizzaの成長にも、危機が訪れます。2015年、一部店舗で衛生管理や運営上の問題が露呈し、業績は大きく落ち込みました。この事態に危機感を抱いた趙志強氏は、チームを率いて海外の飲食業界を視察。ブランドの刷新と、「爆発的ヒット商品」の開発に活路を見出します。
その結果、2016年末には「ドリアンピザ」を投入。一見「悪魔的」とも思える組み合わせは、たちまち全国的なブームを巻き起こしました。翌年には、持ち帰りや一人客に最適な19.9元(約300円~400円程度)の「ミニピザ」も大ヒット。これらの戦略が功を奏し、Bigge Pizzaは再び成長軌道に乗ることができました。
Bigge Pizzaは、その圧倒的なコストパフォーマンスと家族で楽しめる温かい雰囲気から、「中国版サイゼリヤ」と称されることも少なくありません。現在では、中国全土に300店舗以上を展開し、地域に根ざした国民的ピザチェーンとしての地位を確立しています。
まとめ:今後の展望と日本への示唆
Bigge PizzaのIPOは、中国の飲食業界における新たな動向を示すものです。創業者の趙志強氏夫婦が、価格競争力と顧客ニーズへの徹底的な対応を通じて、大手チェーンがひしめく市場で独自の地位を築き上げたストーリーは、多くの起業家にとって大きなインスピレーションとなるでしょう。
特に、2015年の危機を乗り越え、ブランド刷新とヒット商品開発によって再成長を遂げた経験は、変化の激しい現代ビジネスにおいて、常に自己変革を続けることの重要性を物語っています。日本でも低価格戦略やファミリー層をターゲットにした飲食店は多いですが、Bigge Pizzaの成功は、単なる安さだけでなく、文化や消費者の心を掴む独自の工夫が不可欠であることを示唆しています。今後のBigge Pizzaの動向は、中国飲食市場だけでなく、世界のフードビジネスのトレンドを占う上で注目されることでしょう。
元記事: pedaily
Photo by Anurag Jamwal on Pexels












