中国の革新的なバイオ医薬品企業であるGenFleet Therapeutics(勁方医薬科技)が、9月19日午前に香港証券取引所に正式に上場しました。初日の取引では、株価が一時115.79%も急騰し、午前の取引終了時には時価総額約150億香港ドルに達する華々しいデビューを飾りました。これは、特に「創薬不可能」とされてきたRAS変異がん治療薬の開発に挑む同社の技術力と将来性への期待の表れと言えるでしょう。
中国バイオテック新星、GenFleet Therapeuticsが香港上場!
近年、世界の投資家が注目する中国の革新的なバイオ医薬品分野において、新たなスターが誕生しました。GenFleet Therapeutics(勁方医薬)は本日、香港証券取引所への上場を果たし、その株価は初日の午前取引でなんと115.79%もの急騰を見せました。最終的に午前の取引を終えた時点で、その時価総額は約150億香港ドルに達しています。
今回の新規株式公開(IPO)による純資金調達額は約16.7億香港ドルに上り、これは2022年以降に香港株式市場の「18A章」(未収益・未利益のバイオテック企業向け上場ルール)に基づいて上場した企業としては最大規模となります。この成功は、同社の背後にいる2人のベテラン創業者、単強(Shan Qiang)氏と蘭煜(Lan Yu)氏の長年の経験と情熱、そして豪華な投資家チームによって支えられています。
「創薬不可能」を覆す、RAS変異がんへの挑戦
GenFleet Therapeuticsの物語は、2017年に上海で始まりました。当時51歳だった単強氏は、「本物の、他とは違う革新的な薬を作りたい」という強い思いを抱き、長年の同僚である蘭煜氏と意気投合。上海の張江にGenFleet Therapeuticsを共同で設立しました。社名には「困難な状況でも正義を貫き、大波を乗り越える」という彼らの創業精神が込められています。
単強氏は北京大学で生物化学を学び、米国ブランダイス大学で博士号を取得後、著名な製薬企業で要職を歴任した人物です。蘭煜氏も蘭州大学で有機化学の博士号を取得し、ノバルティスなどで経験を積んだ後、単強氏と揚子江薬業で同僚となりました。彼らは創業当初から、市場にすでに存在する薬やライセンス導入に頼るのではなく、「グローバル新薬」の自社開発に注力するという道を歩んできました。
同社が特に力を入れているのが、腫瘍や自己免疫疾患の分野です。中でも、癌患者の約30%にみられる「RAS変異」をターゲットとした薬剤開発において、同社は世界でも有数の包括的なパイプラインを持つ企業へと成長しました。RAS変異は、これまで「創薬不可能」とまで言われた難治性癌の原因遺伝子でしたが、2021年にアムジェン社の「Lumakras」が承認されたことで、その呪縛が破られました。GenFleet Therapeuticsは、中国国内においてこの画期的な分野の開拓者として注目されています。
注目のパイプラインとグローバル戦略
GenFleet Therapeuticsの目論見書によると、現在8つの候補製品を有しており、そのうち5つが臨床開発段階にあります。特に注目されるのは、2つの主要製品であるGFH925とGFH375です。
- GFH925(達伯特®):中国初の、そして世界で3番目に承認されたKRAS G12C阻害剤です。進行期の非小細胞肺がん治療に用いられ、画期的な治療法として認定され、2024年8月に国家薬品監督管理局(NMPA)から承認を得ました。
- GFH375:KRAS G12D阻害剤であり、膵臓がん、結腸直腸がん、非小細胞肺がんへの適用が期待されています。現在、中国で第II相臨床試験が進行中です。また、同社は米国Verastem社と、GFH375を含む3つの候補製品に関して、大中華圏(中国本土、香港、マカオ、台湾)を除くグローバルでの開発・商業化権益を付与するライセンス契約を締結しており、世界市場への展開も積極的に進めています。
バイオ医薬品企業は、研究開発に長期間を要し、多額の初期投資が必要となるため、短期的な収益化が難しいという共通の課題を抱えています。GenFleet Therapeuticsも例外ではなく、2023年、2024年、そして2025年最初の4ヶ月間は赤字を計上しています。しかし、今回のIPO成功は、その革新的な技術とパイプラインへの市場の大きな期待を示すものです。
まとめ:日本の医薬品市場への影響と今後の展望
GenFleet Therapeuticsの華々しいIPOは、中国のバイオ医薬品産業の活況を改めて示し、グローバルな新薬開発競争における中国企業の存在感を一層高めるものと言えるでしょう。同社が「創薬不可能」の壁を打ち破り、画期的な癌治療薬を次々と生み出すことができれば、世界中の患者、そして日本の患者にとっても新たな治療選択肢が広がる可能性を秘めています。
また、Verastem社とのライセンス契約に見られるように、中国発の革新的な技術がグローバルパートナーシップを通じて世界市場へ拡大する流れは、今後も加速すると予想されます。日本の製薬企業も、こうした中国のベンチャー企業との連携や競争の動向を注視し、新たなイノベーションの波を捉える必要があります。GenFleet Therapeuticsの今後の開発動向と市場での成長が、世界の医薬品市場にどのような影響を与えるのか、引き続き注目していく価値があるでしょう。
元記事: pedaily
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