中国の著名な実業家である羅永浩氏が、人気飲食チェーン「西貝莜面村(Xibei Youmian Cun、以下、西貝)」の料理が「預制菜(ユージーツァイ、調理済み食品)」であるにも関わらず高価であるとSNSで批判し、大きな波紋を呼んでいます。羅永浩氏の指摘に対し、西貝側は一部メニューの「手作り」を主張しましたが、過去の創業者発言が矛盾を浮き彫りに。本記事では、中国飲食業界が直面する「預制菜」問題と、消費者意識の変化について深掘りしていきます。
中国人気飲食チェーン「西貝」が炎上!著名実業家が「預制菜」問題を指摘
近年、中国の消費市場で大きな影響力を持つ羅永浩氏。かつては英語教師として名を馳せ、その後はSmartisan Technologyの創業者としてスマートフォン業界に参入、現在はライブコマースのトップインフルエンサーとして活躍しています。そんな彼が先日、自身のSNSで人気飲食チェーン「西貝」に対する苦言を呈しました。
羅氏は「数年ぶりに西貝を訪れたところ、メニューのほとんどが『預制菜』、つまり工場で事前に調理された食品であり、にもかかわらず価格が高いことに驚いた」と投稿。この発言は瞬く間にSNSで拡散され、多くの消費者の共感を呼びました。中国では共働き世帯の増加やコロナ禍の影響で「預制菜」市場が急速に拡大していますが、その品質や価格設定、レストランでの使用については、消費者の間で賛否両論があります。
「手作り」か「プレハブ」か?西貝の釈明と創業者の過去発言
羅永浩氏の批判を受け、情報サイト「密探財経」の記者が西貝に問い合わせたところ、顧客サービス担当者からは即座に反論がありました。担当者によると、西貝の看板メニューである「牛大骨(牛肉の骨付き煮込み)」は毎日朝に調理されており、「莜面(ヨウミェン、カラスムギの麺)」も店内の従業員がその場で手打ちしているとのこと。また、炒め物に使用する野菜も毎日新鮮なものが届けられ、現場で調理しているため、「預制菜」ではないと強調しました。
しかし、この説明とは裏腹に、西貝の創業者である賈国龍氏は、過去のインタビューで「良い料理は全て預制菜から生まれる。レベルが高いほど、預制菜化の度合いも高くなる」と発言していたことが注目されています。この過去の発言は、今回の西貝側の釈明と明らかに矛盾しており、消費者の不信感を一層募らせる結果となりました。
深まる「預制菜」論争:消費者と飲食店の間に横たわる溝
今回の羅永浩氏の批判は、中国飲食業界における「預制菜」のあり方を巡る議論を再燃させました。飲食店側にとっては、預制菜の活用は人件費の削減、調理時間の短縮、品質の安定化といったメリットがあります。特に大規模なチェーン店では、効率的な運営に不可欠な要素となっています。
一方で、消費者、特に日本の読者の方々も共感するかもしれませんが、「レストランで食べる料理には、その場で調理される新鮮さやプロの技術、手作り感が欲しい」というニーズは根強いものがあります。高価格を支払う以上、工場で製造された食品が出てくることへの抵抗感や、コストに見合わないという感覚は、多くの消費者に共通する感情でしょう。この溝をどう埋めていくかが、中国飲食業界の大きな課題となっています。
まとめ
羅永浩氏のSNS投稿から始まった今回の騒動は、中国飲食業界の「預制菜」を巡る深層を浮き彫りにしました。効率化を追求する企業側と、本物志向を求める消費者側との間で、どこに落としどころを見つけるかが今後の焦点となるでしょう。この問題は、中国だけでなく、日本をはじめとする世界各国の飲食業界にも共通する課題であり、今後の動向から目が離せません。特に食品の透明性や原価に関する情報開示が、消費者の信頼を得る上でより重要になってくるかもしれません。
元記事: gamersky
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