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米中関係、EV、不動産:中国最新テック&経済動向

Chinese EV, China skyscraper - 米中関係、EV、不動産:中国最新テック&経済動向

今日の中国では、経済とテクノロジーの最前線で多くの動きがありました。米国によるTikTok・WeChat禁令の撤回から、海南自由貿易港法の施行、そして中国国内の不動産市場への警鐘まで、多岐にわたるニュースが報じられています。特に注目すべきは、BYDやバイドゥといった中国を代表する企業がEVやAI分野で新たな動きを見せる一方、個人投資家を狙った金融リスクへの注意喚起も行われました。国際的には、韓国で大規模な仮想通貨詐欺が発覚するなど、世界の経済動向を占う上で見逃せない情報が満載です。

主要ニュース:米中関係から中国国内動向まで

米中テック摩擦、一歩前進か?

米国政府が前政権下で発令されたTikTokやWeChatなどの中国製アプリに対する禁令を撤回したことについて、中国商務省は「正しい方向への積極的な一歩」と評価しました。しかし、同時に米側が外国アプリの安全保障リスク審査を要求していること、そして米国の対米外国投資委員会(CFIUS)がTikTokへの審査を継続している点も指摘。中国側は、貿易問題を政治化せず、中国企業を公平に扱うよう米国に求めました。

海南自由貿易港法、施行で経済開放を加速

6月10日、海南自由貿易港法が可決され、即日施行されました。この法律は、海南島全域を自由貿易港とし、貿易、投資、越境資金、人員、輸送の自由で便利な往来、そしてデータが安全かつ秩序だった流動を実現するための政策・制度体系を段階的に構築することを目指しています。これは、中国がより一層の経済開放を進める決意を示すものです。

中国不動産市場への警鐘:投機は高リスク

第13回陸家嘴フォーラムにて、中国銀行保険監督管理委員会の郭樹清主席は、金融デリバティブ投資のリスク防止を強調しました。同主席は、価格が下落しないという投機的な考えで不動産市場に参入する個人投資家に対し、最終的に大きな代償を払うことになると警告。成熟した金融市場では、金融デリバティブ投資の主な参加者は機関投資家であり、個人投資家には極めて不向きであると指摘し、個人による安易な投資に警鐘を鳴らしました。

中国企業動向:EV、ITから伝統産業まで

BYD、ファーウェイのスマホも製造!?

中国のEV大手BYDの王伝福董事長兼総裁は、スマートフォン製造について問われた際、「多くの携帯電話をOEM生産しており、ファーウェイのほとんどの携帯電話は当社が製造している」と明かしました。BYDはバッテリー、モーター、電気制御の全てを自社で行える世界でも稀有な企業であることを強調しました。

バイトダンス「火山エンジン」公有クラウドはまだ

バイトダンス(TikTok運営企業)のエンタープライズサービス部門である「火山エンジン」が、今年9~10月に計算、ストレージ、ネットワークを含むクラウドIaaSサービスを正式発表するとの観測が流れました。しかし、火山エンジンの関係者はこれを否定し、「現時点では公有クラウド製品は発表しておらず、市場の憶測についてはコメントしない」と回答しました。

バイドゥと吉利がEV新会社設立

登録資本金20億人民元の新会社「集度科技有限公司」が設立されました。これは、バイドゥと吉利汽車が共同で出資したEVスタートアップで、テック志向の自動車企業を目指します。具体的な株式比率や運営管理方法は今後発表される予定です。

シャオミが不動産開発に参入

6月10日、成都市新津で約8.5億元(約170億円)の土地が落札されました。落札企業は武漢青年城蓉城科技有限公司で、この企業は卓爾控股が60%、シャオミ科技が40%を出資する青年城投資集団有限公司の子会社であることが判明。シャオミが不動産開発分野にも進出する動きとして注目されます。

ofo、資産なしで執行不能に

かつてのシェア自転車大手ofoの関連会社が、執行可能な財産を持たないことが執行裁定書で明らかになりました。天津飛鴿車業発展有限公司と東峡大通(北京)管理諮詢有限公司に対し、銀行預金、車両、不動産などの調査が行われましたが、執行可能な財産は見つからず、既に高消費制限などの強制措置が取られています。

