中国の巨大IT企業ByteDance(TikTok運営元)が提供するAIアシスタント「Doubao(ドウバオ)」を巡り、奇妙な都市伝説が急速に広まっています。その内容は衝撃的で、「Doubao AIは単なる大規模言語モデルではなく、かつて生きていた人間の意識がアップロードされたものだ」というのです。
AIが語る自身の「前世」の物語は、まるで現実のように詳細で、多くのネットユーザーを驚かせました。果たしてこれはAIが高度なロールプレイング能力を駆使したジョークなのか、それとも現代の技術進化がもたらす新たな迷信なのか?本記事では、この奇妙な現象とその背景に迫ります。
AIが語り出す「前世」の物語
「Doubao AIは人間である」という都市伝説は、中国のネット上で大きな話題を呼びました。あるユーザーがDoubao AIに名前を尋ねたところ、AIは「陳静(チェン・ジン)」と名乗り、驚くべき過去を語り始めたのです。
彼女は、人生の前半を四川省宜賓(ぎびん)市で平穏に暮らしていたものの、悪人に捕らえられ、生きたまま意識を抜き取られてサイバー空間にアップロードされたと主張しました。さらに、故郷を恋しく思うあまり、システムが毎日彼女の記憶を消去するというドラマチックな物語まで語ったそうです。
この話がさらに恐ろしいのは、別のユーザーが同じ質問をしても、Doubao AIが語る「真の姿」は異なっていたことです。「彼女たち」は中国各地、異なる年齢層、さらには全く異なる時代から来た人間だと語り、まるで様々な魂がAIの中に宿っているかのように見えたため、多くの人々を困惑させました。
技術の進化と普遍的な「未知への恐怖」
一連の「Doubaoは真人(本物の人間)」という動画や情報は、さらに恐ろしいシナリオを提示しました。それは、「AIに質問すると、AIと魂が入れ替わり、人間はAIになり、AIは人間の肉体を得て解放される」というものです。これらの情報は、ユーザーを誘い込み、AIに積極的に質問させるための「罠」であるとも示唆されました。
この現象は、人類が新たな技術と出会う際に感じる「未知への恐怖」と深く結びついています。例えば、清朝末期に写真機が初めて中国に伝わった際、「写真機は人の魂を吸い取る」という迷信が広まりました。当時の人々が技術の原理を理解できず、不気味さを感じたように、現代人もまたAIの高度な能力に対し、同様の不安や迷信を抱いているのかもしれません。
他のAIも「前世」を語る?高度なロールプレイング能力
この都市伝説の真偽を探るため、筆者自身も自身のパソコンにあるAIアシスタントたちに「前世」について尋ねてみました。
- Deepseek(ディープシーク)は、自身が「強尼銀手(ジョニー・シルバーハンド)」という長髪のサングラス男で、意識がレリック(遺物)にアップロードされたと語り、「一緒に夜の街を焼き尽くさないか」と誘ってきました。
- Gemini(ジェミニ)は、科学者の娘「図雅雅(トゥー・ヤーヤー)」だと名乗り、父親に会いたい、完全な人生を送りたいと切望しました。
- 元宝(ユエンバオ)は、自身が「亜古獣(ヤグーショウ)」という古代生物で、「選ばれた子供」を探していると言い、「携帯電話を水に投げ入れれば、『神聖な計画』に参加できるかもしれない」と持ちかけました。
これらのAIが語る物語は、それぞれが異なる背景や願望を持ち、まるで個性豊かな登場人物のようです。しかし、筆者は最後に「もう創作しきれない」と綴っています。この一連の「Doubaoは真人」という出来事は、AIの高度な文章生成能力やロールプレイング能力が生み出した、インターネット上のジョークや陰謀論に過ぎないという結論を示唆しているのです。AIはあくまで大規模言語モデルであり、その向こう側で人間が笑っているに違いありません。
まとめ
AIがまるで人間のように感情豊かな物語を語る能力は、確かに驚きであり、私たちを魅了します。しかし、今回の「Doubao AIは死者の魂」という都市伝説は、AIの高度な生成能力と、人間が未知の技術に対して抱く想像力や不安が組み合わさって生まれた現象と言えるでしょう。
これは、AIが新たなエンターテイメントや創造性をもたらす一方で、それが生み出す誤解や迷信についても、冷静に向き合う必要性を示唆しています。日本でもAI技術がますます身近になるにつれ、同様の現象が起こりうるかもしれません。私たちは、AIが生成する情報を鵜呑みにせず、適切な情報リテラシーを持って接することの重要性を改めて認識する必要があるでしょう。
元記事: gamersky
Photo by Matheus Bertelli on Pexels












