中国を代表するテック企業Xiaomi(シャオミ)に衝撃が走りました。同社の中国区市場部総経理兼REDMIブランド総経理を務めていた王騰(ワン・タン)氏が、会社機密の漏洩と利益相反という重大な規律違反を理由に、突然の解雇処分を受けたことが明らかになりました。
王騰氏はかつて、Xiaomiの創業者である雷軍(レイ・ジュン)CEOからも「Xiaomiの若手幹部の中で『六刀流』(多才)だ」と公に称賛されるほど、その才能と豊富な経験が期待されていました。しかし、今回の事件により、その輝かしいキャリアは突然の終わりを迎えることになります。一体、彼の身に何が起きたのでしょうか。
Xiaomi幹部、機密漏洩で突然の解雇
9月9日、中国のメディア「快科技」が報じたところによると、Xiaomiは中国区市場部総経理兼REDMIブランド総経理の王騰氏に対し、解雇処分を下したとのことです。社内メールのスクリーンショットでは、王騰氏が会社機密情報を漏洩し、さらに利益相反を含む複数の重大な規約違反行為があったとされています。
Xiaomiは、「Xiaomiグループ従業員規律違反行為処理弁法」および「Xiaomiグループ誠実廉潔守則」といった社内規定に基づき、この処分を決定しました。王騰氏自身も自身のWeibo(中国版Twitter)でこの事実を認め、「雷軍総裁と会社の各リーダーの方々、長年にわたるご指導とご信頼に感謝いたします。離れるのは非常に心残りです。今後も変わらずXiaomi、REDMIを応援し続けます」とコメントを発表しています。
かつては雷軍氏も絶賛!「六刀流の若手幹部」
今回の解雇は、Xiaomi社内で彼が築き上げてきた高い評価を考えると、まさに衝撃的と言えるでしょう。王騰氏は以前からXiaomiで高く評価されており、雷軍CEOも何度か公の場で彼を称賛してきました。
特に今年初めに行われたライブ配信では、雷軍CEOが王騰氏を「Xiaomiの若い幹部の中で『六項全能』だ」と紹介しています。これは日本語でいう「六刀流」や「オールラウンドプレイヤー」といった意味合いで、彼の多才ぶりを示していました。雷軍CEOは、王騰氏のキャリアパスが非常に豊富であることを強調し、「当初は私と一緒に携帯電話部門で製品開発に携わり、その後は運営部門で営業運営を担当。さらに河南省の総経理として現場で販売業務を指揮し、市場部で1年間勤務した。そして現在はREDMIブランド総経理と中国区市場部総経理を務めている」と、その多彩な経験を具体的に語っています。
製品開発から運営、地方での販売、マーケティング、そしてブランド総責任者という要職まで、Xiaomiの中核を担ってきた彼の転落は、多くの人々に驚きを与えています。
今後のキャリアは?業界の厳しい見方
王騰氏は謝罪のWeiboで、しばらく休養してから再出発したいと述べています。しかし、業界内では彼の携帯電話業界でのキャリアは事実上終わりを迎えたという厳しい見方が支配的です。今後は、他の分野への転身や、個人での起業といった道を探ることになるだろうと分析されています。
今回の事件は、中国のテック企業において、内部統制と企業倫理の重要性が改めて浮き彫になった事例と言えるでしょう。特に、急速な成長を遂げる中で、企業がどのようにして幹部社員の行動を管理し、機密情報や利益相反といった問題に厳しく対処していくのかが、引き続き問われることになりそうです。
まとめ
Xiaomiの重要幹部であった王騰氏の突然の解雇は、中国テック業界に大きな波紋を広げています。かつて雷軍CEOに「六刀流」と称えられた異才が、機密漏洩と利益相反という重大な問題でキャリアを断たれたことは、企業規模の拡大に伴うガバナンスの課題を浮き彫りにしました。
この一件は、Xiaomiブランド、特に王騰氏が率いていたREDMIブランドの今後の戦略やイメージにも少なからず影響を与える可能性があります。日本の読者の皆様にとっても、中国テック企業のダイナミズムと、その裏にある厳格な企業倫理の側面を理解する上で、示唆に富むニュースと言えるでしょう。
元記事: mydrivers
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