JD.com、フェンディ、蘇寧:規制と罰則

  • JD.com子会社(上海円邁貿易有限公司)は、不合格品の販売により約1.6万元(約32万円)の罰金と違法所得の没収処分を受けました。同社は過去にも同様の行政処罰を受けています。
  • 高級ブランドのFENDI(芬廸(上海)商業有限公司)も、不合格品を合格品として販売したとして、約0.425万元(約8.5万円)の違法所得没収と約1.4万元(約28万円)の罰金処分を受けました。
  • 蘇寧易購の大株主である蘇寧電器集団は、株式質権付き買い戻し取引の契約違反により、深セン証券取引所から規制勧告書を受け取りました。規定の15営業日前までに減資計画を公告しなかったことが問題視されています。

産業・社会の深掘り:消費トレンドと法整備

ペット消費が可処分所得の2割に迫る

中国では2021年に独身成人人口が1億人に迫り、ペット(犬猫)飼育者は6,294万人に達すると予測されています。報告書によると、2020年にはペット消費が家庭の可処分所得の20%を占めるまでになっており、ペットオーナーの愛するペットへの支出意欲の高まりから、ペット消費分野は全体的にアップグレード期を迎えています。

端午節休暇、航空券が大幅値下げ

中国の伝統的な祝日である端午節(旧暦5月5日)の休暇を控え、多くの航空路線で大幅な割引航空券が提供されており、一部路線では「五一」(労働節)連休と比較して価格が3割も下落しています。特に、近距離を移動する「3時間旅行圏」が人気を集め、親族訪問や短期旅行が主流となる見込みです。

印紙税法が可決、税制の法制化加速

第13期全国人民代表大会常務委員会第29回会議で、印紙税法が可決・施行されました。この法律は、現行の税制フレームワークを維持しつつ、税目と税率を適宜簡素化し、税負担を軽減することを目的としています。これにより、中国の18税種のうち12税種が法律として制定され、税収法定主義の実現が加速しています。

柳州螺蛳粉、国家級無形文化遺産に

中国の特色ある食品である柳州螺蛳粉(リューチョウ・ルオスーフェン、タニシの汁ビーフン)が、国務院が発表した第5次国家級無形文化遺産代表的項目名録に選定されました。沙県小吃や火宮殿臭豆腐などの製造技術と共にリスト入りし、その文化的価値が公に認められました。

国際視点:仮想通貨詐欺とワクチン問題

韓国で巨額仮想通貨詐欺事件が発生

韓国で、仮想通貨を装った大規模なポンジスキーム型詐欺事件が発覚しました。初期調査では、約6.9万人が合計3兆8,500億ウォン(約3,850億円)もの被害に遭い、その多くが高齢者でした。V Global社が首謀とされ、CEOおよび約70名の従業員が捜査を受けています。

米国援助のジョンソン・エンド・ジョンソン製ワクチン、韓国で期限切れの危機

米国が韓国に提供したジョンソン・エンド・ジョンソン製の新型コロナウイルスワクチンの大部分が、間もなく期限切れを迎えることが明らかになりました。この問題は、ワクチン供給計画と有効期限管理の課題を浮き彫りにしています。

まとめ:変化する中国経済と国際情勢

今回のニュースからは、中国が米中関係の複雑さの中で、国内経済の開放と安定化を同時に図っている様子が伺えます。特に、ハイテク企業がEVやAIといった最先端分野で投資を加速する一方で、不動産市場の投機抑制や金融リスク管理を強化する動きは、中国経済の健全な成長を目指す姿勢の表れと言えるでしょう。また、伝統文化の保護から最新の消費トレンド、さらには国際的な詐欺事件やワクチン問題まで、多岐にわたる情報が交錯しています。これらの動向は、日本企業にとってもビジネス戦略を練る上で重要な示唆を与え、今後の中国、ひいては世界の経済・社会情勢を注視していく必要性を改めて感じさせます。

元記事: kanshangjie

Photo by Guy Hurst on Pexels

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