中国の動画配信サービスで今、大きな波紋を呼んでいるニュースがあります。大手プラットフォーム「Tencent Video(テンセント動画)」のVIPアカウントが、デバイスのログイン台数制限を超過したとして7日間の利用停止処分を受け、SNS上で瞬く間に炎上。関連ハッシュタグがトレンドを席巻し、多くのユーザーから長尺動画プラットフォームの利用規約、特にデバイス制限に対する不満が噴出しています。この騒動は、単なる一企業の利用規約問題にとどまらず、中国の動画配信市場全体、ひいては日本のサブスクリプションサービスにも示唆を与えるかもしれません。
アカウント共有制限が引き起こした「炎上」の波
発端は先日、あるネットユーザーがSNSに投稿したスクリーンショットでした。自身が利用するTencent VideoのVIPアカウントが、ログインデバイス数の上限を超えたため7日間のアカウント停止処分を受けたと報告。この投稿は20万回以上閲覧され、「#TencentVideoアカウント6回超過でアカウント停止の可能性」というハッシュタグが瞬く間にSNSトレンドのトップに躍り出ました。これをきっかけに、多くのネットユーザーから長尺動画プラットフォームのデバイス制限に対する不満が噴出し始めたのです。
しかし、この一連の騒動は、単なるアカウント停止に留まらず、長尺動画サービス全体の会員制度に対するユーザーの様々な不満を炙り出す導火線のようにも見えます。というのも、以前から多くの動画プラットフォームでは、会員が利用できるデバイス数の制限や、特典内容の縮小など、度々利用規約の変更が行われ、その度に議論を巻き起こしてきました。そして今回、Tencent Videoが会員を「アカウント停止」するに至り、その批判の声は一層高まっています。
「アカウント保護」か「上位プラン誘導」か?深まるユーザーの疑念
今回アカウント停止処分を受けたユーザーが公開したスクリーンショットによると、そのアカウントは「安全保護中」と表示され、理由としてVIPアカウントが累計4台のデバイスで再生され、最大3台という上限を超えたためと説明されています。プラットフォーム側は、アカウントの安全保護と会員権益の保護のため、10月7日から14日までアカウント保護期間に入ると通知しました。
ここで注目すべきは、Tencent Videoがその画面で「Tencent Video SVIPは累計8台のデバイスで再生可能。すぐに視聴したい場合はSVIPにアップグレードしてログイン・利用デバイス数を増やしてください」と表示している点です。また、「親しい友人の視聴には、友人への代理支払い、ギフトカード、またはファミリーカードの開設も可能です」との案内も添えられていました。これに対し、多くのネットユーザーは、「これは実質的に、より高額な上位会員プランへのアップグレードを促すための手段ではないか」と疑問の声を上げています。
Tencent Video側は「不正利用対策とアカウントの安全保護のため」と回答していますが、上限超過回数が増えるごとに保護期間が延長され、7日間の停止は比較的長い期間であり、同一アカウントで累計6回超過すると永久停止の可能性もあると説明しています。プラットフォームの「アカウント保護メカニズム」によれば、最初の2回の超過は手動で復旧可能ですが、それ以降は保護期間の終了を待つしかありません。
しかし、この説明にユーザーは納得していません。背景には、長尺動画プラットフォームの会員権益が絶えず縮小されているというユーザー側の認識があります。そのため、今回のデバイス数による「アカウント停止」も、運営側の意図を疑わざるを得ないという状況です。
実際に、昨年後半からはTencent Videoだけでなく、iQIYI(アイチーイー)やMango TV(マンゴーTV)といった他の長尺動画プラットフォームも、会員が利用できるデバイス数の制限を調整してきました。例えば、iQIYIは「ゴールドVIP」で利用可能デバイス数は変更しないものの、同時再生デバイス数を2台から1台に削減する調整を行っています。Tencent Videoも同様に、元の5台ログイン・2台同時再生から、3台ログイン・1台同時再生へと制限を厳格化しています。
日本のサブスクサービスにも通じる課題、今後の動向に注目
今回のTencent Videoの騒動は、動画配信サービスに限らず、様々なサブスクリプションモデルが抱える共通の課題を浮き彫りにしています。プラットフォーム側はアカウントの不正利用防止やセキュリティ強化を目的としていますが、ユーザー側からすれば、これまで享受していたサービスの質が低下したり、より高額なプランへの移行を暗に迫られていると感じたりすることも少なくありません。
特に日本では、アカウント共有が家族間で行われることが多く、このような厳格なデバイス制限はユーザーの不満に直結しやすいでしょう。各プラットフォームが、ユーザー体験と収益性のバランスをどのように取っていくのか、そして、今回の中国での炎上騒動が、今後の日本のサブスクリプションサービスの規約や動向にどのような影響を与えるのか、引き続き注目していく必要があります。
元記事: pedaily
Photo by Solen Feyissa on Pexels












