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中国家電市場、なぜ「白物家電」が一人勝ち?二極化の背景を徹底解説!

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この1年間で中国家電市場は目覚ましい成長を遂げています。特にA株上場企業101社の上半期決算は、売上高合計が8670.56億元(約17.7兆円)で前年同期比8.32%増、純利益は700.84億元(約1.4兆円)で同12.85%増と、その好調ぶりを鮮明に示しました。この成長の大きな原動力となったのが、政府による「旧品交換政策」です。企業自身の戦略的なイノベーションも相まって、市場全体が活況を呈しているように見えます。しかし、その内実を紐解くと、市場の「二極化」が鮮明になっています。

中国家電市場、全体は好調も「二極化」が鮮明に

中国の製造業の中でも特に成熟した分野とされる家電業界は、長い歴史の中で幾度も産業構造の変革を経験してきました。そして今、新たな成長サイクルの渦中にあります。

上半期は家電市場全体が積極的な動きを見せたものの、セグメント間や企業間でのパフォーマンスの「二極化」が顕著でした。特に、「白物家電」が熱い市場を牽引する一方で、「キッチン家電」は冷え込みを見せているという明暗が分かれています。

「白物家電」が市場を牽引する理由

白物家電分野の好調は、やはり政府による「旧品交換政策」が大きな要因です。この政策は製品単価の上昇を促すだけでなく、高付加価値製品の販売比率を高めました。また、海外市場では関税などの制約があるものの、新興国の経済回復が輸出を力強く牽引し、全体として堅調な販売を維持。こうした背景から、白物家電業界は売上・利益ともに成長し、純利益率や粗利差も改善傾向にあります。

大手白物家電企業の動向

  • 美的集団(Midea): BtoB事業の拡大とグローバル戦略が奏功し、売上高2523.31億元(約5.1兆円)、純利益260.14億元(約5,300億円)と、過去最高の記録を更新しました。巨大な企業規模にもかかわらず、それぞれ15%以上、25%以上の成長率を維持し、「優良な白馬銘柄」と評価されています。
  • 海爾智家(Haier Smart Home): 成長スピードは美的集団に一歩譲るものの、デジタル変革と多ブランド戦略により、売上高が10.22%増、純利益が15.48%増と堅調な成長を見せています。
  • 格力電器(Gree Electric Appliances): 3強の一角である格力電器は、チャネル改革と業界全体の消費低迷圧力により、売上高が2.66%減とわずかながら減少しました。純利益の伸びも1.95%に留まっています。これに対し、格力電器の市場総監である朱拓氏は、「上半期は『質を追求し、長期的な成長を目指す』期間だった」と説明。下半期も不確実性に対し慎重な姿勢を保ちつつ、長期的な発展には揺るぎない自信を持っているとコメントしました。

二線級の白物家電企業に目を向けると、海信(Hisense)、美菱(Meiling)、TCL智家(TCL Smart Home)といった企業も絶対値としては成長を維持しています。しかし、その成長率は鈍化傾向にあり、特に長虹美菱は売上は伸びたものの、純利益の伸びが0.3%に留まるなど、利益成長に課題を抱える企業も見られます。

全体として、白物家電業界は大手企業が主な利益を独占し、中堅・下位企業は成長の安定性に課題を抱えるという構図が明確になっています。

「キッチン家電」の苦戦と今後の展望

白物家電の好調とは対照的に、キッチン家電業界は上半期に顕著なプレッシャーに直面しました。関連する上場キッチン家電企業の多くは業績悪化を記録しています。その主要な原因は、キッチン家電業界が不動産市場に大きく依存している点にあります。不動産市場の低迷が、新築住宅の減少やリフォーム需要の停滞を招き、結果としてキッチン家電の販売不振に直結しているのです。

まとめ

中国家電市場は、政府の「旧品交換政策」や海外市場の好調に支えられ、全体としては堅調な成長を見せています。しかし、その内実は白物家電とキッチン家電で明暗が分かれる「二極化」が鮮明です。美的集団や海爾智家といった白物家電の大手企業が記録的な業績を達成する一方、格力電器はチャネル改革の途上にあり、キッチン家電市場は不動産不況のあおりを受けて苦戦しています。

この動向は、グローバル市場における競争環境の変化を示唆しており、日本の家電メーカーにとっても注目すべき点が多いでしょう。特に、中国政府の内需喚起策や、中国メーカーの強靭な海外市場戦略からは、今後の市場開拓や製品戦略において学ぶべき点が多いのではないでしょうか。市場の成熟化が進む中で、いかに新たな成長動力を生み出し、変化に対応していくかが、今後の鍵となりそうです。

元記事: pedaily

Photo by Mark McCammon on Pexels

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