人気MMORPG『EVE Online』の開発元として知られるCCP Gamesが、ついに『黒い砂漠』や新作『Crimson Desert』の開発元であるPearl Abyssの傘下を離れ、独立への道を歩むことになりました。2018年に最大4.25億ドルという巨額で買収されたものの、この度、Pearl AbyssはCCP Gamesを現CEOと経営陣に1.2億ドルで売却。これは数億ドル規模の損失を計上しての決断であり、ゲーム業界に大きな衝撃を与えています。両社の長期的な成長戦略における意見の相違が、この劇的な取引の背景にあるとされています。
衝撃の取引:Pearl Abyss、CCP Gamesを約1.2億ドルで売却
韓国のゲーム開発大手Pearl Abyssは、今年5月初旬、アイスランドの著名なゲームスタジオCCP Gamesとの資本提携解消を正式に決定しました。これにより、CCP Gamesは現在のCEOであるヒルマー・ヴェイガル・ペトゥルソン氏とその経営陣に対し、1.2億ドル(日本円で約186億円、1ドル155円換算)で会社を買い戻す形で、再び独立します。
この取引の驚くべき点は、その金額にあります。Pearl AbyssがCCP Gamesを最初に買収したのは2018年。その際の評価額は最大で4.25億ドル(約659億円)とされており、今回の売却価格は買収時と比較して数億ドルもの大幅な損失を計上することになります。しかしPearl Abyssは、この売却を「双方の将来にとって有益」と説明しており、5月6日には取引が完了する予定です。
売却の背景と両社の思惑
戦略の相違と将来の協力
Pearl Abyssが発表した声明によると、数年間にわたる連携と独立運営の試行錯誤の結果、両社の中長期的な成長戦略において明確な相違が生じたといいます。しかし、将来的な協力の可能性は排除しないとも付け加えられています。今回の取引は、所有権とガバナンス構造の変更に限定されており、CCP Gamesの開発チーム、製品ラインナップ、および開発計画(『EVE Online』、『EVE Vanguard』、そしてモバイル向け新作など)には一切変更がないとのことです。
「ビジネス教科書的」なCCP Gamesの戦略
一方で、今回の取引はCCP Gamesにとって「ビジネス教科書に載るような」巧みな動きとして注目されています。2018年の買収当初の現金支払い額2.25億ドルよりも低い価格で自社を買い戻しただけでなく、Pearl Abyssが最大2億ドルの成果連動型支払い(earn-out)を受け取る可能性があったものの、その大半が幻となったためです。これはCCP Gamesが、一度他社の傘下に入りながら、最終的にはより有利な条件で独立を果たしたことを意味します。
今後の展望:Pearl Abyssは自己IPに集中
今回の売却は、Pearl Abyssが自身のコアビジネス、特に自社IPに一層注力する姿勢を示唆しています。同社は現在、注目の新作『Crimson Desert(クリムゾンデザート)』がすでに500万本以上の販売を記録しており、非中核資産の切り離しと、強固な自社IPへの投資に十分な資金的余力があると判断したのでしょう。『EVE Online』の「アイスランドの古参」が再び独立の船旅に出る中、Pearl Abyssは『Crimson Desert』を始めとする自社タイトルの開発に全力を注ぐ構えです。日本のゲーマーにとっても、両社の今後の動向、特に待望の新作である『Crimson Desert』のさらなる情報に期待が高まります。
元記事: gamersky
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